第032話 小さくて確実な1歩
誤字脱字や文章の下手さについてはご了承下さい。投稿予定時間になるべく投稿できるようにします。
よければ、評価とブクマ等していただければ幸いです。
ここまでは最悪のスタートだ。
「じゃあ1番弱い俺から軽く自己紹介を。クラス・フォースの霧道だ。能力は”錬金術師”。まぁ、色々作ったりできるといったところだ。雑用なら何でもするが、戦力になるかどうかの自信はないな。」
「次は私がさせていただきます。クラス・サード、月野 小鳥です。私の能力は”憑依する魂核”です。取り憑いたり、取り憑かれたりすることができます。相手の行動を少し妨害できるかもしれないので、今回の試験は得意かもしれませんね。」
「じゃあ俺も。クラス・セカンドの鋼江 白太だ。俺は、”鋼質化”っていって触れたものを鋼のような性質に変化させれる。俺はガンガン前線を張ることしか考えてないからお前ら足引っ張るなよ。」
「最後は私ってことね。クラス・ファースト、界。”結界術師”、結界を張れる。守りなら得意かもね。」
自己紹介とは名ばかりでどこか探りを入れている。
与える情報も少なければ、もらえる情報もない。
ここは実際に見せ合うしかないだろう。
「言葉だけじゃ分からないし、実際に能力を見せ合わねーか。」
鋼江から提案してくる。
界と月野は発言こそしているが、主体的に何か提案してくることは少ない。
俺はそもそも発言力がないが、ここぞという時は意見としっかり伝えていこう。
そのためにこういう時は率先して俺が動くことにしよう。
「”錬金術師 知識の錬成”」
いつも錬成している戦闘の補助する武器を見せる。
まだ手札はあるがこれだけ見せれば今のところいいだろう。
「なんだよこれ。まさかこれで頑張ってくれとか言わないよな市販と変わらないじゃんかよ。」
悪態をつく鋼江。俺のことが嫌いなのか知らないが、いちいち噛みつかないでもらいたい。
まだ奥の手を隠していることに気付いているからこそ噛みついてるというのもあるだろうがな。
「能力ってのは、こういう普通ではありえないもののことだぜ。”鋼質化 アームズアームド”。」
腕まで鋼のようにできるのかよ。自分で攻守共に補えるのはかなり良い能力だ。
って、なんかこっちに迫ってきてないか。
ドガッーン!
おいおい、俺の隣の地面すれすれを殴りやがった。
「なにやってるんですか!今、霧道君に当たりそうになってたじゃないですか。」
「この張り詰めた空気を変えようと思ったジョークじゃん小鳥ちゃん。怒らない怒らない。」
本当に当てる気がなかったのはなんとなく分かっていたがそれでもやりすぎだ。
これまでの時間は全て主導権を握っている鋼江。
痺れを切らした界がやっと動き出す。お前がリーダーにならなければ機能すらしなぞ、このチームは。
「”結界術師 封護障壁”。アンタここでうるさいしうざいからそこで反省しててくれない。」
四角の防護壁。鋼江が何か叫んでいるようだが、何も聞こえない。
能力も使っているが壊れる様子はない。
しばらくすると、両手を挙げて降参の意思を示している。
界が能力を解除すると少し大人しくなっていた鋼江。
無駄に暴れれば抑える人間がいるということを確認したのだろう。
それとも、ここで界の実力を見るための計算だったのか。
「あ、あの。私の能力も実践して見せますね。”憑依する魂核 乗り移る魂”。」
月野の意識を失ったように倒れ込む。
すると、界が急に喋り出す。
「私が今、界さんに乗り移っています。威力は弱くなりますが、乗り移った人の能力を知っていたら使うこともできますよ。”結界術師 封護障壁”。」
実際に結界に入っていた鋼江が、軽く攻撃をする。
3発ほど攻撃を与えた瞬間に結界が壊れていく。
確かに元の使用者よりは効果が弱い。それでも強いのだがな。
「よしゃっ、これで自己紹介も済んだところで何するんだ、今から作戦会議って感じでもなさそうだぜ。」
余計なことまで考えさせられるのは明らかなので、俺的にも作戦会議は無しだな。
「とりあえず、ホログラくんでタイムアタックするのはどうだ。ゲーム性をもたせた方が余計なこと考えないで集中できるんじゃないか。」
俺にしては気の利いた提案だな。
これで場の空気が変わって欲しいという願いも少し込められているけどな。
「んーー。ま、それでいっか霧道にしては良い案なんじゃねーの。俺も考えるの疲れたし身体動かしたいしよ。」
「私もそれでいいわ。変な探り入れられてるの良い気持ちしないから。」
「それじゃあ、私も。」
なんとか残り時間の使い方はチームで一致した意見を出せた。
今後のチーム練習でも仲良しこよしで終われば平和で有難い。
まずはクラス・ファーストの界からということになった。難易度はもちろんプロフェッショナル
カウントは俺がストップウォッチで計測することになった
[これより訓練モードを開始します。難易度プロフェッショナル スタート]
「”結界術師 封動陣”」
足元や腕に結界が展開されそこから1歩も動けなくなるホログラくん。
そこにナイフを投げる。遠くてよく見えないが何かナイフに細工が施されているように見える。
グサッ
刺さってから少しすると訓練モードが終了する。
致命傷になる箇所を刺したわけではないのに終了したということはやはり何か能力を使っていたのだろう。
技名を唱えずに発動するのは、かなりの技術と才能を有する。
聞こえないように小声だったのか無詠唱だったのか気になるが次回だな。
界の結果は21秒。
自分から距離を詰めないのでナイフを飛ばして当たってから何かしらの能力が発動するまで少しタイムロスした印象だった。
それでもこのタイムは優秀すぎるがな。
次は鋼江の番になる。
俺が計測を開始すると同時に距離を詰める。
ホログラくんの実力は、武器を持たないため遠距離に少し弱いが近距離はかなり強い。
それでも近距離戦闘を仕掛けるということは自信があるのか。
「”鋼質化 アームドアームズ”」
さっき見せていた技か。
ホログラくんの攻撃を当たる直前で躱して、カウンターを喰らわせる。
体勢こそ崩したがまだ完全に倒れていない。
「”鋼質化 リキッドメタル”」
予め用意してたであろう容器から水滴を飛ばす。
すると徐々に鋼のような物体に変化してき、ホログラくんの体を貫通した。
鋼江の結果は30秒ジャスト。
どちらかと言えばタイムよりストレスを発散しているような戦い方だったのでまだ隠された本気があるのかもしれない。
しかし、身体能力だけで言えばこのチーム内では圧倒的トップだな。
3番目は、月野。サポートは得意そうだが、1人での戦闘はどのようなものだろうか。
まずは、能力で戦闘準備から始まる。
「”憑依する魂核 玄人降霊”」
誰かを自分に憑依させたのだろう。
表情や目付き、立ち振る舞いまでが普段と違ったものになっている。
武器としてもっていたナイフでホログラくんと戦闘を始める。
「女の身体ってのは動きにくいぜ。それに、調子が出ないから今度はナイフじゃなくて刀を用意してくれよ。」
ぶつぶつと文句を言いながら戦っているようだ。
あくまでも身体能力は月野のままらしく憑依したやつも自由自在に身体を動かせてはいないらしい。
それでも、見事な剣術で確実にダメージを蓄積させている。
月野の結果は、38秒。
他の2人が良い結果を残しすぎて、普通くらいに思えるが一般的なタイムと比べれば素晴らしいと言えるだろう。
「最後はお前だぞ、霧道。ホログラくん相手ぐらいは、良い結果残してくれないと本当にお荷物だぜ。」
俺の有用性を少しくらいはアピールしておく方がいいか。
俺が位置に着くと訓練モードが開始される。
「”錬金術師 元素錬成”」
修行の時と同様に数え切れないほどの火の玉を錬成した。
新しく取得した技のうちの1つを序盤から見せる。
その理由は、この技のインパクトと他の3人がまだ探りを入れていて本気ではない状態だからこそ俺の最善を見せる。
いくら練習とは言え俺の方を出しておけば少しは使えると思うだろうしな。
半分くらいしか命中しなかったがそれでもホログラくんを倒し切る。
俺の結果は、20秒ジャスト。これでも、界とは1秒差か。
「なんだお前最初っから飛ばしてきたな。なかなかやるみたいじゃねーか。俺が本気出せば簡単に越せるけどな。」
意外にも感心したといった感じの鋼江。まさか、褒められるとは思ってなかったな。
「すごいですよ霧道君!いつの間にあんな技を身につけたんですか!」
月野に関しては、俺よりもテンションが上がっている。自分のことのように喜べるとは綺麗な心を持っているな。
界は、何も言わず結果の出ているモニターだけを見ている。
それが悔しさなのか、それともまた別の感情なのか分からなかった。
今日は解散となり。明日から本格的に活動を開始しようということになった。
最初は鋼江が悪目立ちしていたが、最後の方は少しは俺を有用だと思ってくれたようだしこのまま明日も順調にいってほしいのだがな。
こうして俺達は小さくて確実な1歩を踏み出した。
データベース
名前:鋼江 白太
年齢:16歳 5/17生まれ
趣味:カラオケ、SNS
備考:少し女好きの生徒。自分の実力に自信を持っていて周りを和ませるために冗談をいうことが多い。ちなみに、本当に好きな女には不器用である。




