第058話 頑固者
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明日は決闘の日。
その前に俺は会っておきたい人がいる。
コンコンコン
「いいわよ。入ってきなさい。」
「夢衣の友達の霧道 歩です。少し聞かせていただきたいことがあってきました。」
「あぁ。貴方ね。なんの用かしら。」
俺は大柏の母親を呼び出した。
この人からは聞いておかなければいけないことがある。
「夢衣についてのことです。なぜ、夢衣はこの家が嫌いなのでしょうか。」
完全に怯えていた姿をここ数日見せていた夢衣だったが、俺からしたら多少意地悪な部分もあったが普通の家系と変わらない部分も多い。
あそこまでの反応を見せるということは過去に何かあったに違いないだろう。
「私の方が知りたいわ。と言いたいところだけど、いくつか心当たりはある。」
やはり最大の原因はこの母親にあるのだろう。1番恐怖の感情を示していたのもこの人へだった。
後悔の念があるのか罪を告白するかのように語り始める。
「私はあの子が幼い頃から仕事ばかりに熱中していた。そうでなければ、女性だけで生きていくには不自由だったから。」
「女性だけってアンタ夢衣の下にも3人子供がいるだろ。」
「3人だけじゃなくて、6人全員養子よ。元々は私のお腹から生まれた子供ではないの。私が後継者にする為に施設から引き取った子供達なのよ。」
後継者を探す為に。
まさかその為だけに子供を育てたと言うのだろうか。
「最初は、しっかりとした教育を施して私の後を継がせる。ただそれだけを考えていた。でも、気付けば私も心だけは母親になっていたみたいで子供が可愛くなってきたいた。」
それで6人も引き取って我が子のように育てあげたのか。
確かにキッカケは褒められたものではないが、全てが悪いとも言えないな。
「話しが逸れたわね。夢衣は元々メンタルの強い子では無かったけど、私は普段構ってあげられない分教育はしっかりとしないといけないと思い厳しく育て上げた。」
「それでアンタが怖くなってしまったとでも言うのか。」
「それは本人に聞いてみないと分からない。でも、それも充分理由として考えられるでしょうね。私と違ってあの子は優しすぎたの。だから、私の母には心を開いていたわ。家族で唯一の心の拠り所だったのでしょうね。」
だからあそこまでおばあちゃんのことが好きだったのか。
納得がいくところが増えてきた。
「任せてしまったのよ。本来は私がしなければいけないはずの心のケアを母にね。私は自分が罪を重ねていることを知りながら他の男達に舐められないように企業を大きくしていく今の地位を作りあげてきた。お金も名誉も何不自由無い暮らしを作りあげた頃には手遅れだった。」
「それで今の夢衣が出来たと言うことか。他の姉妹もちょっと悪戯好きが多いし、幼い頃は悪意だと感じ取ってしまっても不思議ではないか。」
「そうでしょうね。それに、あの子気付いたのよ自分が私の娘では無いことに。」
成長していけば自分が養子であると気付く場面が増えてきたも何も可笑しなことではない。
しかし、夢衣にとってはショックだという感情が色濃く残ったことだろう。
「1つ質問してもいいですか。だとしたら何故今回無理矢理でも家に戻るように夢衣に言ったんですか。夢衣の為を思うなら学園に残らせてあげるのが良いと思わなかったのですか。」
「あの子が普通の学校に通っていたならそうしても良かったでしょうね。でも、白ヶ峰学園は国家専属能力特殊防衛部隊を育成する学校。卒業したら進路は特防を選ぶ者がほとんどよ。あの子は特防がどんな所か本当の意味では知らないのよ。」
「本当の意味ですか?国を守るために戦争の代わりに試合を行う機関ですよね。」
「それだけではないわ。この世にはね、能力を悪用する人間なんて御満といるのよ。それを抑制する為に動くこともある。それに、国同士の戦争を代理するのよ拉致や人質として狙われることも少なくないわ。つまり、命の危険が付き纏っているのよ特防には。」
それで自分の家業に連れ戻して安全に暮せるようにさせたかったということか。
確かにそれだけの危険性もあればリバイブを持っていたとしても隙を疲れたり次の時間までにやられてしまう可能性だって考えられる。
「そこまで夢衣のことを思っているならなんで本当のことを言わないんですか。誤解が解ければ仲の良い家族になれるかもしれないじゃないですか。」
「あの子の居場所はもうここではないみたい。きっと私が本気で説得したとしても戻ってはこないでしょうね。なら、憎まれたって構わない。悪役になっても構わない。それでも子供に生きていて欲しいと願うのが親でしょ。」
意地を張っているのだろう。本音で話すことが怖くなっているのかもしれない。
第三者の俺からすれば都合の良いことを言って逃げいるだけに過ぎない。
それで、余計に夢衣が傷ついていることに気が付いていない。
俺はどうしてもこの子供思いで不器用な頑固者に腹が立ってしまう。
「わかりました。それだけ聞ければ満足です。」
聞きたいことは聞けた。もう夜は遅いのでここでいつまでも問い詰めることは出来ない。
ただ、この部屋を出る前に募った怒りを吐き出す。
「夢衣は、アンタの頭の中で生きてるわけじゃない。見ているようで何も見てないな。」
ただそれだけを言い残した。
勝ってあの母親がやっと夢衣のことをちゃんと見てくれるようになった時に、始めて親子としても会話になるだろう。だからこそ、他の姉妹には悪いが中途半端な勝ちじゃなくて圧倒的勝利を俺達が貰うぞ。
部屋の方に戻る途中で夢衣が外の景色を眺めていた。
「寝なくていいのか。」
「歩君かぁー。そっちこそまだ起きてたんだねぇー。今から緊張してねぇー。」
「俺達は勝つぞ。確かに他の姉妹も強いかもしれないが、こっちには負けられない理由と強い絆はあるだろ。」
「そうだねぇー!1人じゃない。3人一緒なら神様にだって勝てるかも!」
2人で夏の夜の綺麗な景色を眺めながら話しをした。
これが最後の思い出になってしまうことがないように。
心の中で強く願った。
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