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第6話 帰還

精霊を通じて、イアさんの位置を確認する。

既に魔力反応を覚えていたため、すぐに見つけることができた。


イアさんと合流する。

声をかける。


「イアさん、終わりました。大丈夫ですか?」


驚いたように私に振り返る。


「…はい!大丈夫です。リリさんこそ大丈夫ですか?」

「死にかけましたけど、なんとか大丈夫です。もう治療もしました」

「なら、よかった」


イアさんは安堵した表情を浮かべる。


「さて、帰りましょうか。その前に、服を乾かしますね」


イアさんも私も雨でびしょ濡れになっていた。


イアさんの服の上に手を当てて、精霊の力を借りて、服を一瞬で乾かす。

その後に自分の服も乾かす。


「はい終わり。イアさんの服は修復できないので我慢してください」

「えっ。すごい。魔法でこんなこともできるの?」

「魔法じゃないくて精霊の力ですけどね」


私にイアさんは尋ねてくる。


「私を治療してくれたのはあなた?」

「はい。瀕死だったのですが上手くいったようでよかったです。他の二人は手遅れでした」

「ありがとう。二人については悲しいけど、あなたのせいではないから気にしないで」


イアさんはそういって少し悲しそうに微笑んだ。


「私の傷は致命傷だと思ったのだけど、あなたの力ってすごいのね」

「たぶん生命力が残っている人なら治せると思う」


さらに聞かれる。


「さっきすごい音がしたけど、あれはあなたの?」

「はい。精霊の力で稲妻を落としました」

「天変地異が起きたのかと思ったわ。精霊の力を見るのは初めてだけど、魔法とは比べものにならないくらい強力ね」


そういえばと、この人の装備を見た時に気づいたことを聞いてみる。


「イアさんは魔術師ですか?」

「ええ、そう。だからこそ、あなたの力が普通の魔術師の枠から外れた力だということはわかる。聞いていなかったけど、あなたのランクはA?それともS?」

「Eランクですよ」


イアさんが呆然として固まった後に反応する。


「いやいや、おかしいでしょ」

「登録したのが数日前で依頼も受けていなかったので。この依頼達成すれば、ランクは上がると思いますけど」

「Bランクの私がいうのもなんだけど、少なくともAランクは確実。あなたの見た目にどうみてもただの女の子にしか見えないのに、世界は広いわ…」


呆気に取られているイアさん。

まあ、それは置いておいて、そろそろ帰りたい。


「私は帰りますけど、イアさん飛べます?」

「飛行魔法なんて高等魔法使えるわけないじゃない」


高等魔法なんだ。

せっかくなのでイアさんの知識を覗かせてもらう。

魔法の知識に関して特に重点的に。


なるほど。

飛行魔法が使えるのは国内でもごく少数。

風の制御が難しすぎて、並の術師では無理と。

一般的には自分を吹き飛ばしての緊急回避ぐらいが関の山らしい。


イアさんの知識を整理していると聞かれる。


「リリさんは魔法は使えないんですか?」

「全く使えない。学習すれば使えるのかもしれないけど。精霊の力を借りることができるから、あんまり必要性を感じない」

「そうですか。魔法を学びたかったら私が教えますよ」

「ありがとう。気が向いたら、頼むかも」

「ぜひ」


そんな他愛のない会話をしていると、空に赤みがかかってくる。

あと数時間で日が完全に落ちてしまうだろう。


イアさんに話しかける。


「早く帰りましょう。手を繋いでください。ソラフィスまで飛びます」

「えっ。は、はい。わかりました」


少しおっかなびっくりといった様子で手を差し出したイアさんの手を握る。


二人で飛んだことはないけれど、たぶん何とかなるような気がする。

精霊に確認したが、問題なさそう。


「それでは、イアさん。いきますよ」

「っ、はい」


精霊に願いを伝えると私たち二人を風が空に舞いあげる。


「イアさん、綺麗ですよ」


目を瞑っていたイアさんが目を開ける。

目の前には広い空が広がっており、夕陽があたりを照らしている。


「…きれい」


二人で少しの間それを眺めていた。イアさんの目は少し潤んでいたように見えた。

その後ソラフィスにそれなりの速さで飛行する。

イアさんの分のゴーグルはなかったため、目を閉じてもらっていた。

精霊からの情報を頼りに、飛行する魔物を避けて飛んでいった。


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