あ
○○
伸された蝉だ。 きらきら反射する外格。羽が左右に。
風が吹き抜ける。 するり 蝉の軽い体が アスファルトを舐める。
人差し指と中指で挟み持って 適切な場所へ歩く。平らな蝉 黒い頭。潰れたからか 終わってからか 平らな体。
風が指と指の隙間を通る。振動を感ずる。蝉が風を切って 揺れて居た。軽い振動。
道端の 公共の植木。 日陰に置いて 草葉の陰。
○
三角の座布団。掲げられた額に添えられた。二枚。
賽銭箱の角に 置かれていた。三角の座布団。派手な東洋風。小さい。赤 緑 金 色とりどり。
あ もしかして。 上を眺める と やっぱり 一枚 外されてる。
金文字の正面看板に一枚しか添えられていない。
○
話なんて聞きやしない。イカれている。夢中だ。欲しいモノに。
神々の話なんて 何の足しにも為りはしない。
何かの足しに為るとして それは 神々の足しにしか為らないんだ。
でなけりゃ 聞き間違いか 思い違い勘違いだ。
ろくなもんじゃない。
○
これも聞きやしない。
褒める奴に限って聞き やしない。
素晴らしき人徳。
イカれているか 屑か その しか周りに居ない。いない。 素晴らしき人々は去って行って久しい。
素晴らしき見切り。遅すぎた。首まで埋まって から分かって も。
逃げ出し損なった。
本業を軽んじ どうでもいい事に いれあげて 御破算。
救えない 愚かさ だけが堅牢。へこたれない。ますます救えない。
○
いきなり やって来て 月から何かが どうのこうの。
妄言を 垂れる 老婆。
月から来る の なんて ろくなもん じゃねぇ。
ほんとに 陸でもない。




