あの日見た誰かも分からないあの子を探すために...
夢を見ていた
眩しく煌る(ひかる)赤い太陽
静かに靡く(なびく)緑の草原
光を包む青い空
風景は明確に覚えているのに、なぜだろう
あの子だけは────思い出せない────
「これで、ピカピカだね」
「やっと帰れる〜」
「じゃあ、みんな夏休み楽しんで〜」
「はーい」
名を名乗っておこうか
『福永 雄大』
世界でたった一つの名前だ
この田舎町『白凪町』に住んでる中学2年生だ
今日修了式が終わり夏休みに入った
田舎なので遊ぶアテもない
もっと言えば、「学校で話す程度の相手」はいるが「放課後遊ぶ程仲が良い友達」はいない
だから僕は帰り道、いつも寄り道をする
『白凪神社』
昔、この町を不作から救った神様である「白凪さま」が祀られてるんだとか
僕は迷信とか、都市伝説とか、幻とかの不確定なものは信じてない
だけど、白凪さまだけは信じてる
理由はなんとなくだけど、出会った記憶がある気がする
だから、僕は毎日この神社で参拝して、会おうとしてる
「今日もなんもなしか…」
そう、合わせた手を話した瞬間
一枚の赤葉が目に入った
「この時期に珍しいな…」
そう思い、その赤葉に近づいた
すると、いきなり一筋の眩い光に包まれた
キラーン
「ん…眩しい…」
目を開けるとあたり一面に水面が広がっていた
「ここは…」
「やぁ…久しいね」
「君は…!」
間違いない『夢』に出てきたあの子だ
その子は緑色の瞳をしていた
「思い出してくれたかな?」
「僕の夢に出てきたのは君だよね?」
その子はゆっくり頷く
「やっぱり…名前!教えてくれないかな」
「そうだね、────とでも名乗っておこうか」
なぜだろう、確かにその子の名前を聞いたはずなのに『理解らない』
「ねぇ!君はさ────」
そう声を掛けた瞬間
今度は一筋の眩しい光に包まれた
目を開けると僕は神社の前に戻っていた
辺りは暗くなり、夜の時間になっていた
「あ、帰らなきゃ…!」
帰路に着く途中先程のことを思い出した
最後、光に包まれた時 あの子の美しい瞳はどこか寂しそうだった
僕は明日も神社に行ってみることにし、寝床に着いた────
また明日。