第042話 絶望の瞬間
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次が準決勝か。時間まで少しあるので休憩をできるうちにしておこう。
まさかここまで俺達が勝ち上がってこれるとは思わなかった。
これもアイツのおかげだな。
準決勝の相手は、まだ決まっていないのでどういった対策をするかも考えられない。
ただ間違いなく勝つのが難しくなってきていることは確かである。
自販機のところまで移動するといつもは販売していない期間限定の商品が売っていたので興味本位で買ってみた。
「うげーー。これまずいな。面白そうだからって買ってみるもんじゃないな。」
「随分と余裕そうだな霧道。」
誰だよこんな時に話しかけてくるのは。
口直しにサイダーを飲んでいる俺に後ろから声を掛ける人物がいた。
振り返るとそこに立っていたのは、来井の姿があった。
まさかコイツの方から話しかけてくるなんて仲直りでもしたのかとも考えたがそんな様子ではないようだな。
「俺は今から始まる試合に必ず勝ち上がる。そうすれば、お前と当たる可能性は高くなる。待ってろよ首は俺が必ず持っていく。」
「お前が勝ち上がる保証なんてどこにもないだろ。できれば、勝ち上がってこないことを祈りたいな。本当にリバイブ貫通して殺してきそうだ。」
「勝ち上がるのは絶対だ。これは変わらない事実。」
飲み物を買うこともなく会場の方に戻っていく。まさか、それだけを言いにきたのかよ。
本当に面倒なやつに目を付けられたな俺も。
「おーい!探したてござるよ霧道殿!」
今度は銀丸が俺を探していたようだ。俺はいつから人気者になったのだろうか。
出会いが多かった1学期のことを少しばかり振り返って現実に戻る。
「期末試験はどうだ銀丸。お前のチームは勝ち上がったみたいだけど。」
「い、今霧道殿が拙者を名前で呼んでくれたでござるか!!?拙者、感激の涙で前が見えないでござる!」
「大袈裟すぎるだろ。いろいろあってな、何人か名前で呼び合うことになったんだ、後で夢衣からも言われると思うぞ。」
「む、そうだった歩殿に話しがあって来たのでござった。」
「俺にわざわざ用ってなんだよ。もったいぶらないで言ってくれよ。」
「拙者、友達として歩殿には真剣に勝負して勝ちたいと思っているでござる。準決勝か決勝かわからないでござるが待ってるでござるな。」
「期末試験だからこそ俺もお前とは決着をつけておきたいな。お互いベストを尽くそう。」
そう言って握手を交わして会場に戻った。
第3回戦は無事に終わったらしく。次の試合の組み合わせが発表された。
俺達の次の相手は氷室のいるチームだ。それも1試合目。
ここまで来て当たる大きな壁。
これで勝たなければ決勝まで進むことが出来ないことはハッキリしている。
だからこそ、決勝で当たりたかったチームだ。
「歩行くぞ。敵が誰であろうと怯んでいたら勝てないからな。」
チームの仲間にも、自分にも言い聞かせるようにして話す白太。
こういう時にチームを引っ張る存在がいるというのは心に余裕ができてありがたい。
「これより準決勝を始めたいと思う。両チーム悔いのないように全力で挑むように。始め。」
これまでの機械的なアナウンスとは違い教師の声で開始の合図が宣言される。
俺達は開始直後から相手に仕掛けていくため全力でフィールド内を駆け出した。
こちらから不意打ちを仕掛けても氷室には効かないであろうことを知っているので、ならば最初の一撃から全力をぶつけようということである。
1階と2階をすぐさま通り抜け3階にあがろうとしたその瞬間。
「”我流 夕暮れ提灯”」
火花を散らした斬撃が俺達に襲いかかる。
「”結界術師 封護障壁”」
咄嗟に結鈴の能力で防いでくれる。
来井は氷室のチームだったのか。
氷室単体でさえ相手するのは難しいのに来井までいるとなると。
来井は1人で3人の生徒を相手できる程の能力を持っている。
自主的に使わないとは言え、発動したら面倒だ。
「お前じゃないから邪魔をするんじゃない。俺は霧道と戦えればそれでいい。」
俺と1対1を望むやつが多いな。楽に勝てそうだからってやめてほしいな。
コツコツコツ
奥の方から革靴で歩く音が響く。
徐々にその姿が見えてくる絶望感が俺達を襲う。
「おい、氷室。もっと早くここまでお前が来ていれば俺は問題なく霧道と戦えた。」
「君が勝手に走って行ったのではないですか来井君。ちょっと変わってますね。」
ツッコミどこらが多いがこれも試験なので警戒を怠らない。
「それと霧道さんは僕がお手合わせしたいのですけど。」
「それだと誰が他の3人を止めておくんだ。リーダーらしくしてほしいものだ。」
2人の会話を邪魔しないように結鈴が喋りかける。
「歩って何者なのよ、こんなに色んなやつから勝負仕掛けられるなんて。もしかして、前世は指名手配の大罪人なんじゃないだろうね。」
「俺もなんでか教えてほしいんだけどな。それより相手も話し合いが終わったみたいだな。」
こちらの方を向き直る2人。後2人もどこに隠れているのか分からないので注意が必要だな。
「しょうがないですね。今回は僕が折れてあげますよ。来井さん貴方本当に君は変わった人だ。」
「最初からそうしていれば良かったんだ。”我流 狂い咲き”」
今度は広範囲の斬撃をいくつも放つ来井。
恐らく氷室が援護に入るだろうな。
「大丈夫か歩!”鋼質化 全身鉄鋼”」
「すみませんが僕も役割があるので早めに仕事をさせてもらいますね。”原初の凍氷 分断された氷山”」
モール内を2分割する氷の壁が出来上がる。
これを壊すことよりも今は目の前の攻撃に集中だ。
「”錬金術師 知識の錬成”」
ロケットランチャーを錬成した。
これであれと組み合わせれば威力アップになるのは間違いない。
「”錬金術師 元素錬成”」
ドゴォーン!!!
大きな音を慣れして放ついつもより大きな火の玉。
俺にも副作用が来ていないことからも成功したと言って問題ないだろうな。
相殺された技を見てやはり怒りを隠せなくなる来井。
「お前はやはり危険と認定した。ここで全力を出さざるを得ないな。」
どうやらあれほど嫌がっていた能力にも頼るほど俺が憎いようだ。
そう感じながら変わりゆく来井の姿を見ていた。
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