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弾正誘拐編【6】


 やってきたスフレパンケーキを一口サイズにナイフで切り分けて、ベリーソースに絡めて、口に咥えた。


「人助けをするのはいいけど、先に前提条件をつけようね。僕は報酬のある依頼しか受けない。だから、二人が人助けをしたくて、なおかつ僕をその人助けに参加させたいのなら、依頼として頼んでもらうしかないんだよ」


 そう言うと、片桐さんは困ったように西園寺さんを見た。


 善意だけで動く人間は信用できない。

 いくら人が良いと言っても、人間の欲には限度がない。例え、善意で行っていても人間は見返りを求めるものだ。


「分かりました。依頼料はちゃんと払います」

「俺も払います」


 どうやら、西園寺さんだけが払うということはないみたいだ。お嬢様と付き合ってるのだからお金は全額彼女に出してもらうと思っていたのだが。


「金額はこの件が解決するまでにかかる時間にもよりますが、だいたいはこの金額になります」


 僕はテーブル上の紙ナプキンを手に取り、鞄から取り出したボールペンで金額を書き込んでいく。


 一時間いくらになるかなどを書いて二人に見せると、二人はお互いの視線を交わした後、僕の方を見た。


「それじゃあ、お願いします」


 どうやら、契約成立のようだ。

 しかし、乗り気になれない。


「お父さんに直接連絡を取るのはどうでしょうか?攫ったのは婚約者の片桐さんではなく、赤の他人だと説明したら、その人は解放してもらえるかもしれないです」


「やってみます。ちょっと店内ではあれなので、外に出て電話をかけてきますね」


 西園寺さんはスマホを手に取って、お店から出て行った。残されたのはアイスコーヒーを飲み干してしまった片桐さんとスフレパンケーキを食べている僕の二人だ。


「……気になってたんだけど、片桐さんと西園寺さんはどうやって出会ったの?」


 そう聞くと片桐くんは恥ずかしそうに視線を落とした。


「水族館で出会ったんです。平日の人がいないクラゲの水槽の前で、俺のリュックが開いていたのが気になったみたいで……」


「それで西園寺さんが話しかけてくれたのが始まり?」


「はい、そうなんです。俺たち二人とも水族館が大好きで、とくに俺は魚が好きなので……」


 どうやら、好きなものが一緒だったから会話が続いたみたいだ。その後、付き合ったのだろう。どちらが先に告白をしたのかに興味はないが、ここまで聞いたら最後まで聞いた方がいいだろう。それ以外に片桐さんとの間に話題がないし。


「片桐さんが告白したの?」

「はい、そうです。三回目の水族館で告白したんです」


 三回目の水族館ってことは、三回も水族館に行ったということか。二人ともそんなに水族館が好きなのか。


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