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学校潜入編【29】


「そうだ。弾正から連絡、忘れてた」


 僕は弾正から貸してもらったジャケットのポケットからスマホを取り出した。


 メールが一件。もちろん、弾正からだ。


『二年二組の担任は七瀬だ。それと今、二年二組にいるがどうやら葛城はいじめの加害者らしい』


 思わず「わぁお」と声を出すと隣にいた猫谷刑事が怪訝そうにこちらを見下ろしてきた。


「今、弾正、二年二組にいるみたい。葛城がいじめの加害者らしいって言ってるけど」


「いじめ?二年二組でいじめがあったんですか?」


 先ほど、猫谷刑事と一緒に話を聞いた七瀬さんからはいじめがあったようには思えないという回答をもらっただけに猫谷刑事は確認するように僕に問いかけた。


「弾正が二年二組の方でどんな話をしているかは知らないけど、そうなんじゃない?」


 今は二時間目、授業中だ。


 弾正が二年二組の生徒に話を聞いているのなら、今はちょうど自習の時間なのだろうか。


「おい、二人とも。生徒手帳の持ち主だが、二人とも昨日は家に帰っているが、夜からいなくなっているらしい」


 戻ってきた熊岸警部の隣には渡辺校長が立っていた。今まで、生徒の親への連絡先などを聞いて連絡していたらしい。


「最後に生きている二人が目撃されたのは?」


「どちらも母親が夜の九時に家にいるのを確認している。しかし、その後、外に出たとしても気づかなかったと言っている。父親も同様らしい」


 池の底に転がる男子生徒を見やる。きちんと制服を着ている彼は一度家に帰っているらしい。


 それならば、彼は昨夜、家に帰り、怪しまれないようにいつも通り過ごし、夜になったところで制服に着替えて家を抜け出したことになる。


「どうして、彼は夜の学校に来たのかな」


「それを今から両親に聞きに行くんでしょう。それとDNA鑑定のために」


 死体の彼は今のところ本人確認のためによく使われる歯もガタガタの状態でしかもほとんどの歯が持ち去られている状態だ。一応、親とのDNA検査も試して、死体の持ち主をはっきりさせたいんだろう。


「砂橋はどうする?」


「どうしよっかな。……どっちの家庭にも連絡したんだよね?」


「ああ、そうだが」


「殺した子供を匿っている可能性はないの?」


 熊岸警部は数秒の間、黙っていたが、やがて口を開いた。


「電話をかける前に校長から家の住所を聞いて、待機させている」


「ふーん。それなら安心。それじゃあ、僕はしばらく裏庭でお昼ご飯でも食べておくよ」


 僕の隣で猫谷刑事が「やめてください。現場を荒らさないでください」と失礼なことを言った。


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