表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60点だった俺のカンスト人生〜底辺レベル1のアラサー社畜、超難関ゲートに落ちて神竜を簒奪(オーバーライト)したら世界最強になっていた〜  作者: kiro


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/38

死の淵の戦乙女と、炎神の加護(キャリアアップ)


――ふざけるな。


私はS級第4位、【紅蓮の戦乙女】だ。ただ背中に隠れて、守られるだけの女になるために、彼についてきたわけじゃない!!


「……どきなさい、朝倉!!」


ミレイが、俺の背中から飛び出した。100体のレベル3万の軍勢のど真ん中へ、彼女はたった一人で躍り出る。


「おい、バカやめろ! お前のレベルじゃ消し飛ぶぞ!!」


俺の制止を振り切り、ミレイは固有スキル【反逆の業火】を、かつてない最大出力で展開した。


100体の黒い騎士から放たれる絶望的な破壊光線。その規格外のエネルギーを全て双剣で受け止め、カウンターとして跳ね返そうという完全な自殺行為。


ズガァァァァァァァァァァンッ!!!


「――――ぁ、ああ、あ、ああああっ!!!」


激突した瞬間、ミレイの全身を「想像を絶する熱と苦痛」が襲った。


レベル3万が100体。そのエネルギーの奔流は、S級である彼女の許容量キャパシティを文字通り何百倍も凌駕していた。


身に着けていた白銀の軽鎧が赤熱し、ジュウジュウと音を立てて彼女の肌を焼く。


絶対の自信を持っていた「炎の双剣」が、耐えきれずにボロボロとひび割れ、砕け散っていく。

皮膚が裂け、噴き出した血すらも瞬時に蒸発する。


(あ……ぁ……無理、だ……)


視界が黒く塗りつぶされていく。呼吸の仕方も分からない。内臓が炭になるような激痛の中、ミレイは膝から崩れ落ちた。


圧倒的な死の淵。完全なる暗闇。


自分の体が消し飛ぶ音と、遠くで「ミレイ!!」と自分を呼ぶ、血だらけの男の悲痛な叫びだけが聞こえる。


(ごめんなさい……。私、やっぱり……足手まとい、だった……)


意識が途切れ、システムが彼女の【HP:0(死亡)】を宣告しようとした、その刹那。


――『俺は今、虫の居所が最悪なんだ』。


丸の内で、理不尽に会社を奪われ、絶望の中で彼が見せたあの「決して折れない背中」が、ミレイの脳裏に焼き付いて離れなかった。

(……嫌だ)


彼を、独りにしたくない。

ここで私が倒れたら、防具のない彼は、あの理不尽な軍勢に殺されてしまう。

それだけは――絶対に、嫌だ!!


「あ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」


ミレイは、砕け散った双剣の柄を炭化した両手で握り締め、溶け落ちる足で、無理やり立ち上がった。


死の淵で、限界をとうに超えた魂が、システムが定めた「S級の器」そのものを焼き切る。


『ピロリンッ!』


『――個体名:神楽坂ミレイの、生命維持パラメーターの完全崩壊を確認』

『しかし、対象の魂の出力が、規定システムを強制突破オーバーフロー』 

『特殊条件クリア。これより、既存スキルの【覚醒アップデート】を実行します』


死に体だったミレイの身体から、突如として眩いほどの「黄金の炎」が爆発的に吹き上がった。

彼女のステータスはEXクラスの領域には届かない。しかし、S級の枠組みの中における『絶対的な規格外(最高到達点)』へと至り、新たな特性【炎神の加護】を獲得したのだ。


炭化していた傷跡が黄金の炎によって再生し、真紅の髪が神々しい黄金色へと染め上げられる。


「進化スキル――『神滅の業火リベリオン・ゴッドフレイム』!!」


炎の神そのものとなったミレイが、光の剣を振り下ろした瞬間。


レベル3万を誇る100体の粛清部隊の軍勢が、空間ごと黄金の業火に飲み込まれ――一瞬にして灰すら残さず消滅した。


「……はぁっ、はぁっ……! どう、朝倉! 私だって……!」


肩で息をするミレイが、涙と汗で濡れた顔で、得意げに俺を振り返る。


だが、その黄金の炎の余波は、奥に立つ『白衣の執行官(役員)』へも向かっていた。


「……素晴らしい炎だ。既存システムの泥人形にしては、最高傑作だね」


パチンッ。


白衣の男が軽く指を弾いただけで、ミレイが命を賭して放った黄金の炎が、まるで蝋燭の火を吹き消すように「概念ごと」ふっと消滅した。


「な……っ!?」


ミレイが絶望に目を見開く。100体の軍勢を焼き払う威力の炎が、傷一つつけられない。それが、S級の最高到達点と、システム管理者(役員)との間にある、絶対に超えられない『理不尽な壁』だった。


「ご苦労だったね、お嬢さん。次は君が消える番だ」


白衣の男がミレイの心臓を空間ごと抉り取ろうと、冷酷に腕を伸ばした――その瞬間。


「……よくやった、ミレイ。最高にカッコよかったぞ」


血まみれのワイシャツ姿の俺が、ミレイの前に立ち塞がり、白衣の男の腕を『漆黒の右袖』でガシリと掴み止めた。


「雑兵ども(デスクワーク)の掃除、本当に助かった。……ここから先は、俺とこいつの『役員面接』だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ