↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大金星(ジャックポット)で異世界無双? 〜クズ賭博師、チート能力「確率操作」を全て美少女へのセクハラとイカサマに注ぎ込む〜  作者: まつたけひめ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/60

第52話 予選開幕

 大会一日目の朝、闘技場のような会場には、既に二百名を超える参加者たちが集結していた。


「壮観だな……」


 アキトは会場を見回しながら、思わず呟いた。円形に配置された無数の卓、その一つ一つで、これから熾烈な戦いが繰り広げられることになる。観客席にも、既に多くの見物人たちが詰めかけていた。会場全体を包む、これまでにない緊張感と熱気が、肌でひしひしと感じられた。


「予選は、無作為に組まれた対戦相手との一騎打ちです。三回勝ち抜けば、本戦への出場権が得られます」


 係員の説明に、アキトは真剣な表情で頷いた。二百名を超える猛者たちの中から、僅か十六名だけが選ばれるという、この過酷な戦いの規模を、改めて実感していた。



「アキト・サトウ様、こちらへどうぞ」


 係員に案内され、アキトは割り当てられた卓へと向かった。リーゼロッテたちは、観客席から見守ることになる。


「頑張ってください、アキト」


「必ず、勝ってくださいなのです!」


 仲間たちの声援を背に、アキトは静かに卓についた。対戦相手は、初老の、いかにも経験豊富といった風貌の男だった。白髪交じりの髪と、深く刻まれた皺が、長年の博打人生を物語っている。


「よろしく頼むよ、若いの」


「こちらこそ」



 最初の勝負は、ポーカーだった。長年の経験を積んだ相手の手つきは、確かに堅実なものだったが、アキトの読みの鋭さと、大胆な駆け引きの前に、次第に劣勢へと追い込まれていった。相手の僅かな指先の動き、視線の揺らぎ――そのどれもが、アキトにとっては、雄弁に真実を語る手がかりだった。


「な、随分と、若いのに大した腕前だ……」


 初老の男は、驚いたようにそう漏らした。数度の攻防の末、勝負はアキトの勝利で幕を閉じた。


「――俺の勝ちだ」


「見事だ。……この年になって、まだこんな新星に出会えるとはな」


 男は清々しい表情で、そう告げた。敗北を悔やむというよりも、むしろ新たな才能との出会いを喜んでいるかのような、清々しい態度だった。



 その後もアキトは、次々と対戦相手を打ち破っていった。二回戦の相手は、若い商人風の男。彼が仕込んでいた僅かなイカサマを、アキトはあっさりと見抜き、返り討ちにした。


「な、なぜバレたんだ……! 完璧に仕込んだはずなのに……!」


「その程度の小細工、通用しねえよ。俺は前世から、腐るほどイカサマを見てきたからな」


 アキトは不敵に笑いながら、そう告げた。男は青ざめた顔で、逃げるようにその場を後にしていった。周囲で観戦していた観客たちからも、感嘆の声が漏れる。


「あの若造、只者じゃねえな」


「二戦とも、危なげなく勝ち進んでるじゃねえか」


 そんな評判が、次第に会場内に広まり始めていた。



 三回戦、最後の予選の相手は、これまでとは明らかに格の違う、鋭い眼光を持つ女性だった。年齢は三十代半ばほどだろうか、その物腰には、洗練された落ち着きが漂っている。


「あなたが、噂のアキト殿ですね。……私はカサンドラ。よろしくお願いします」


「こちらこそ」


 卓についた瞬間から、これまでとは異なる、緊迫した空気が漂い始めた。カサンドラの手つきには、一切の無駄がなく、まさに歴戦の博徒であることを物語っていた。周囲の観客たちも、この一戦の行方に、興味津々の様子で視線を注いでいる。



 勝負は、これまでで最も激しい攻防となった。互いに一歩も譲らない駆け引きが続く中、アキトは慎重に、しかし大胆に、勝機を探り続けた。カサンドラの読みの鋭さは、これまでの対戦相手とは、明らかに一線を画すものだった。彼女の一挙手一投足に、アキトは全神経を集中させていた。


(この女、只者じゃねえな。……だが、負けるわけにはいかねえ)


 観客席から見守るリーゼロッテたちも、固唾を呑んでこの一戦を見守っていた。


「アキト、頑張って……!」


 ミミの祈るような声が、会場の喧騒の中に、静かに溶けていく。シルヴィアもまた、剣の柄に手を添えながら、静かにこの勝負の行方を見守っていた。


「随分と、拮抗した勝負になっていますね」


 リーゼロッテの言葉に、シルヴィアは頷いた。


「ええ。……あの女性、相当な実力者のようです」



 最終ラウンド、互いの全てを賭けた勝負の時が訪れた。


「では、決着をつけましょう」


 カサンドラの静かな宣言と共に、両者は手札を開示した。


 その瞬間、会場に大きなどよめきが起こった。アキトの手札は、僅かにカサンドラを上回る、ストレートフラッシュだった。カサンドラの手札もまた、フラッシュという強力な役だったが、僅かな差で、アキトに軍配が上がった。


「……見事です。完敗を認めましょう」


 カサンドラは、清々しい表情で、そう告げた。その潔い態度に、アキトも思わず敬意を抱かずにはいられなかった。


「あんたも、大した腕前だったぜ。危うく負けるところだった」


「お世辞でも、嬉しいですね。……本戦での、あなたの活躍を、楽しみにしています」


 カサンドラはそう言い残すと、静かに席を立ち、会場を後にしていった。



「よくやりましたね、アキト!」


 予選を突破したアキトの元に、リーゼロッテたちが駆け寄ってきた。


「ふう、思ったより疲れたな」


 アキトは額の汗を拭いながら、そう呟いた。三連戦を勝ち抜いた達成感と、確かな疲労が、彼の表情に滲んでいた。


「これで、本戦進出が決まりましたね」


「ああ。……だが、まだ始まったばかりだ。本戦には、もっと強え連中が待ってるはずだからな」


 アキトの言葉に、四人はそれぞれ、気を引き締めた。


「ミミも、応援し甲斐があったのです! ご主人様、格好良かったのです!」


 ミミが興奮気味に、そう褒め称える。その屈託のない笑顔に、アキトは思わず頬を緩めた。


「まあ、お前らの応援のおかげでもあるな」


 シルヴィアもまた、安堵の表情を浮かべながら、アキトの元へと駆け寄ってきた。


「アキト殿、お見事な戦いぶりでした。特に、最後のカサンドラ殿との勝負は、手に汗握るものでした」


「ああ、正直、あれは危なかったな。あの女、本当に強かった」


 アキトはそう言いながら、まだ興奮の冷めやらぬ様子で、卓上に残っていたカードを見つめていた。


「予選だけでも、これほどの実力者が揃っているとは。……本戦は、一体どれほどの戦いになるのでしょうか」


 リーゼロッテの言葉に、アキトは不敵に笑った。


「楽しみにしてるところだよ、それを」


 会場の掲示板には、本戦進出者十六名の名前が、次々と貼り出されていった。アキトの名前が刻まれたその瞬間、周囲からどよめきの声が上がった。


「見ろ、あの若造、本当に本戦に進んだぞ」


「三戦とも危なげなく勝ち進んだって話だ。只者じゃねえな」


 そんな評判の声が、会場のあちこちから聞こえてくる。アキトはその視線を、どこか誇らしげに受け止めていた。


「随分と、注目されてるみたいだな」


「当然です。あなたの実力は、既に多くの人々に認められ始めています」


 リーゼロッテの言葉に、アキトは満足げに頷いた。


 掲示板には、他の本戦進出者の名前も、次々と並んでいった。その中には、あのレオナルドの名前も、堂々と刻まれていた。


「あいつも、順当に勝ち上がってきたか」


「ええ。噂通りの実力者のようですね」


 アキトはその名前を見つめながら、静かに闘志を燃やしていた。本戦での対戦が実現すれば、まさに望むところの戦いとなるはずだった。


 ロランの名前も、無事に掲示板に刻まれていた。彼もまた、予選を突破していたのだ。


「ロランも、勝ち進んだみてえだな」


「はい、先ほど、彼とすれ違った際に、報告を受けました。互いに、本戦への切符を手にできたようです」


 その夜、宿に戻った一行は、ロランとも合流し、それぞれの予選結果を報告し合った。宿の食堂には、既に本戦進出を決めた面々の姿も、ちらほらと見受けられた。


「私も、何とか本戦への切符を手に入れました」


「そいつは良かったな」


 ロランの報告に、アキトは満足げに笑った。彼の表情には、僅かな疲労の色が見えたが、それ以上に、確かな達成感が滲んでいた。


「本戦では、また違った形での戦いになるでしょう。……お互い、気を抜かずに参りましょう」


「望むところだ」


 二人は固い握手を交わした。大陸博打大会という大舞台での戦いは、こうして、着実に、その核心へと近づいていくのだった。


 食事を終えた後、四人はそれぞれの部屋へと戻りながら、この一日の激闘を振り返っていた。


「今日一日で、随分と多くのことがありましたね」


 リーゼロッテの言葉に、アキトは頷いた。


「ああ。だが、これはまだ、序章に過ぎねえ。本戦には、レオナルドやロラン、それに、まだ見ぬ強敵たちが待ってるはずだ」


「楽しみですね」


「ああ、楽しみだ」


 二人はしばし、そんな会話を交わしながら、廊下を歩いていった。窓の外には、王都の夜景が、変わらぬ輝きを放っている。


 ミミもまた、興奮冷めやらぬ様子で、今日の出来事を、何度も振り返っていた。


「ご主人様、今日は三回も勝負したのです! 疲れてないですか?」


「まあ、多少はな。だが、悪くない疲れだ」


 アキトはそう言いながら、大きく伸びをした。三連勝という結果に、確かな充実感を覚えていた。


「明日は休息日らしいですね。ゆっくり体を休めて、本戦に備えましょう」


 シルヴィアの提案に、四人はそれぞれ頷いた。長い戦いの序章を終え、これから訪れる本当の激戦に向けて、確かな準備を整えていく必要があった。


 部屋に戻ったアキトは、ベッドに横たわりながら、今日の三戦を、一つ一つ丁寧に思い返していた。初老の男との堅実な勝負、若い商人のイカサマを見破った瞬間、そしてカサンドラとの、まさに死闘とも呼べる接戦――そのどれもが、彼の博徒としての経験に、確かな厚みを加えていた。


(本戦は、もっと厳しい戦いになるはずだ。……気を引き締めていかねえとな)


 そんな決意を新たにしながら、アキトは静かに瞼を閉じた。窓の外から差し込む月明かりが、彼の穏やかな寝顔を、優しく照らしていた。


 隣の部屋では、リーゼロッテもまた、明日以降の予定について、静かに思案を巡らせていた。本戦までの休息日を利用して、対戦相手となりうる本戦進出者たちの情報を、できる限り集めておきたいところだった。


「明日は、少し街を回って、情報収集をしてみましょう。本戦の対戦相手について、少しでも多くのことを知っておくに越したことはありません」


 誰にともなくそう呟くと、彼女は静かにランプの灯りを消した。長い一日の疲れが、ゆっくりと癒やされていく。


 シルヴィアもまた、剣の手入れをしながら、静かに明日への備えを整えていた。本戦の会場となる場所の警備状況や、周辺の安全確保についても、今のうちに確認しておく必要があるだろう。


「明日は、会場周辺の見回りも、しておいた方が良さそうですね」


 彼女は静かにそう呟くと、剣を丁寧に鞘へと納めた。仲間たちの安全を守るという、自らの役割を全うするための準備は、決して怠るわけにはいかなかった。


 ミミもまた、ベッドに潜り込みながら、明日への期待に胸を膨らませていた。


「明日は、街を見て回れるのですね! ミミ、楽しみなのです!」


 その無邪気な期待感に、思わず頬が緩む。長旅と激戦の疲れも忘れさせるような、彼女の明るさは、四人にとって、かけがえのない癒やしとなっていた。


 王都カルディナの夜は、こうして、静かに更けていった。予選という第一関門を突破した四人の胸には、これから始まる本戦への、確かな期待と緊張が、静かに、しかし力強く息づいていた。


 予選という激戦を勝ち抜いたことで、アキトたちの存在は、大会関係者や他の参加者たちの間でも、次第に注目を集め始めていた。無名の一介の博徒から、大陸博打大会の有力候補へ――その変化は、決して小さなものではなかった。


「予選突破、おめでとうございます」


 宿の廊下で、見知らぬ参加者が、そう声をかけてきた。


「ああ、どうも」


「あなたの噂は、既に会場中に広まっています。……本戦での対戦、正直、少々恐ろしくもありますね」


 その言葉に、アキトは不敵に笑った。


「そいつは光栄だな」


 その声援ともつかない、複雑な感情の入り混じった言葉に、アキトは静かな高揚を覚えていた。無名の街の博徒から、大陸中に名を轟かせる存在へ――その変化を、彼はまだ、完全には実感できていなかったが、それでも、確かな手応えは感じ始めていた。


 窓の外には、王都の夜景が、変わらぬ輝きを放ち続けている。予選突破という第一関門を乗り越えた四人にとって、この王都カルディナでの日々は、これからも、忘れられない思い出として、心に刻まれていくことだろう。

 本戦への道は、確実に開かれていた。だが、その先に待つ戦いは、これまで以上に厳しいものとなるだろう。

 だが、四人の絆と決意があれば、どんな強敵が相手であろうとも、必ず道は切り開けるはずだった。

 王都の夜は、静かに、しかし確かな期待を胸に、更けていった。


 カサンドラもまた、その夜、宿の一室で、今日の勝負を静かに振り返っていた。


(久しぶりに、心の底から燃える勝負だった。……あの若者、これからどこまで成長するのか、見てみたいものね)


 彼女の脳裏に、アキトの不敵な笑みが、鮮明に蘇っていた。敗北という結果を受け入れながらも、その胸には、決して悔いの色はなかった。むしろ、新たな才能との出会いに、確かな清々しさを感じていた。


 大陸中から集まった猛者たちの間にも、こうして静かに、アキトという博徒の名が、着実に刻まれていくのだった。

 予選という最初の試練を乗り越え、四人はいよいよ、本戦への扉を、確かに開けようとしていた。

 大陸博打大会、その真の戦いは、これから始まる。

 十六名の精鋭が集う本戦、そこで待ち受けるのは、これまで以上の激戦の連続だろう。

 だが、アキトたちの瞳には、些かの怯みも見られなかった。

 むしろ、その先に待つ新たな挑戦への、確かな期待に満ちていた。

 銅貨三枚から始まった彼らの旅は、いよいよ大陸最高峰の舞台へと、その歩みを進めていくのだった。

 その先に待つのは、栄光か、それとも新たな試練か。

 それは、まだ誰にも分からなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。