第082話 水中捕獲大作戦
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朝起きてすぐに準備を済ませて、学園に直行する。
本当なら休みの日に学園に行くなんて面倒だなと思ってしまう。
最近は、怠惰な性格も改善されてきているので俺が真人間になる日も近いだろう。
今の時間は8時。
部活動生も流石にこの時間から出ている生徒はいないようで昨日と違い物静かな校舎内を歩く。
コツコツ
この時間に響く可能性のあるこの音はヒールか革靴の歩く音。
うわぁー。この時間にそんなもん履いてんのは、
「おぉーー、霧道じゃないか。こんな時間にいるなんて珍しいじゃないか。どうしたんだ。」
教師以外考えられないよな。
よりにもよって倉谷先生かよ。
他の教師なら挨拶するぐらいで済むのだが、担任となれば朝早い時間に学校に姿を見せた教え子に興味を持たないはずがないだろう。
「おはようございます。」
挨拶だけ素通りチャレンジをしよう。
今、俺が生徒会長に頼みこんで修行をしていると聞いたらもっと詳しい話を聞かせろと言われるに違いない。
そんな時間があるなら少しでも早く今日の練習メニューに取り組んだほうがいい。
あえて、言わせてもらうなら久しぶりに感じる面倒さだ。
「そのまま通す訳ないだろ。」
チャレンジ失敗。
首根っこ掴まれて持ち上げられる。
俺の体重は65キロなのに、こんなに軽々と持ち上げるとは何者なんだこの担任は。
「やっぱ言わなきゃダメですか?」
「別に疑っているとかではないが、何か良からぬことを考えているかもしれないからな。」
「修行ですよ、修行。先生が知っているかどうか分からないですけど、”融合爆発”の完成を目指して。」
「あの”融合爆発”は未完成だったのか。期末試験の映像では見たことがあるが、何も問題はなさそうに見えたが。」
「問題は俺にあるんですよ。使用後の反動で気絶や行動不能になるなどデメリットがあるんですよ。」
「そうかそれは邪魔はできないな。行っていいぞ。」
意外にも簡単に開放してもらえるんだな。
いつもは二日酔いだからあんな絡み方するのか。
「おい!霧道。」
見送ってくれた先生が俺を呼び止める。
まさか、俺の心の中を読んで説教か。
「私が言うのもなんだが、無理はするなよ。」
なんだよ。結局いい先生なんじゃないか。
「先生。俺は無理するのが苦手なんですよ。」
◇◆◇
部屋の前に立って合言葉を唱える。
確かこうだったはず。
「汝、我に力を。我、汝に欲望を。」
こんな厨二病みたいな合言葉にしたのはどこの誰なんだよ。
ちょっとテンション上がるじゃねーか。
これで気合いを入れて始めようか、第2の試練だ。
「事前に知っていたとしてもこれはちょっとないんじゃないか。」
目の前に広がるのは海。
いや、360度全てが海。つまり、海の中にいる。
不思議なことに呼吸はいつものように出来て辛くない。
なのに、ちゃんと感覚は本物だ。
昨日の時点で思っていたのだが、この部屋はホログラムなのか。
個別訓練場にも似た様な物はあるが、これは次元が違いすぎる。
これは何者かの能力なのか、それとも神の悪戯か。
今はどちらでもいいか。
「これでクリアしないといけないのが、クリスタルフィッシュ1000匹捕獲か。そうかそうか、あのクリスタルフィッシュね。ってなにそれ。」
その疑問は数秒もしないうちに解けることになる。
素早い宝石が俺の前を横切る。
まさか、これがクリスタルフィッシュとか言わないよな。
何匹もその魚が元気よく泳いでいるので捕まえてみる。
元気な状態のままでは厳しいので、気絶させる必要があるな。
一瞬の隙を見て最速のパンチを繰り出す。
しかし、スピードは陸上よりもかなり遅い。
それでも運が良いことに気づいていないのでパンチがヒットする。
「いってぇーーーーーーー!」
なんだこの硬さは。
これを捕まえるためには動体視力も一撃の強さも水中で素早く動く方法も必要だ。
確かに強くはなれそうだが、1000匹は流石に厳しいぞ。
これは能力がないと厳しいのではないだろうか。
動体視力の方は意外と早い段階で慣れてくる。
ゆっくりとまではいかないが、攻撃は当てるまではなんとかなるだろう。
問題はあの硬すぎる硬度の鱗で覆われていることだ。
「あぁ、そうかよ。なら直接捕まえてやるまでだ。」
こうなれば気絶させてから捕まえるのは無しだ。
幸い、捕獲した魚をカウントするための袋はあるみたいだし、直で捕まえてそのまま袋に入れてやるよ。
結果は失敗。
捕まえたのは一瞬でその後は手の中で暴れてどこかに逃げてしまう。
水中で強いパンチを放つ方法があるのだろうか。
力を入れすぎると水の抵抗力で威力が落ちる。
なら途中までは無駄な力を抜いて攻撃を当てる瞬間のインパクトを強める。
「”秘技 水中魚取り”」
バチーーーン!!!
鱗が破壊されることこそなかったが、その衝撃によって気絶するクリスタルフィッシュ。
この1匹を捕まえるのにかかった時間はだいたい2時間ぐらいだろう。
ここから調子を上げていっても今日中に終わらせるのは不可能かもしれないな。
その後も無言のまま練習に励んだ。
結果は約430匹。
明日は今日よりもコツを掴んで多く捕まえることができたとしても半日以上はかかるだろう。
明日で3日目。しかも、2個目の練習を終わらせるのに明日までかかるのであれば、残り4日で2つの練習メニューを終わらせなければいけない。
しかも、ホログラ・アルファを倒さなければいけないことも考えると時間が足りない。
寮の門限は確実に過ぎてしまうが、まだここで練習を続けるか。
なぜだろう。体は確実に動きやすくなり、自分の思い描いた動きが全て出来てしまう。
楽しい。自分の成長を確実に実感できて。
時間がどのくらい経過したのか分からなくなってしまう。
きっと外に出たら辺りは真っ暗だろう。
しかし、それでもいい。
なにせ、2日目にして練習メニューを2つも終わらせたから。
疲れた身体で外に出て寮まで帰る。
さっきまでずっと水中にいたから変な感じがして気持ち悪い。
その感じのまま寮につくとベッドに倒れこんだ。
ここまでは前半戦。
明日から一段と厳しい練習になることは間違いない。
その分、強くなっていることは実感できている。
あのメニューを完璧にクリアしたときが楽しみだ。
気絶する様に眠りにつくなかでぼんやりとそう思った。
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次回は、月曜日投稿予定です。
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