(仮題)おれはおれの中に閉じ込められてしまった
なんてこった!
おれはおれの中に閉じ込められてることに
今になって 気づいちまった
すぐに逃げなきゃ 手を振って
救命艇を呼んだ
幸い、やつらもこっちを見て
やってきたのは 太ったおっさん
ヒゲ面を愛おしそうに どうでもよさそうになでて
「きみの云いたいことはわかった、まあ、ちと、考えるんだな」
と、手渡してきたのはダンボール
すると おれはやつが持ってたナイフですぱすぱ切られ、
荷物みたいに詰めこまれた
隊員がせっせと運ぶ ダンボールを運ぶ
おれが入ったダンボール、細切れのおれ
ラベルが貼られた まるで商品だ
出港する 牢獄島からの脱出
しかし! 出たはずのおれはまた戻っていた!
この憎っくき島に 舞い戻っていた!
なぜだ!? ふざけやがって おれは地面をぶんなぐる
どうあがいても この島からは抜け出せない
おれはおれの中から 出られない……
ある日 腐った海辺に 小瓶が流れ着いた
手紙が入っている 目を疑った
「あなたの言葉を受け取りました、あなたに会いたい」
おれは思い出した
あの日のダンボール そのラベルに
「言葉」と書いてあったのを