あ
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武器軟膏の日和。
要らぬ世話は無用と 手持ち無沙汰。
するなするなは 反って気になる つい為さる。
良薬過ぎるは悪薬か 過ぎぬ偽薬の気休め薬。
偽薬の良さは効果の無さよ。作用が無いから。何もない。
使用の一心 在るばかり。何も無くとも満足あれば 心 収まり 気持ち落ち着く。気持ち乱れず 体 疲れず。悪を為さずが肝要か。
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今日は特効 明日は武器軟膏。
勘違いの思い込み。入れ込みすぎて間違える。
道の半ばに過ぎぬモノ どんどん進んでどんどん溢せ。
間違い 慢心 落として 進む。
恥も掻き捨て。 捨てては拾う。
乱高下の荒波に 翻弄されて 流される。
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霧がうっすら 立ち込めていた。夜道。
勘の良し悪しを論じ 歩く。
直感の有無。天啓の所在。
膨らんでは萎む。開いて閉じる左右の腹。
勘が有ると 思われて 有ると言えず 途方に暮れる。
否定を押し退けて積み上がる 覚えのない力。
奇蹟が欲しいのか。
振っても 逆さに振っても なかった。
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痙攣が腰に至り 下から上への作用を得たり。
腹が上から下へ 横腹が左右。後頭が運ぶ。
優しく当たる鋭さ。金属の板切れを木切れの様に使う。
激しければ損なう。
忘れられた本意。
訓練は壊し合いに成ってはいけない。ただ一人を出すために 壊してはいけない。
故障者は思い出させる。道場はちっぽけな社会の隅だ。全てではない。
恐怖は破裂し 白けた。
嘘が気になる様になった。
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夢を見る。
体内の世界。
退廃 腐敗 痩せて 骨は溶けて 澱んで どこもかしこも ぼろぼろだ。
ちぐはぐな淫らさを主張する 幾人かの若すぎる娼婦が再開発を免れた建造物にたむろし 嫌らしく見てくる。見ないように通り過ぎる。 ぽつぽつといる娼婦。 少し進むと別の集団が目立ってくる。滞在者層が混じり 逆転し 入れ替わる。それは 階段を上がっても 通りを進んでも さほど変わらない。建物の外にも内にも ありふれて 燻っていた。
無気力になり 悲しく 階段の隅や路地に うずくまる禿げた若い男達。怯えて 苛ついている。娼婦も男達も 交流もなく お互いに見ない振りをしている。
皆うじゃうじゃと集まりつつも それぞれが孤立していた。
そのなかの幾人かは(男だったり女だったりしたが) まだまし そう 思ったのか それが男でも女でも そうじゃなかったとしても 交流を試み 愛想を振り撒こうとし ぎこちなく 錆び付いた笑顔を作って話し掛けて 話して直ぐに 失望していた。思っていた成果が存在しない事に気付いて。
皆 困窮し 余裕なく それどころではなかった。
お互いに間抜けと嘲って それを隠したつもりで 早く会話を切り上げようと 何時までも話していた。丁度良い瞬間を待ちわびて。聞き流し 終わりを延ばしていた。
それを 何の関心もなく 周囲は放っていた。
その白々しい談笑が 仮に金銭を介した性行や凄惨な暴行だったとしても それを 誰も彼も放っていただろう。 止めもせず。
そんなものは既に通り過ぎて 飽き飽きしていたろうから。
目が動かない。音に動かない。時間の経過と動作が解離して寝ている様だ。開けた目はありふれていて かさついていた。
成功はあまりにちっぽけで 失敗はありふれていて どちらでも同じだった。同じことが同じように始まっては終わって 落ちぶれていた。
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次か その次の日に聞かれた。
黄金の夢を見たか。 と。
僕は 見なかった。 答えた。
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