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それぞれの戦い

(悠一が的に見つかった頃。同時刻)


あいつらちゃんと逃げれてるのか?

電撃での負傷者はいなかったようだが。

特に悠一のバカは、いつも友久友久ってすぐに泣きついて来る奴だからな。

いや、でも全く役に立たない訳じゃないか。

俺を助けてくれたあの時みたいに……

それにしてもあの電撃はやばかった。

なんとかこのスーパーの屋根に走り込んで難を逃れたからよかった。

この付近に落ちてこなかったのが、幸いしたな。

──パカラパカラパカラ。

なんだ?駅の方から馬の足音みたいな音が近づいてくるが。

背を向けていた方へ、振り返る。

まぁ、馬が天下の国道を走ってくるわけが……あるのかよッ!!

おっと危ない。あまりのことについ大声でツッコミを入れてしまいそうになっちまった。

せっかく透明なのに意味なくなるからな。

それにしてもこいつは……

そこにいたのは、時代劇でよく見るようなイメージそのままの侍。ちょんまげを結って羽織袴を着て、おまけに馬にまで乗ってやがる。

俺の目の前に、二十一世紀とは思えない形で登場をしたその侍は、暴れる馬の轡に付けた手綱を引きながら、じっとこっちを見てきた。

落ち着け。俺の姿は見えないはず。なら、千載一遇のチャンスだ。ここでこいつを仕留める。

「あえてスキのある攻撃にしたのでござる。唯一無傷で済むこの場に、おびき寄せるため。貴公がそこにいることは分かっておる。姿を現し、手合わせ願おう」

なに!?やられた。俺がこの場で攻撃を食らわなかったのは、奴らの計算の内ってわけか。

だがまだ姿は見られていない。

こっちが有利なことに変わりは……

「ヒヒーン。さっさとするうま。お前がそこにいるのは、我が鼻に残る匂いからも明らかうま」

なに!?この馬、喋れるだと!?

いやそれどころか二本足で立ち上がって徐々に人間ぽく……

言いたいことはたくさんあるがとりあえず。

「語尾がうまなのはおかしいだろ!!」

はっ。やばい。ついにつっこんでしまった。

「ふはははは。やはりおったか。さぁ、来ないならこちらから行くぞ」

侍が、腰に下げた刀を抜く。

構えるとわかる。こいつ見た目はともかく、つえーぞ。


(友久が馬にツッコミを入れている頃。同時刻)


チッ、なんでこの俺様が姿を隠して逃げ回らなくちゃならねぇんだ。

本来なら、俺様があいつらから逃げることなどあり得ねぇのに。

いや……あの力はもう二度と……

それにしても、あんな雷なんざ避けるのは容易いが、友久の言うことを信じて、本当にこっちから奇襲をかけなくていいのか?

姿無き俺様を奴ら本当に見つけられ──

「オホホ。順調に罠にかかったようね」

「あんな奴ら探し出すなんて、わけないだわさ」

──ほう。オカマ国王とその側近ったぁ、大物がかかったじゃねぇか。

走る俺様の前に歩いて横道から現れ、俺様の行く手を阻むように立ち止まり、こちらを向いて笑う二人。

明らかに、俺様のことを待ち伏せしていた動き。

ここに来るのが分かってた?もしくは、どこに行こうと俺様の動きが分かってたか。

どちらにしろ、こいつらは俺様の獲物ってわけか。

パテシアの奴は誰もいねぇし。今ならあの力で──

「オホホ。では早速、二体二といこうかしら。ストラス、ピスナー」

──なっ、ピスナーだと!?

「あるぇーやっぱ見えちゃってる感じ?でも、ストラスも一緒にいたんだ」

俺には見えない。が、隣から確かに、ピスナーの声がする。

罠?偶然?いやどちらだろうともう関係ない。

問題なのは……俺様の本気が使えなくなったことか。


(ピスナーとストラスが仲良く相手に見つかった頃。同時刻)


「ちょっと、魔法かけるの疲れたから、役交換してくれない?」

気だるそうに告げてくる明日菜ちゃん。

疲れたというより、めんどくさくなった様子だわ。

ピスナーの次にこの戦いにやる気がないのは、きっとこの子じゃないかしら。

「いいわ。ライド!!」

光魔法は、比較的に適性値の消費が少なくて済む魔法。だから、私レベルの適性値でも、この戦いの間かけ続けるぐらいはできそうね。

光魔法を皆にかけ続けてる私にだけ、皆の姿が見えている。

悠一さん友久さんストラスさんピスナーさんの四人が、作戦通り既に敵と相対したみたいね。

敵の残りは三人。その中には、あのジームもいるわ。

私と明日菜ちゃんは、時間が来るまで絶対に逃げ切らないといけない理由があるから、ここが、バレなきゃいいけど。

「ねぇ、本当にこれ、私も透明なわけ?」

「そうだけど、声でバレちゃうから、もうちょっと音量下げてもらえる?明日菜ちゃん」

「はぁ?私に命令?あんたが?気持ち悪い」

「いや、命令というか……」

「あんたがやったこと、一生忘れるわけ無いからね。気持ち悪い」

分かってるわよ。でもそこまで言わなくたっていいじゃない。

「オラぁあ、ゴキブリ共!!ぶち殺してやるぜぇぇぇぇッ!!」

もうなんなのよ。このバカでかい声は。

ジームが二人の仲間を連れて、威嚇をしながら歩き回っている。

怖いわ。でも、ジームを倒すのは今がチャンス。でもやっぱり怖いわ。

それに他に二人もいる。やっぱりここは隠れているのが得策よね。

「──バ・サンダガ!!」

「呪文だと!?どこからっ──」

──ドンッ!!

「「大丈夫っすかジームさん」」

明日菜ちゃんの攻撃が、ジームへ直撃……残りの二人が声を揃えてる。

「ちょ、明日菜ちゃん何してるの!?」

「だってジームは弱ってるし。狙ってもいいかなーって」

かなーじゃないわよ。ここの場所がバレたらどうするのよ。

「あそこだ。あの辺から雷魔法が飛んできやがった。威力からしても雑魚共なのは確かだ」

「攻撃魔力八十です。タートル直撃、ダメージ八十です」

アナウンスが流れる。でも、このアナウンスでは相手の残りの適性値までは分からない。ジームを倒すにはあと、どれくらい攻撃すればいいの?逆にジームは、どれくらい攻撃してこれるの?

ジームがこちらの方を指さしてる場所がバレた!?

私は光魔法を使い続けなくちゃいけないし。

明日菜ちゃんだけであの三人を倒すなんて、本当にできるの!?

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