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B級ホラー幽霊事件【3】


「僕、キャラメルね」


「じゃあ、俺はチーズコーン」


「弾正は残った塩味ね」


「……」


 俺の決定権はどこに行ったんだ?


 俺がテレビの電源を付けている間に砂橋も宮岸もソファーでくつろいで、自分の前に選んだポップコーンを置いていた。宮岸に至っては鞄から取り出したDVDを無言で俺に差し出してくる。


 解せないながらも受け取ったDVDの表面には何も書かれていなかった。白いだけの表面。DVDショップで買ったものでは決してないだろう。


「これは?」


「後輩たちが今年の夏合宿で撮った映像だよ。ほら、俺、大学の頃、映研にいただろ?」


「ああ、なるほど……」


 映研とは、映像研究サークルのことだ。


 前にどんなことをやっているのか聞いた時、宮岸は「映画を観たり、映画を撮ったりするところ」と話していたが、強制連行されて見に行った学園祭の時の不気味な雰囲気の特殊設定の映画はなかなか面白かった思い出がある。


 確か、スマホに知らない人間から連絡が来て、ブロックすることもできずにその連絡先から予言が来るというものだった。あの映像は砂橋からも「なかなか面白いんじゃないの?」と好感触を示されていた。

 彼の後輩たちが作った映像であれば、期待はできる。もう大学を卒業した宮岸が映像を見たいと言い出し、仲のいい後輩から映像のデータをもらうのも頷ける。


 しかし、宮岸が苦手なホラーだったために、彼は俺と砂橋に助っ人を求めてきたのだ。しかも、一緒に映像を見るだけのために手土産をこれだけ持ってくるとは。


 つくづく呆れるが憎めない性格の友人だ。


「どんな話かは聞いてるの?」


「今年は二年の誰かの親が所有している別荘に行って、そこで撮ったらしい。……なんと! その別荘の近くには数十年前に廃墟となった洋館があって、よく訪れた人が行方不明になってるらしいんだ!」


 ずいぶんと真剣な顔で砂橋に話し始める宮岸に対して、砂橋は半ば呆れた視線を向けていた。どれだけ真剣に怪談話を話したところで俺も砂橋も怖がりはしないだろう。宮岸でもあるまいし。


「へぇ、ふーん、そうなんだー」


「しかも、その洋館では昔惨殺事件があったみたいで……犯人はまだ捕まっていないみたいなんだ!」


「……へぇ」


 怪談話には興味を一切持っていなかったのに、惨殺事件があったと聞くや否や反応するのは是非ともやめてほしい。


 俺はDVDをセットして、ソファーへと座ろうとした。しかし、絶妙に砂橋と宮岸が二人分として座っているため、俺は宮岸の足をけった。


「寄れ」

「うっす」


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