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アイドル危機一髪【19】


 桃実にはタクシーで帰ってもらい、探偵事務所には砂橋さんと俺が残った。


「そういえば、誹謗中傷についての調べはどう?」

「5ちゃんねるっていう掲示板サイトは知ってますか?昔は2ちゃんねるって名前で有名だったんですけど」


 俺がそう話を切り出すと砂橋さんは「うん、知ってる」と頷いた。


「そこで色々言われてましたよ。まぁ、アンチってのはどこにもいるので度が越えてるってわけじゃないですけど……たまにいるんですよね。いきなり根も葉もない話を投下してる人間とか」

「例えば?」


「枕営業でしかアイドルできないとか、はるかの二番煎じとか、口パクとか、色々。それを桃実が見てしまったんでしょうね」


 砂橋さんはソファーの背もたれに深く腰掛けながら深く息を吐いた。


「どこからどこまでが誹謗中傷かが分からないよね」

「人によってどれを悪口と取るかは違いますからね。それこそ、砂橋さんも俺もちょっとやそっとの悪口じゃびくともしないじゃないですか」


 それこそ、俺だって服装やらメイクやら人に心ないことを言われることはよくある。それこそ「男?女?どっち?」と無神経に聞いてくる奴の方が悪口よりも多いが。フランクと無礼をはき違えている奴の多いこと多いこと……。しかし、そんな奴らを構ってやるよりは無視して自分の好きなことに使う時間を作った方が有意義だ。だから悪口や無礼など俺は後に引きずったことがない。


 砂橋さんもそういうタイプだと俺は勝手に思っている。


「えー、なにその、僕の心臓に毛が生えてるみたいな言い方」


 不服そうに砂橋さんは眉を寄せる。


「じゃあ、砂橋さんがネットで「コイツ、バカだぜ。探偵なのに」って書かれてたらどう思います?」


 俺の例えに砂橋さんはきょとんと目を丸くした。少しだけ考えるように口の中の飴玉をガリッと音を立てて噛み砕いて視線を斜め上へと持ち上げる。


「え、バカだなぁって……だって、事実無根じゃん」


 それもそうだ。砂橋さんは事実ではないことを自信満々に宣う人間を鼻で笑う人間で、自分の実力をきちんと理解している。


「そういうところですよ」


 砂橋さんは砕いた飴玉を飲み込むと、何か気になるように首を傾げながら「ん~?」と声をあげた。


「でも、少し気にはしちゃうかも。あ、情報漏れないようにしてる僕より、小説家の弾正の方が悪口多そう」


 ぴくりと俺の眉尻があがる。確かに小説家として少しは名が売れているだろう弾正ならアンチも多いだろう。しかし、と俺は気にくわない弾正の顔を思い浮かべる。


「弾正は……そもそもファンの言葉とかわざわざ見ないでしょう」


 俺の言葉に砂橋さんはぽんと手を打った。


「確かに!」


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