プロローグ
書いてみました。
「はじめまして。五代目勇者のマリロックです」
閑散としている魔王城で、私、 魔王は勇者と対面していた。
対面って言っても、戦うわけではなくただ文字通り対面しているだけである。
「よろしく……。魔王だ」
私は手を差しのべ、好青年のマリロックは、私の岩のように固い手を取り握手を成立させる。
「なんだか不思議ですね。絵本に出てくる魔王と勇者は戦いあっているのに、僕たちは平和に握手をしている」
「あぁ。世界が平和になったからだ」
そう言い、いつもなら部下がいるハズの場所を見る。
だが、誰もいない。
世界が平和になり、魔族もアンデット族も囚われる必要が失くなったからだ。
だから一人を除き私は暇を出し、ここに残った。
「そういえば、魔王さんってなんで平和になった今、君臨し続けるのですか?」
無邪気な目で勇者は聞く。見た目はヒューマンだからどこでもいけるのに、と言いたげな表情だ。
「それは……私が"魔王"だからだ」
「魔王……だから」
そう。この平和な世界、恐怖の対象が居なければヒューマン族は争いを始めるだろう。
私はその抑止力代わりだ。 私だけが悪になることで、世界が救われる。無駄な血が流されないのだ。
「そう……ですか」
それを聞き、悲しそうに笑うと勇者は
「僕も……"勇者"として頑張りますよ」
そう、誓った。
「あぁ。頼むぞ」
「ところで、さっき廊下に居た女の人って?」
「あぁ。私の部下のジニーだ。一応ヒューマンだぞ」
「え?貴方の奥様ですか?」
驚いたように言う勇者。
「いや、子供のようなものだよ」
「そうですか………」
私は勇者の気持ちを察する。
まぁ、恋愛ごとに関しては私が口を出すことではない。
というか、ジニーには若いんだからさっさとこんなところを出て、幸せをつかんでほしいものだ。
「まぁ、お堅い話しはここまでにして、今日は酒場で飲もう。王家直属に化しきりをしてくれた」
「はい!お義父さん!」
はやい。……気がはやいよ?
そんなことも考えながら、私と勇者は友好を祝って酒場へ向かった。
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