↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

作品を公開するという事、公開しないという事

作者: 相浦アキラ
掲載日:2022/12/29

 誰かに読ませるつもりで文章を書く時、多くの制約が書き手を蝕んでいます。表現の自由があると言っても他人の自由を侵害しない限りにおいての事ですから、誰かに公開する文章は多くの制約を受けているのです。反社会的行為を賛美するような事は書けませんし、個人の誹謗中傷やプライバシーの侵害、差別的な表現もダメです。なろうだと過度のエログロも禁止されています。別に私はアブノーマルな表現を率先して行いたい訳ではありません。しかし少しでも社会の枠による制約を感じてしまうと重い鎖に縛られているような気になってしまうのです。また、無意識に人気を得ようとしてしまったり、作者として好かれようとしてしまったり、読者の期待に応えようとしてしまったり……。そういった作者としてのの社会的思惑も無意識の制約として働いてしまうでしょう。これはあまり良い事ではないと私は思います。


 作品としての視点は本来、社会の枠から自由でなければなりません。作品の視点が社会に縛られていては、桃太郎のような勧善懲悪しか書けなくなってしまいます。こういった社会の見えない縛りから自由になる為には、誰にも公開しないつもりで書くのが一番です。そうする事で社会の枠から外れ、「書きたいから書く」という一番純粋な形で書く事ができます。


 実際、私が書く文章の殆どは誰の目にも触れない非公開のまま、なろうの執筆中小説一覧やスマートフォンのメモアプリに連なっています。そこには様々な断片が転がっています。個人的な日記、呪詛的な散文、下らない話、読んだ本の感想文、没にした失敗作等が大量に並んでいます。それらは脈絡がなく雑然としていますが、自由が溢れています。そうやって自由に触れていると、逆説的に自分が何に縛られているのか見えてくる気がします。そして、何のために作品を公開するのか考え直す事ができます。作品を公開するという事は、私にとって辛い行為です。私の中だけにあるうちは、作品は私だけの世界です。作品としてどこまでも飛んでいけそうな神秘性を帯びています。ところが作品を世界に向けて投げかけると、作品は飛ぶには飛びますがすぐに地に落ちてしまいます。誰かに消費され、利用され、評価され、あるいは唾棄され、無視され……いずれにせよそのまま世界の中に埋もれていきます。いくらポイント稼ごうが同じことで、時間が立てば結局は埋もれていきます。だから私は作品を公開した時、堪らなく孤独で惨めな気持ちになる事があります。子供が独り立ちした親はこんな気持ちになるのかもしれません。


 私には最早ポイントを稼ぎたいという気持ちも、評価されたいという気持ちも、誰かを楽しませたいという気持ちも殆どありません。私は書きたいから書いています。それなのに、何故こんな辛い思いをしてまで作品を世に出さねばならないのでしょうか。ずっと自分の胸の中で温めて、自由で神秘で特別な状態のままでいさせてあげられないのでしょうか。何のために作品を公開するのでしょうか。「作品を甘やかさず、地に足を付けさせたい」「言葉に縛られている以上、存在として縛られている以上、自由などあり得ない事を認なければならない」「世界に対する何らかの義務を果たしているつもりになりたい」……理由は時と場合によって様々です。そもそも理由など後付けで、書きたいから書いているように、公開したいから公開しているだけかも知れません。答えなど無いのかも知れません。


 誰の目にも触れる事がない「執筆中小説」の山を漁っていると、色んな事を考えさせられます。……この文章もその山に埋もれる事になるかも知れませんが、どうするかは明日また読み返して考えようと思います。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] わたしも、短いものですが完成しているのに表に出していないものがいくつかあります。 投稿して非公開にしているもの、投稿せずに執筆中にしたままのもの。 >作品としての視点は本来、社会の枠か…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。