あ
○○
水垂れて 髪湿り 毛先に溜まる。 ぽたぽた落ちる。
膨れて ぽたり。 膨れては 萎む。
毛髪は 管に為り 水玉を産む落とす。
○
賽銭箱 左側手前に 酒有り。
箱入り か。
豪勢だな。
昨日か その前も 別の箱入りが有ったな。
もしかして 霊験あらたか なのか。
ここ。
端に置いてある と 落ちそうで 気が気で無い。 い。
○
シャッターが開かない。
喚ばれて のそのそ 急行だ。
鍵を挿し込み 半回転。
何事も無く 解錠。
がらり 巻き上げた。
○
鍵の機嫌か 錠前か
癖が付いて ご機嫌か。
金が無いので 誤魔化し 使う。
○
境内にて
花が一輪 植木の玉に 少し伸びて うっすら赤く。
つい 他を探した。 一輪だけとは 詫びている。
他の玉には 蕾も含めて 大量だ。
改めて問題の玉を眺める。
花が一輪 蕾も無し。
狛犬のお膝元で 咲いている。
○
これだけ そうとは 何とも 気になる。
もっと よく 観察する。
近付き うろうろ。
やはり 一輪なのか。
ふと 狛犬の台との 隙間に 目をやる。
群れる 花が 蕾も 有った。 隠れて。
探すのは野暮だったか。
落花が石畳に 色を添える。
○
老人が幼子と 石段を上がる。
何かの数を 数えて 一二三。
甲高く ひょろり とした 声が 響く。
四五六 。
石段数え か 七八九。
間の抜けた 音声が 登って行く。
老人の声が。