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60点だった俺のカンスト人生〜底辺レベル1のアラサー社畜、超難関ゲートに落ちて神竜を簒奪(オーバーライト)したら世界最強になっていた〜  作者: kiro


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人事異動(ランキング再編)と、未知なる生命(特異点)


東京・ギルド本部最上階での『特別会議』から数日後。


日本政府および探索者ギルドは、前代未聞の事態を受けて、公式な【人事異動(ランキングの再編)】を断行した。


一つ目は、S級探索者の順位変動。


北海道での死闘を経て『炎神の加護』を得た神楽坂ミレイと、東京の防衛戦で概念破壊の力を完全なものとした剣聖・天羽。二人のS級限界突破カンストを国は正式に認定した。


ギルドは天羽に「S級第1位」への昇格を打診したが、彼はこれを鼻で笑って一蹴した。


『――断る。俺は現場主義の2番手ナンバーツーでいい。……それに、あんな「引きこもりのクソガキ」の玉座を奪うのは、俺の性に合わん』

現在のS級第1位、【絶対神域】のヨミ。


彼は日本最強でありながら、過去数年間「自室から一歩も外に出たことがない」という生粋のネトゲ廃人ニートである。無数の無人兵器と遠隔魔法をハッキング感覚で操り、自室のゲーミングチェアに座ったまま国を防衛しているという、健人たちとは別ベクトルの「規格外」だった。


結果として、天羽はS級第2位に留まり、ミレイが彼に次ぐ【S級第3位】へと特例で昇格を果たすことになった。


そして二つ目は、朝倉健人の取り扱いである。

天羽の強い警告により、政府は健人を【規格外特別指定・EX(コードネーム:スーツの悪魔)】として認定。彼が目覚めるまでの間、ギルド地下の最高機密病室にて「最重要VIP」として保護(放置)することが決定された。


 ◇ ◇ ◇


そのギルド地下、最高機密病室。


「……ねぇ、朝倉。あなたのスーツ、本当に全然脱がせられないのよ。おかげで私、毎日あなたの顔と手を拭くことしかできないじゃない」


ミレイはベッドの傍らに座り、濡れタオルで健人の寝顔を優しく拭っていた。


かつての高飛車なお嬢様の面影はない。ただ、愛する人の目覚めを待ちわびる不器用な乙女の顔がそこにあった。


「あらあら。S級第3位に昇格した【紅蓮の戦乙女】様が、すっかり普通の女の子の顔になっちゃって」


不意に病室のドアが開き、甘く気怠げな声が響いた。


白衣をだらしなく着崩し、妖艶なプロポーションを惜しげもなく晒した紫髪の美女。


S級第5位、【創世の聖女】白峰桜子しらみね・さくらこ。日本最高峰の回復スキルを持つ、天才にして異端の女医だ。


「白峰先生……! 診察ですか?」


「ええ。国の偉い人たちが『スーツの悪魔の正体を暴け』ってうるさいのよ。物理的なメスも魔法も弾く異常な防具みたいだけど……私の固有スキルなら、防具をすり抜けて『生命そのもの』に干渉できるわ」


桜子は妖しく微笑みながら、ベッドで眠る健人の胸元に、白く細い指先をそっと這わせた。

「さあ、見せてちょうだい。未知のバケモノを素手で解体した男の、生物としての構造カルテを――」


桜子が固有スキル【生命の神秘アニマ・ジェネシス】を発動し、健人の肉体深奥へアクセスした、その瞬間。


「――――ッ!?」


桜子の身体が、雷に打たれたようにビクンッと大きく跳ねた。


彼女の脳内に流れ込んできたのは、ただの人間のものではない。美しくも恐ろしい、巨大な『鼓動』。


桜子のスキルが、かつて見たこともない異常なエラーコードを吐き出す。


『警告:対象の生命深層に【ERROR(測定不能)】を検知』


『対象の魂は、既存のダンジョンシステム階層に属さない未知の【特異点】と完全に同化しています。これ以上のアクセスは拒絶されます』


「……嘘、でしょ。これ、ただの人間の生命いのちなんかじゃない。ダンジョンのモンスターの魔石とも全く違う……既存の次元の枠組みにすら収まらない、未知の『エネルギー体』そのものじゃない……!」


桜子は息を呑んだ。


(まるで、天上の神様がこの世界にポツンと落とした『禁忌の果実(バグの種)』。……彼自身が、その人智を超えたエネルギーと完全に融合し、究極の『生物うつわ』になっているとでもいうの……?)


「あぁ……っ、なんて圧倒的で、完璧な生命力なの……っ!」


桜子は思わず健人の胸にすがりつくように倒れ込み、その場にへたり込んだ。


普段の気怠げな余裕は完全に吹き飛び、彼女の妖艶な顔は熱に浮かされたように真っ赤に染まっている。ふしだらなほどに荒い息を吐きながら、桜子は潤んだ瞳で健人の寝顔を見つめた。

「せ、先生……? 大丈夫ですか!?」


「……ミレイちゃん。私、見つけちゃったわ。最高の被検体オトコ


「はぁっ!? な、何言ってるのよこの変態女医! 朝倉から離れなさい!!」


病室で、赤面したミレイと、危険な執着に目覚めた妖艶なヒーラーによる、健人を巡るドタバタが幕を開けていた。


 ◇ ◇ ◇


一方その頃。

日本の防衛線は、かつてない『絶望インフレ』に直面していた。


ダンジョンシステムが『第2形態』へと強制アップデートされ、モンスターたちのレベル上限が完全に撤廃されたのだ。


だが、そんな地獄と化したダンジョンの中で、たった一人――異常な速度で『成長』を遂げている少女がいた。


【静岡県・A級ダンジョン『暴風の峡谷』】

「……『超重力圧殺グラビティ・プレス』!!」

空間から完全に透過ステルスした状態から、雨宮しずくの魔法がピンポイントで急所へと放たれる。


ズドォォォォンッ!!


レベル2500相当の凶悪な飛竜が、見えない重力の塊に上空から叩き落とされ、絶命する。


神獣クロが影から飛び出し、飛竜の死骸から高純度の魔石だけを食い千切り、再びしずくの影へと透過して帰還する。


『ピロリンッ!』


『――格上討伐ジャイアント・キリングボーナスを確認。レベル:152 → 680』


「……ふぅ。クロちゃん、ナイスアシスト。この調子なら、すぐにレベル1000の壁だって越えられる」


しずくは額の汗を拭い、息を吐いた。

(待っていてください、朝倉さん。あなたが目覚めた時……今度こそ、私が誰よりも完璧な秘書サポーターとして、あなたの隣に立ってみせます!)


 ◇ ◇ ◇


時を同じくして。

人類の与り知らぬ遥か深淵――理不尽なシステムの中枢たる【役員会議室アビス・ボードルーム】。


底知れぬ暗闇に浮かぶ巨大な円卓を囲むように、実体を持たない幾つかの『影』が座していた。


「……北海道の『仮アバター』が破壊されたか」


「下等な泥人形バグどもが、生意気にも」


「セキュリティレベルを『フェーズ2』へ引き上げた。これでもう、我々の階層フロアに届く者はいない」


影たちが無機質な声で現状の「被害報告」と「対策」を交わす中。


円卓の上座に座る、ひと際巨大で禍々しい影が、昏い笑みを浮かべて口を開いた。


「それより……見つかったのか?」


影の言葉に、空間そのものが恐怖で凍りつく。

「我々を裏切り、あの『特異点(バグの種)』を地上へばら撒いた……【愚かな元・役員(裏切り者)】の行方は」


狂い始めた世界と、深淵で蠢く真の神々。

休眠中の「最強の平社員」を置き去りにしたまま、かつてない絶望のデスマーチが今、唐突に鳴り響いた。



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これにて一章終了になります。

拙い文章を読んでくださっている皆様、いつもありがとうございます。


2章も鋭意構想がまとまり次第投稿して参りますのでよければブクマや評価いただけたらモチベーション爆上がりします。(今週末には投稿再開予定です)



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