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アイドル危機一髪【27】


「探偵……」

「そう。ところで、君だけを呼び出した理由は分かるよね?」


 僕は目の前に座った彼女はこくりと頷いた。


 理由は明白。それは僕と彼女の間に置いてあるスマホで停止されている動画だ。動画には目の前に座っている彼女が映っている。


「ただゴミをいれて嫌がらせしてるんだと思ったけど、違うよね?」


 毎日たった一つゴミをいれて、何をしたかったのか。


 それは警告。


「2、7、7、5、5、5、3、3。何かのパスワードとか思ってたんだけどね。暗号だったら面白いなぁって思って考えてみたんだよね」


 一文字が一つのアルファベットやひらがなに当てはめられるか、とか色々思い当たる節を考えながらスマホで桃実とやり取りしてる時に、ふと思いついたことを試してみたのだ。


 スマホではなく、ガラパゴスケータイ。ガラケーと呼ばれていたもので文字を打つ時、こんな感じに同じ番号を何度か押していたな、と。


 手元にガラケーはないため、同じような配置になっているはずのスマホのキーボードを見てみた。


 2が「か」、7が二つで「み」、5が三つで「ぬ」、3が二つで「し」。


 かみぬし。


 いや、分からない。神主ともとれるが、こんな単語が出てくるわけがない。


 アルファベットで考えてみると、2が「A」、7が二つで「Q」、5が三つで「L」、3が二つで「E」。


 AQLE。


 単語にもならない。いや、しかし、並んでいる同じ数字がセットとは限らない。分けてみたり繋げてみたり。そうしたら。


 アルファベットで考えてみると、2が「A」、7が一つで「P」、7が一つで「P」、5が三つで「L」、3が二つで「E」。


 APPLE。


「りんごって伝えたかったんだよね。リンゴのジュースの紙パックも、リンゴの飴の包み紙とか。全部ゴミだと片付けられたから今回は意味深な暗号にして残したとか?」


 目の前の彼女は「はい」と言いながら頷いた。


 フルーツフィールドは果物と密接に関係している。


 だから桃実という名前と依頼書に書かれていた本名が違っても「なるほどな」と感じるだけだった。疑問を持ったのはライブのパンフレットを見ていた時だった。



 桃実は桃担当。

 苺果は苺担当。

 藤は葡萄担当。

 はるかは蜜柑担当。

 奈々はバナナ担当。



 桃実と苺果と奈々はなんとなく果物の名前をそのまま名前に使っているようだった。芸名は果物に寄せているとしたら、藤とはるかは何故寄せていないのか。


 いや、寄せていたのだ。


 蜜柑にははるか、葡萄には藤稔という品種がある。


「確かに……リンゴに関係する名前の人いるもんねぇ」


 僕はスマホを自分のポケットへとしまうと彼女に微笑みかけた。


「それじゃあ、君がこの警告をした訳を教えてくれる?」


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