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アイドル危機一髪【完】


「いやまぁ、フルーツフィールド解散は予想してたけどさ」


 俺が北斗とはるかを社長室へ、弾正が葛原を警察署へ連れて行った後、事件は俺たちの手を離れた。北斗とはるかへの処罰も、葛原の今後も、俺たちに決める権利はない。口を出す権利もない。


 自分たちの手を離れた事件は、報酬をもらうのみ。それが終われば、後のことなど知ったことではないが。


 一カ月後、砂橋さんは自分の向かいに座る桃実、苺果、藤の三人がいた。


「まさかまたアイドルグループとして復活するなんて思わなかったよ」

「はい!私たち、フルーツスプラッシュってグループで再始動するんです!」


 真ん中に座った苺果は元気よく自分たちの新しいグループ名を紹介した。砂橋さんはテーブルの上にあるライブのチケットを見て呻いた。ちらりと視線をカレンダーへと向けた。チケットは三枚あった。俺と砂橋さんと弾正の分だろう。


 また締め切りへと終われる日々に戻った弾正はライブに行けないだろう。ライブの日にちを見る限り、俺も砂橋さんも予定はない。


「予定があったらライブ行くね」


 砂橋さんの言葉に桃実が「やった!」と両手を控えめに叩いた。


「ところで奈々さんは?」


 俺が疑問に思っていたことを尋ねると、藤がそれに答えた。


「あの子は、アイドルよりもやりたいと思ったことをやるみたい。今は水泳に没頭してるわ」

「そうなんです。奈々ちゃん、すごいんですよ。この前見に行ったらすっごく速いし、綺麗に泳ぐんです!」


 どうやら、喧嘩別れではないらしい。


 彼女たちは近況やこれからのことをしばらく話して、三人してお礼を言うと帰っていった。


「どうしようかなぁ、これ」


 砂橋さんはチケットを一枚持ち上げると困ったように眉尻を下げた。俺は机に残った一枚のチケットを取った。


「俺は行きますよ」

「笹川くん、アイドル好きだっけ?」


 俺は視線を巡らせた。

 それから自嘲気味に笑う。


「案外、俺、ああいうの好きかもしれません」


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