三話 魔王様修行をする
作者「早く進めよ!?」
もう一人の僕「まだ序章です!」
コレが起きてます
「ぜぇ……ぜぇ……」
息を切らし、地べたにペタンとお尻を付かせる。私は今、無駄に大きい庭を走り終えた所だった。
額から溢れるように出る汗を拭いながら、自分の体力の無さを実感した。
キツすぎる……。
照りつける太陽が煽るように、照りつけている。
くっ………全盛期の引きこもり生活が懐かしい。
「休んでいる暇は無いですよ!!」
部下でありトレーナーと化したジニーが、私の前に立つ。
立ち上がれと言わんとする顔を、見ないフリをして座り続ける。
「てか、何で私と並走していたジニーは平然としてるの?」
「言葉使い。私の事はトレーナーとお呼び?」
ピシッと姑のように、細かく言ってくるジニー。
「うぐぐ……」
これも……あいどるになるため……。
「と、トレーナーは何で、疲れていらっしゃらないのですか?」
「よろしい。それは私が作った、ポーションで体力を水増ししているだけです」
「それ、私も使っちゃだめ?」
「ダメです」
ダメかぁ……。
速攻で拒否をされる。確かに、アイドルがポーション漬けってのもアレだと思うし。
「ポーションがダメなら、魔法は良いの?」
私は疑問を口にする。
「はぁ……なんのためのこの、トレーニングだと?」
「すみません」
部下に叱られて少しうなだれる。
「はぁ………まぁ、五百年も寝てたんですから、しょうがないですけどね」
なら、手加減してくれよ!
「それに女体化させるとき、魔王様のほとんどを消し去ったので、イタズラレベル以外は使えませんよ」
「マジ?」
言葉使いを忘れてつい、素が出る。
「えぇ。分かってるとお思いですが、筋力面も大幅に低下させました。貴方ただの娘ですよ」
「なんでさ!?」
そこ下げる必要ある!?
「だって嫌じゃないですか?フィジカル、マジカルめちゃ強少女」
ぐっ……言われてみれば……。
筋肉ムキムキで魔法を使う……それはアイドルではなく、魔獣だろう。
「さて、こんな無駄話をしてる暇では、ありませんでした」
うげげげげ。このまま話を伸ばしてらトレーニングを止めさせる計画がバレた。
「と、言いたい所ですが残念ながら、今日はここまでです」
ヤッターーーー。
「解放だ!」
私がバンザイをして、喜んでいるのをジトーと見ながら、ジニーは言った。
「まぁ、言ってくるいませんでしたが、明日勇者の対面式があるので、掃除があります」
げぇ……。五十年に一度ぐらいの糞イベント来たよ。
「私が眠ってる間も、そんな文化残ってたの?」
「えぇ。私が全部やってましたよ。感謝してください」
「ありがとう……」
接待とか私不在の誤魔化しとか、大変だったろうに。
「ん゛ん゛ん。話を戻します」
凄い咳払いをして、ジニーは話をもとの場所に戻す。
「あと、私の実験に使う薬が切れたので、買ってきてください」
そう言って、意味のわからない薬品が沢山書かれた紙を渡してくる。
「はぁ」
「私はこれから、普通の女の子を魔法少女に変える薬を作るので……」
その薬、いつ使うの?
俺の言葉が出るよりも早く、ジニーは逃走していった。
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