表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/18

二話 魔王様憧れる

毎日投稿頑張ります

「はぁ……」

五百年分の話を聞き、試しに町に出てみると確かに変わっていた。

人々の服はもっとカラフルなモノになっていたし、家の素材は木から、なんかよく分からない白いヤツに変わったりしていた。


前に働いていた職場があった場所は、とんでもない高さの建物に変わっていた。

「はぇ……」

私はそれをボケッと見ているしかなかった。


全てを見終わった後、酒場の一角に席をとりジニーと座る。

知らない間に20以上にならないと、酒が飲めないとか、変な条例ができたらしい。

そのせいで14歳の私が飲んでるのは、謎の黄色の甘い液体だった。


「そんな溜め息を、吐かないでくださいよ」

「はぁ……」

無限に溜め息が出てくる。

私が持っている硬貨は五百年前のもので、当然高くなってると思ったのだが、なんと、思ったより安かった。

当時、高級料理店を店ごと買っても、お釣りがくるぐらいあった全財産を換金しても、現在の価格の10000ゼル──つまり一ヶ月二人で生きるのに、少し心もとないぐらいだった。


「さて、仕事はどうするんですか」

私の財布の中身を、すべて換金し終えたジニーがそう言う。

「そうだね……」

疲れていた私は、冗談混じりで適当に酒場に貼ってある紙を指す。

「これでいいよ」

それはそうと、ホントに早く仕事を見つけないと……。

「ホントにですか!?」

ジニーが珍しく驚いてる。

内心焦っていた感情が、そっちに行ってしまう。


「分かり……ましたwブフォww」

なんかジニーが耐えきれず、失笑している。そんなにヤバイ仕事だったのか?

「どれどれ?」

俺は自分が指した紙を見る。

それには、新人アイドル募集中!!

と書かれていた。

「あい……どる……?」


なんじゃそれ?

目が点になりながら、酒を呷り(あおり)爆笑しているジニーに聞く。

「あはははwあれですよwあれ」

そう言って、酒場のほとんどの客の視線が、注がれている箱形を指差す。


「……これが、あいどる?」

そこには沢山の光に包まれて、笑顔で躍り歌う女の子たちの姿があった。

「………眩しいな」

ほとんど、無意識に言う。

「でしょうね……ずっと寝てたんですから」

呆れたように、変わらず酒を呷っているジニーの声を無視して、俺は名の知らない女の子たちに魅了される。


………すごい。この子たちはステージに立って、人々を喜ばせている。

ただ"魔王"として君臨していた私と違い、こうしてカタチに残している。


「………ジニー」

「はい?何です?魔王様」

「私………あいどるやるよ。手伝ってくれるか?」


私は部下に問う。

「なぜです?貴方のような者がアイドルになると?」

「私も……人を笑顔にさせてみたくなったから………かな?」

人を恐怖の対象として居るよりは、人を笑顔にするものとしていた方が良いからね。


また呆れたように溜め息を吐き、ジニーは私の目を見つめる。

私はその目を見つめかす。

「分かりましたよ……そんな、雨の日に捨てられた子犬みたいな顔しないでください……」

「本当か………?」

なんかおかしな事言ってるが、ジニーみたいな知識の宝庫が手伝ってくれるのはありがたい。


「その代わり、一流にするためビシバシ鍛えますからね」

不穏な事を言い、ジニーは酒場の席を立った。

「あぁ」

私もそれに答えるように、立ち上がる。

「はいダメ。可愛い女の子は、返事にあぁ。なんて言いません」

いきなり酔っているのか大声で、ジニーは叫び出す。

「えぇ………」

もう始まってるの?


「返事は『はい!』で!!」

「は、はい!」

「もっと、声を可愛く!媚びる感じで!」

「はい!?」

声を………可愛く!?無理!後、最後のは要らんだろ。


そんな感じで周りの白い目を全身に浴びながら、私のアイドルに向けての生活が始まって行った。



感想、レビュー、ブクマ、評価、拡散待ってます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ