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あ
○○
柄杓の縁に引っ掛かり ごりざり。よく見ると 小さく透明な氷柱が生えていた。寒いからな 痺れる冷たさを手に浴びせる。 手水舎にて。
○
氷の粉々が 舞う 空中を 輝く流れ。
虫だまりを思い 虫はないと思い直す。
遠くの町並み。寒い青空 白く細い雲の上。
柏手は痛く。冷たさは激しさに。
指は痺れ 顔が 歪む。
雪道は 所々 滑り 日陰に白く点在した。
○
拡張は どこまでか。頭骨はどこまでか。
効果なく 美観なく 充足なく。
どこまでか。頭骨は。
後頭は収縮する。
歩き 接地が片足になるや 補う。
後頭は拡げる。
歩き 閉じるまぶたと引き合う。
閉じるまぶたは閉じられないまぶた。
引かれ合うまぶたは眠たげに留まる。
歩く 頭骨を 拡大する。
○




