閑話 狂気の世界
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「あの風次先生。この子本当に能力は発現してないでしょうか。」
「そうですね。この歳で発現してないっていうのもなくはないですけど、一般的には近年10歳までに発現すると言われていますからね。」
俺は、10歳までに能力が発現することはなかった。
この世界でそれがどれほど重大なことを意味するかなど幼いながらも理解していた。
母は俺のことを悲しそうな顔で見つめては
「大丈夫だから。お父さんからはちゃんと説明しておくから。今日は早めに寝なさい。」
と同じことを言うばかりであった。
口では大丈夫と言っているが、本当は母も父のことが恐ろしくて恐ろしくてたまらないのだろう。
家に帰りつくとまだ6時なので父の姿が見えない。
それでもどこか緊張した空気を母から感じている。
「もう、寝なさい。きっと大丈夫だから。」
風呂に入り、ご飯を食べた後に母をそう言い残して皿を洗い始める。
もう何年も父とは同じ食卓でご飯を食べてはいない。
母はこれ以上口を開くことはなかったので大人しく寝室に行き、寝なければいけないのだということ察した。
この目を閉じれば全てが解決していることはないだろうか。
この目を開ければ全てが夢だったということはないだろうか。
そう思いながら現実から逃げるようにして眠りにつく。
次に目を開けたのは、大きな物音がした夜中のことだった。
近くに行ってはいけない。
覗いてもなにもいいことなどないということはない。
そんなことは分かっていても幼い俺には興味を止めることはできなかった。
「どいうことだって聞いてんだよ!!!あいつに能力がないって言われた!?ふざけんじゃねーぞ!」
母に掴み掛かる父を見つけてしまった。
母を助けたいという気持ちはあったが子供の俺には恐怖心が勝ってしまい1歩も動くことが出来なかった。
「俺はな現役の特防隊員だぞ!!!その息子が能力も使えない落ちこぼれだと!!誰が笑われると思ってんだ!」
拳を振り上げた後のことは怖くて見ることができなかった。
逃げるようにして寝室に戻り、布団の中に身を隠すことしかできない。
震える体をなんとか落ち着かせようとするがそれもできない。
恐怖から眠りにつくまで何時間もかかったのは覚えている。
朝起きると母の姿はどこにも見えない。
俺は声を出して探すことすらしなかった。リビングの机には1枚の手紙が置いてあるのを見つけたから。
内容は見なくても何が書いてあるのか想像するのは簡単だった。
『これを見るのは多分、英司あなただけだと思うけどこの手紙を残すことにします。私は、最初から貴方を裏切るつもりでいたことをまずは謝らせてください。英司に能力がなければきっとアイツが怒り出して私を殴ることは分かっていました。だから昨日が最後のチャンスだと思い病院に行くことにしたのです。英司に能力がないと聞いてあまり驚きはしませんでした。何せ、世界の3割は能力を持たない人間がいるのです。それが自分の息子だとしても何も可笑しなことはないでしょう。でも、アイツは私を殴った。何度も何度も。昨日だけじゃない。今まで、何度も何度も。無責任に逃げ出してしまう私を許してください。このまま貴方の母親を続けたらきった憎くて憎くてたまらなくなる。最後まで私は母親だったと言いたい私の我が儘に貴方を巻き込むことになってしまうけど、私はもう限界でした。』
手紙と一緒に離婚届が置いてあるのも見つけた。
結局、母も父と変わらなかったのだ。自分のことが1番で他の人間のことなどどうでも良い。
俺は捨てられたのだ。
存在はしている両親から。
涙こそこぼれなかったが、出てくるのは怒りと憎しみばかりである。
産んでくれと頼んだわけじゃないなどとは言わないが、産んだのはお前らの意志だろうが。
それなのに思った通りじゃないから気に食わないなんて意見が許されるはずがないだろう。
しかし、俺にはこの家から出ることすらできなかった。
1人で生きて行くにはあまりに未熟すぎた。
知恵もなければお金もない。
だからこそ憎い父に頼るほかないのである。
夜中になると父が帰ってきた。
いつも厳しい訓練をこなしているのか疲労が溜まっているのは目に見える。
でも俺には関係のないことなので、離婚届を父に見せた。
「あいつ逃げやがったか。チッ。どいつもこいつも使えないやつばかりだ。お前、母親に捨てられたんだから悲しそうな顔しろよ。気持ちが悪い。」
俺はただ睨むことしかできなかった。
力で勝てないこと分かっていたのでささやかな反抗として。
「なんだその目は!いつもいつも気に食わないんだよお前は!」
昨日と同じように拳を振りかざす父。昨日と違い怖さなどなかったいつかこいつは俺の手でと決めているから。
しかし、振りかざした拳が飛んでくることはなかった。
「チッ。そういえば明日お前を連れていくところがあったんだった。命拾いしたなついてるぞお前。」
そういって風呂場に向かう父。
俺はさっさと寝室に向かい寝ることしかできなかった。
◇◆◇
翌朝、俺は父に連れられてとある研究所に連れてこられた。
何が起こるか全く説明もされていないので不安で仕方ない。
今更反抗することもできないので父の後ろを追いかけるしかできなかった。
「おい。解山、例の奴を連れてきたぞ。」
「本当に自分の息子さんを連れてこれたんですね。本当に貴方は恐ろしい人だ。」
「そんなこと言っていると帰るぞ。知ってると思うが俺はあまり気が長くなくてな。」
「冗談ですよ。冗談。それに報酬もしっかり用意してありますから。」
少し解山という男と会話をして、俺は謎の部屋に連れて行かれた。拘束具が置いてあり、そこにいるように指示を出される。
「ちょっと痛むかもしれないけど、これが成功したら我々の成長に大きく貢献できるから我慢してね。」
今から何が始まるのだろうか。身動きすら取れない状態で泣き叫ぶこともしない。
ガガガガ
周りの機械が動き出す音が聞こえる。
何かの光を身体に当てられていく。
「ウガァアアーーー!痛いーーー!痛いよーーーー!!」
衝撃が走るような痛みに思わず声を上げてしまう。
しかし、それでも機械が止まることはない。
気絶してしまって目が覚めたときには全てが終わったときだった。
「成功だ!成功したぞ!ついにやりとげたぞ。人工的に能力を発現されることに。」
「喜んでいるところ悪いがどんな能力なんだ。」
「”自我なき狂戦士” 自分の意識が薄れてしまう代わりに内に眠る本能を解放させ闇の力に変える。この子にはピッタリの能力でしょうな。」
俺に能力が発現したのか。
俺にはこれが復讐の合図だったとしか思えなかった。
あいつもそしてこいつも全て俺が必ず。
ご覧いただきありがとうございました!
次回は、明日投稿予定です。
そして、ついに2章に突入します!
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