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潮騒館殺人事件【23】


「温泉に……お二人で……?」


 喫茶店を出て蝦村と別れた後に俺は砂橋に連れられ、オフィスビルの階段を上った。二階にある探偵事務所セレストへ入ると黒い革ジャンとダメージジーンズを身に着けた短い黒髪の笹川がいた。


「そうそう。弾正が誘ってくれたから」


 砂橋がそう言いながら赤いペンを持って、カレンダーを見つめる。笹川は痛いほどきつい視線を俺へと向けた。


「個室の露天風呂のとこでいいっていうから安心したよ」


 さらに笹川の視線が痛くなった。握っているペンのプラスチック部分にひびが入った。絶対にひびが入った。


「今月末でいいなら三日空いてるよ」

「合わせる」


 返事をすると砂橋は赤ペンでカレンダーに「温泉」と書き込んでいた。その日付を見て、俺もスマホを取り出して、宿の予約画面へと移る。


「そういえば、先ほど電話がありました。捜査一課の海女月という方から連絡が来てましたよ」

「え、海女月さんから?」


 話した内容をメモしていたらしく、何かが書かれた紙を笹川が砂橋に渡した。その内容を見た瞬間に砂橋の目が見開かれる。


「笹川くん。ちょっと警察署まで送って。弾正も連れてくから」

「分かりました」


 笹川はデスクの引き出しを開けると車のキーを取り出した。探偵事務所に戻ってきたばかりなのに出かけるとは、そんなに重要な伝言だったのか。


 笹川が事務所から出ていくのに続くと砂橋が事務所の鍵をポケットから取り出しながら、俺にメモ用紙を渡した。俺は眉をひそめた。


「……容疑者が死亡ってどういうことだ?」

「それを聞きに行くんでしょ」


 それもそうだ、と俺たちは階段を下って、笹川の車に乗り込んだ。


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