108/493
あ
○○
階段を上り。
賽銭箱が 無い。
階段を上る。社前の少ない段数。 硝子を はめられた 木の格子 木扉
上がりきった。近付く。 有った。 扉側に寄せられて ある。
格子の硝子がずらされて 開けられた空間から 手を入れて 小銭を落とす。
○
翌日
階段を上り。
賽銭箱が有る。
あるある が 半箱分 遠い。
一箱近付き半箱遠退く。
いよ。 いつもより 遠くに投げ込む。
木の扉と箱の間には ちらほらと 小銭が 散乱。
遠すぎたのか。
○
一つ目の鳥居を 御辞儀した後 潜ると 参道に犬。
ばう。 ばう。 野太い叫び。
白い犬が繋がれて。
階段前に陣取る犬。
円周状に 迂回。
ばう。 ばう。
ばう。 ばう。
階段を下る。
二つ目の鳥居を 御辞儀した後 潜る 公道に車。
静かに 走る 電気の車。
ばう。 ばう。
ばう。 ばう。
車椅子の静穏。
○




