御徒町樹里の西遊記(番外編その肆)
御徒町樹里はありがたい経典を授かるために旅をするある国の僧です。
僧だけに「そうなんですか」が口癖という訳ではありません。
樹里が乗っている馬は、本当は龍です。
父王である西の龍王の怒りを買い、馬にされてしまいました。
ですから、空は飛べません。
やがて樹里達はある町に差し掛かりました。
そこはある国の軍を追放された連中が巣食う無法地帯です。
樹里達がしばらく進むと、早速悪そうな顔の男が現れます。
「よく来たな。この町は入っただけで金がかかるんだ。有り金全部出しな」
男は凶悪犯顔です。まるで妖怪です。
顔が怖過ぎて軍を追放されたのでしょう。
「うるさいわい!」
早速地の文に突っ込む不細工です。
「不細工言うな!」
更に切れる不○工です。伏字にすれば問題ありません。
男が地の文に切れている間に樹里達は先に行ってしまいます。
「こら、待て!」
男は怒って樹里の前に立ちはだかりました。
馬の馨がその顔に怯えます。
「有り金を出せ」
男は不細○な顔を更に怖くして言いました。
「はい」
樹里は有り金を全部出しました。
「もっとあるだろう?」
男は更に要求しました。
「はい」
樹里は鐘を出しました。
「その鐘じゃねえよ! 同じボケをするな!」
男は切れました。
「はい」
樹里は金を出しました。
「金じゃねえよ、金を出せ……」
男は混乱しています。
「あれ、金でもいいのか?」
男が悩んでいる隙に樹里達は先に進みます。
「おちょくってるのか!」
男が樹里の帽子を刀で跳ね飛ばしました。
樹里の天使の輪が光るサラサラヘアーが広がります。
「申し訳ありませんでした」
男は土下座しました。
「そうなんですか」
樹里達は男の案内で町一番の宿屋に行きました。
「お代は結構です。お好きなだけお泊まり下さい」
ボッタクリを続けていた宿屋の主人も樹里のサラサラヘアーで改心しました。
「そうなんですか」
樹里はまた知らないうちに町を救ったのでした。
めでたし、めでたし。