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図書マド  作者: 裏紙
5/6

第4魔術 白い恐怖

宣言した一週間以内投稿できずに申し訳ないです。

完成後、投稿する際に全データが消えてしまい、泣きながら急いで書き直しました。

まだあまり満足できるものではないですが読んでもらえると嬉しいです。

第4魔術 白い恐怖




「ふ〜〜、酷いに会いました」

「何かあったの?」


学校から帰宅し、自分の部屋のソファーに深く腰掛ける。頭を後ろ側にダランと降ろしながら脱力していると、シウがソファーの背もたれの位置まで飛んできた。


「今日、学校で仮面のヒーローが現れて、校舎を吹っ飛ばして行ったんですよ。はぁ〜」


「マスターの学校は悪の秘密結社だったのぉ? 言ってくれれば最強殺戮魔法アトミックブラストを」「やらなくていいですから」


慌てて止める僕を見て、小さな友人はビー玉サイズの頭をコテンと傾げる。全く困ったやつだ。


「なんだか探し物をしているようでした。【本】がどうとか……」

「それって私のことぉ?」

「なにを言ってるんですか。本っていうのはこういう紙を使った……ああ、そういえば貴方は魔導書でしたね」


僕は彼女の正体をすっかり忘れていた。


「そうだよ。すっご〜い力が手に入るんだからね。それ目当てで私を狙う嫌な奴らはいっぱいるんだぁ〜。けどマスター以外の力になる気はないの。しつこい人は何度言ってもマスターをヤリにくるんだよぉ。私はマスターがヤられてもヤった人の物になる気なんかサラサラないのにねぇ」

「ヤるって……ぐさっと?」

「ぐさっとだったり、ブチっとだったり、ぐちょっとだったり、バキッだったり色々だよぉ〜」


どうやら僕はとんだ貧乏クジを引いてしまったようだ。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「要するに僕はシウのマスターである限り、命を狙われる。あの仮面の子は僕の命を狙っていた。僕がいたから学校は破壊されたというわけですよね。はぁ〜」


マリアナ海溝より深い溜息を付き、両手で顔を覆う。校舎の修理代、僕が払わなけゃいけないのかな?


「これから毎日こんな事が続んですか?勘弁してくださいよ」

「諦めて私に、はちみつレモンを与えるべきなんだよマスタぁ〜」


君は黙っててください。

そういえばあの子のところにもシウのような小人がいたけど、もしかしたら知り合いだろうか。


「シウ、あの子のところにも君みたいな小人がいたんですけど、他にも君みたいな小人はいるのですか?」

「小人って言い方はなんだか嫌ぁ。私は飽くまで魔導書なんだよ」

「はいはい、魔導書ですね。でもそれじゃ分かり難いので、君らの様な生物?は妖精と呼ばせてもらいますね」


ブウブウと口を尖らせて抗議するシウ。僕はそんな彼女を見て、本や漫画に出てくる小さな妖精を思い出す。


「妖精さんなら良いよ。私はそれに近い存在でもあるからねぇ」

「話を戻しますよ。本を狙って僕を襲ってきた子達の中で、仮面の子はほのちゃん、妖精はてんちゃんって呼ばれてました」


僕の説明を聞くと、シウは腕組みをしながらう〜んと唸りを上げ始めた。しっかり思い出してくれているのだろう。そしてハッと顔を上げた後またう〜んと唸りだす。


「はちみつレモンをくれたら教えてあげなくもないかも」


はちみつレモンを気に入り過ぎだろ。

シウは目を潤ませながら下から見上げるようにおねだりポーズを決めてきた。僕の意思が揺らぐ。


「グッ、何処でそんなの覚えたんですか……」

「この【てれび】とかいう道具がこのポーズをすると交渉が上手くいくって言ってたんだぁ〜」


学校に行ってる間大人しくしているはずないと思っていたけど、これなら安心かな。

この子、昨日会ったばかりなのに既にすっかり馴染んでますね。


「へぇー、他にどんなのを見てたんですか?」

「この、泥棒ネコ!!とか、よいではないかよいではないかとか、しにさらせぇ〜とか?」

「ヘェ〜……そ、それは面白かったんですか?」

「とーーっても面白かったんだよぉ〜。泥棒ネコさんはカワイイ女の子だったし、よいではないかの人は頭に変な黒いやつを乗っけてて可笑しかったの。しにさらせぇ〜ではバッタバッタと人がゴミのようだったんだぁ〜」


両手を目一杯広げ、にぱぁ〜っとお日様のような満面の笑顔で楽しそうに話すシウを見ると突っ込む気も失せてしまった。

その後もワイワイと今日のお留守番について話しかけてくるシウ。それを見ていると最近勉強ばかりで荒んだ心がポカポカしてくる。お母さんってこんな気持ちなんだろうか。


「今日の晩御飯はシチューだよ〜」


僕は手作りのシチューをシウと二人で食べる事にした。食べさせる相手もいないので最近作ってなかったんだけど、上手くできたかな? 一人暮らしの大学生に料理は必須スキルなのである。


「わーい、【しちゅー】って何?」


僕より年寄り?の癖にシチューも知らないシウ。本当にお母さんになったみたいだな。シチューについてシウに説明していると外が騒がしくなってきた。


ダダダダッ


窓を開けて外を見るが特に人集りができたり、パトカーが来ているわけではないようだ。


ダダダダダダダダッ


次第に音が大きくなって行く。ん?待てよ、この状況が以前にもあったような……。僕は腕組みをしながら、記憶の海の中で情報を探る。シウがはやくたべよ〜よぉとエプロンの裾を引っ張ることによって意識が現実に引き戻された。


「そうですよね。考えても思い出せないなら、たいしたことじゃないのでしょう。さあ、シチュー、シチューっとぉ」


そう言って窓を閉める。シウを頭に乗せ、シチューの元へとスキップしながら戻ろうとした僕は、閉めたはずの窓とその周辺の壁ごと吹き飛ばされた。


ドゴーーン!

ヒャッハーー!!


シチューが宙を舞い、シウも魔導書さんも一緒になって飛ばされていった。マンションの中にいながら黒い夜の空と真ん丸お月様が見える。これが匠の技というものなのだろうか。

僕は今、デジャヴというものを身を持って経験している。


ーーーーーーーーーーーーー


「仮面ファイター!!、ここに惨状!! キリッ」


本日二度目、仮面の悪魔が現れた。僕はふと周りを見渡す。さっきまで僕らがいたマンションは崩れ去り、シウはシチューの鍋に頭を突っ込んだまま気絶していた。そして皆無傷。

まただ、僕は足元に落ちているガラスの破片を掴み取る。しかしそれはガラスの感触ではなく、ゴムのような弾力のある物体だった。これもあの子の能力なのだろうか? 僕はあの時と変わらない服装の彼女を睨みつけた。


「僕のマンションをどうしてくれるんですかぁ ァ!!」

「やはり、お前が【本】の持ち主だったかぁ。てんちゃん、腕が落ちたんじゃねぇか?」

「そんなことないよ、ほのちゃん。あの時あそこにはもう一冊【本】があったんだよ」


僕の一世一代のボケをスルーですか、そうですか。完全に僕の事を忘れて話し出す仮面と小人。また名前の事で揉めているようだ。


「あっ、そうだ。シウのこと忘れてた」


僕は急いでシチュー塗れになっているシウを助け出す。おそらく彼女はもう……シチューが食べられない身体になっている。誰だってシチューに殺されかければ嫌いになってしまうだろう。要するにトラウマである。


「う、う〜ん。し、白くてネチャネチャしたものが襲ってくるぅ〜」


シチューでベトベトになりながらジャガイモやニンジンに囲まれ、何かにうなされているシウの姿はあまりにも哀れ過ぎた。しかし、僕は心を鬼にしてデコピンをお見舞いする。


キャピァッ!!


悲鳴を上げながらシウは跳び起きた。


「な、何事なのマスタぁ〜」

「敵襲です。逃げますよ」

「あの白い奴が敵なの? か、勝てるわけないよぉ〜」


やはりトラウマになってるようだ。でもそれどころではないのでシウを抱えて走り出す。幸いまだ彼らは名前の事で言い合ってるようなので逃げる事ができた。


「敵ってあの角の生えた仮面を被ってる子の事だったの? な〜んだ、それなら超強力ネバネバ拘束魔法で捕まえた後、死ぬより辛い究極折檻魔法で情報を吐かせればいいんだよ」


公園の水飲み場で身体を洗った彼女はすっかり元の姿に戻っている。手乗りサイズだったので洗い易かったです。

そういえば僕はまだ彼女のすっご〜い力とやらを知らない。ほのちゃんと呼ばれていたあの子も、シウと同じ【本】の力であれだけの身体能力を得たのなら、僕だって何かしらこの状況を打破しうるすっご〜い力を得られるはずだ。


「要するに君はどんな能力を持ってるんですか?」

「ふふ〜ん。聞いて驚くこと間違いなしの私の素敵で素晴らしい能力は……」「み〜つけたぁあ」


ズドーン


公園の公衆トイレが吹き飛ぶ。夜の公園、刺すような寒さの風を素肌に感じながら対峙する宿命の二人。僕とほのちゃん。


「てぇっめ〜このヤロぉ、人が作戦会議してる間に逃げるとはやってくれんじゃねぇーか。やられ役の怪人はヒーローの変身シーンでは待つという暗黙の了解を知らんのか、アァアン?」


そんなの知らんがな。僕は身をていしてシウを爆風から守る。しかしその代償は大きく、右脚を痛めてしまった。これではもう逃げることができない。


「マスタぁ〜。大丈夫?」


シウが心配そうに呼びかけてくる。正直かなり痛い。飛んできたトイレの残骸が掠り、足は紫色に腫れていた。


「年貢の納めどきだな。観念してその【本】をよこせ。そうすれば玉だけは取らないでやる」


マジでヤクザさんですか貴方……

遅れてしまって本当にすいませんでした。

そして、次の話も一週間を超えてしまうかもしれません。

テストとレポートが固まって押し寄せてきたので何とか各個撃破していきたいところなのです。

できれば次話でまた会えることを願ってます。

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