七話 魔王様ユニットを組む
少し進みます
「遅かったですね?」
「私は全然……大丈夫です」
二人のまさに反対の少女がいた。
「あぁ。スマン、俺が部屋を間違えてな」
高圧的な態度をとる少女は、呆れたように溜め息を吐き、おとなしい女の子は安堵の溜め息を出している。
「さて、全員揃った事だし自己紹介と行こう。名前と出身地」
「まずは君から」と、私にビシッと指を指す。
「え……アッハイ」
私は咳払いをして、自己紹介をする。
「私はマオと言います。出身地はコトヤ……王都カンナ区です」
危なかった。もう少しで、本当の出身地を口にだしてしまうところだった。
「うんうん。良い所だよね。次、君」
プロなんちゃらが、おとなしそうな女の子に指を指す。
「はい……!私はナデシコと言います。出身地は和都トウキョ区です。どうぞよろしくです」
そうナデシコは、黒い髪を揺らしてすわる。名前の通り動作が可愛い。
「うんうん。良いところだ。べっぴんさんも多くてね……失礼、次の方」
態度の悪い少女が睨みを効かせ、次に進ませる。
「ボクの名前は、マキナ。出身地は王都アガビナ区」
青髪のマキナと名乗った少女は、ドスンと音を立てて座る。
反抗期なのだろう。ジニーも酷かった。だから分かる。親御さんが大変だ。
それにアガビナ区?大金持ちの住む場所じゃないか。すると、この子はボンボンか?
「さて。じゃあ次は俺の自己紹介を」
ピシッと背を伸ばし、ぷなんちゃらが言う。
「俺の名前はパピロン。パピプロデューサーと呼んでくれ」
ビミョーだった空気が、さらに気まずさを加速させる。
「言いにくいわね」
先陣を切るように、マキナが言う。
「はい。……失礼ですが言いにくいですね」
「そう……だね……。うん。言いにくいです」
ナデシコ、私と連なり打撃を与えていく。
少女三人に文句を言われ、見事撃沈するパピなんちゃら。
「うぐぐぐ。よし。それじゃあ自己紹介を終えたところで、ユニット名を決めて貰おう!!」
それでも立ち上がり、元気に進めていくパなんちゃら。コイツの適正役職、絶対これじゃないだろ。
「ユニット名ですか」
「あぁ。珍しくヒューマン族だけのユニットだ。なんか特別なのを頼むぜ」
まぁ、私は元なんですけどね。
それを口に出さず、私は「はい」と、返事をする。
「じゃあ、後は任せるぞ」
「「「え?」」」
三人の声が重なる。
「おう、なんだ?俺は他のアイドルも兼任してるから、もう行かなきゃいかないんだ。スマンな?」
そう言って、部屋を出ていく潤滑油。お前がいなけりゃ話が進まない。
出ていく背中にそう、語りかける。
だが無慈悲にも、ドアはバタンと閉まった。
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