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教授のラブレター騒動【完】


 浜元教授が自分のマグカップの中のコーヒーを飲み終わる頃には、大学二年生の頃に起こったラブレターの事件の話は一通り振り返り終わったところだった。


「結局、松永くんが本人たちの名前を伏せようとしたのに砂橋くんがさっさと喋ってしまったのを見て、思わず私が笑ってしまったんだよね」


 砂橋に会ったばかりの俺はまだ砂橋の笑顔の裏に隠れた性格の悪さには全く気付いていなかった。今、もう一度同じことが起こったのならば、砂橋がわざと大きな声を出して磯貝に自白するように促せたのも、最初から浜元教授宛てのラブレターではない可能性を視野にいれていたことにも、気づいたはずだ。


「砂橋くんは君と違って、結局他のゼミに入ったけど、まさか、松永くんと砂橋くんがずっと仲良くしているとは思わなかったよ」


「仲良く……」


 絶対に俺と砂橋の関係は「仲がいい」などと言えるようなものではない。むしろ、ただの腐れ縁としかいえないだろう。


 大学二年生の頃から、もう五年も経つ。たかが五年、されど五年の付き合いだが、間違いなく俺と砂橋の関係は腐れ縁だ。


 切ろうと思っても切れない縁。


「君のこれからの活躍も期待してるよ、松永くん。いや、弾正くん」


「期待をされても、公演はこれっきりですよ」


「ばれてしまったか」


 浜元教授は笑い声をあげると俺の前に置いてある空のマグカップをとった。もらったミカンはポケットの中に突っ込む。


「また面白いことがあったら連絡してくれ」


「……面白いことを経験したら誇張や付け加えて本にしているので、俺の小説を読んでください」


 つっけんどんにそう言うと浜元教授は「知ってる」と目元に皺を寄せて笑った。


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