表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】異世界転移したので、まずはそれっぽい名前を名乗るところから始めようと思います。  作者: いか人参
番外編〜ハッピーエンドのその先〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/86

その後の話12


翌日、ダミの邸に訪問したいと手紙を出したところ、すぐに返事が返って来て無事約束を取り付けることが出来た。


だが、今すぐにジュリアの元に向かいたいアレスとは異なり、テトはもう1日だけ準備の時間が欲しいと駄々をこね始めた。

話し合いを重ねるも二人の意見は平行線を辿る一方であったため、アレスはまたしても適当に嘘を吐くことにした。



『これはデートの下見みたいなものだよ。だからサクッと行こう。ここに時間を掛けると本番の時の感動が薄れちゃうからさ』


『そういうものなのか…それは、早く行った方がいいな。』


こうして、あっさりとアレスに騙されたテト。



そして、手紙を出した日の夕方となった今、アレスは思惑通りテトと共にダミの邸を訪れていたのだった。



は……なんだこれ。。。

ダミの家とは思えない…



そんな失礼なことをアレスが思っていると、長身のテトよりもだいぶ高さのある立派な門が左右に開き、チェックを受けることなくそのまま馬車で敷地内へと入って行った。


邸へと続く道の両脇には、使用人一同がずらりと整列しており、皆馬車に向かって同じ角度で頭を下げている。


ロワール公爵に仕えるレジトリス家の忠誠心はかなり強いということが見て分かる。



しばらく道なりに馬車を走らせるとようやく建物が見えて来た。

公爵家ほどではないが、王都では中々見ない石造りで出来た重厚感のある立派な建物であった。


馬車から降りた二人のことを、ダミとジュリアが出迎えてくれた。



「アレスさん!」


「ジュリアさん!」


感動的な再会を果たした二人は、互いに抱擁を交わした。


人々が去って脅威が迫りゆく中互いに支え合って街に残り、最後にはバラバラに避難することになってしまった二人。

元気な姿で再び会えたことに感極まり、二人の瞳にはうっすらと涙が滲む。


そんなアレスとジュリアのことを、テトとダミの二人は優しい眼差しで温かく見守っていた。



「アレスさんが無事で本当に良かったわ。こうしてまた会えるなんて…信じていたけれど、それでもやっぱり不安だったから……」


「遅くなってごめんなさい。私がもたもたしていたからジュリアさんはダミに捕まってしまったんですよね…いつか必ず、私がこの鳥籠の中からジュリアさんのことを救い出してみせます!もう少しの辛抱です!」


「あらありがとう、アレスさん。貴女は本当に優しくて可愛い人ね。」


「待て待て君たち…ここは鳥籠じゃなくて愛の巣だし、ジュリアも悪ノリするなよ…」


新たな誓いを立てるアレスに、ダミは悲しそうな顔でツッコミを入れて来た。

だが、彼の声を拾う者はここには誰もいなかった。



「アレスさんのためにご馳走を用意したのよ。久しぶりの再会とこの国の無事を一緒にお祝いしましょ。」


「ご、ご馳走…!行きます!!」


食べ物に釣られたアレスは、ダミへの挨拶も結婚祝いの言葉も全て忘れ、ジュリアに続いて元気に邸の中へと入って行く。

仲睦まじい二人の後ろを苦笑しているダミと微笑ましく見ていたテトがついて行った。




「すご………見たことない料理ばかり!そしてどれも美味しそう……!!」


「ふふふ。アレスさんの好みが分からなかったから、色んな地域の料理を用意してもらったのよ。さぁ、召し上がれ。」


アレスは、広々としたテーブルに並んだ料理を片っ端から口に運んでいった。


彼女が澱みなく口に出来るよう、隣の席のテトがせっせと料理を取り分けていく。慌てた使用人がその役を代わろうとしたが、テトが譲ることはなかった。

自分は一切口にしていないというのに、テトの顔はひどく満足そうであった。



「はぁー。食べた食べた。しあわせー。やっぱりみんなで食べるごはんって最高だね。いくらでも食べられちゃう気がする。」


食後の紅茶を片手に、アレスは満腹による多幸感で顔がふにゃふにゃに溶けている。


そんな彼女に、ダミが一瞬だけ鋭い視線を向けた。その後、いつもの顔でなんの気無しにアレスに質問をして来た。



「なぁ、アレス嬢。『アレテト』って人物に心当たりはないか?」


「へ?」


アレスは、口に放り込もうとしていたチョコレートを直前で止めると、彼の質問に答えるべく満腹で動きが悪くなっている頭で思考を巡らせた。



アレテト…??アレテト、アレテト……


なんだか聞いたことがあるようなないような……いや無いな。気のせいだ。この国じゃ聞かない名前だし。こんな特徴的な名前だったら忘れるわけないもん。


なんでこんなこと私に聞くんだろう……




「ないよ。」


アレスは、これで話は終わりと言わんばかりに止めていた運搬を再開し、口いっぱいにチョコレートを頬張った。

奥歯が傷みそうなほどの強い甘さに、アレスは頬に手を添えてゆっくりと堪能した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ