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あ
○
箸の素揚げ が 流れて行ったか。
追い掛けないのか。 きっと旨いぞ。
そこまで 食い意地は 張ってない。
○
うっすら乾いた白米。前日に炊かれた 乾きつつある食物。
涙と共に掻き込んだ 単なる白米。
丼に盛った 自分。 味なんて 感触。棚に上げる。
流出を感じながら 手立て無く 味わいながら 見送る。
消えて行く。 喜びは また 会えるのか。 疑ってしまった。
それが居着いて くれるなら 何物でも 良かったのに。
○
夢から 覚めると 涎が 頬に 僅かに。
三十二才 空腹だ。
のそのそ 起き上がり 何か 食べるものを 見繕う。




