処刑
初投稿です。感想とかくれると嬉しいです。批判はお手柔らかにお願いします。
いま、僕は中央広場で磔にされ、兄によって殺されるのを待っている。
こんな国に生まれてこなければ、あと数秒早く生まれていれば...後に生まれたというだけで何故殺されなくてはいけないのか。
「なにか言い残したことは?」
そう言いながら兄が処刑台を登ってきた。いろいろ言いたいことはあるけれど、言ったって何になるというんだろう?
僕は静かに首を振った。
「では、これより、次期教皇である私の姿を真似る悪魔の処刑を行う!」
兄は広場に集まる民衆へ高らかに宣言すると僕の心臓へナイフを突き刺した。
あぁ、このまま僕は死んでしまうのか。そう思った瞬間、いままでの人生が思い返された。
☆
幼い時からずっとこの部屋に閉じ込められていた。食事は1日2食。
トイレは部屋に備え付けられていて、偶にがたいのいい男が掃除にやって来ていた。
おそらく僕が暴れても大丈夫なようにだろう。
部屋にはさまざまな種類の本があり、それを読んで過ごしていた。
文字は僕が少し大きくなった頃、祖母から教わった。
祖母だけが僕の境遇を不憫に思い、時々会いに来てくれていた。
そういえば、僕は祖母としか会話をした事がない。
たびたび掃除に来る人は何を聞いても答えないし、祖母以外に僕の部屋にやって来る人もいなかった。
親の顔も知らない僕が、何故兄の顔が分かったかというと、僕と兄が双子だったからだ。
僕が言葉を話せるようになってから、何故僕は部屋から出られないのか聞いた事があった。
祖母は、「大きくなったら教えるわ」と言っていた。
僕はある時、部屋で<正しい魔法の使い方>という本を見つけた。
部屋にある本を粗方読み終えた僕は、ある物語にもでてきていた魔法というものに興味を持ち、学び始めた。
僕が初めて覚えた指先から火を出す魔法。嬉しさから祖母に見せたところ、祖母は顔を青くし、本を取り上げて部屋から出て行ってしまった。あぁ、懐かしいなぁ。あの日は一日中泣いていたっけ。
その翌日に僕は部屋中を探し、<使えると便利な魔法>という本を見つけだした。
それからは、祖母に見つからないよう魔法を学んだ。
といっても、祖母が部屋に来るのは多くて週に一回程度だったが。
僕の身長が祖母の胸あたりまで伸びた頃、僕は部屋から出られない理由を教わった。
僕が国の一番偉い人の血を引いていること。
この国は宗教国家であること。
その宗教にはさまざま決まりごとがあるということ。
決まりごとの中に「教皇の子が双子の場合、後から生まれた子は将来悪魔に魂を売り災いをもたらすため、先に生まれた子が成人する時に処刑すること。処刑するのは早すぎても遅すぎてもいけない。処刑するまでは中央教会の3階奥にある小部屋で監禁するべし」というものがあることを。
どうにも過去に教皇の座を巡って双子が争ったことがあったために、この決まりごとができたらしい。
そう、僕は後から生まれてきたせいで閉じ込められ、後から生まれてきたせいで処刑される運命にあったのだった。
ある日僕は大きな音で目を覚ました。祖母の話を聞いてから魂が抜けたように過ごしていた僕だったが、この日は何故だか音の方へ行きたくて仕方がなかった。
僕は魔法でドアを開錠し外に出ると、目の前にあった窓から外へ飛び出した。
今思うと何故こんなことをしたのやら。
ふと気がつくと僕は大きな穴ぼこの前に立っていた。
その穴ぼこの中には、半透明の球体が転がっていた。
僕はしばらくその球体を見つめていたが、人が此方に近づく音で我にかえると、こんなにも綺麗な物を取り上げられては敵わないと思い、口に含んだのだった。
しばらくすると現れたのは祖母だった。
「あなたこんなとこで何をしていたの!口に何を入れているの⁉︎吐き出しなさい‼︎」
僕は生まれて初めての怒鳴り声に驚き、球体を呑み込んでしまったのだった。
それから僕は常に監視をつけられるようになってしまい、暇な日々を過ごしてきた。
☆
視界が少しずつ暗くなってきている。僕の死はもうすぐそこまで迫っているようだ。
しかし、なんというつまらない人生だったのだろうか。いつか読んだ物語のような生活をしてみたかったな...
どうか神様、来世では僕に幸せを.....
読みにくかったですかね...