配信殺人と呪われたゲーム【26】
黒い画面に白文字で呪われたゲームと書かれたゲーム画面を見て砂橋は声をあげて笑った。
「そのまんまじゃん」
俺はノートパソコンの操作をする砂橋の隣に座り、画面を眺めた。ゲームをスタートさせると、ゲーム画面にドットで作られたマップと人間が現れる。
主人公の名前は「ナユ」。たぶん、これを実況者ナユユンがやることが前提で作られたゲームなのだろう。
一人暮らしのOLであるナユのもとに黒い包み紙に入ったUSBが届く。その中には「呪われたゲーム」のデータが入っており、ナユはそれをクリアしないといけないという漠然とした焦りを感じた。
「なるほどね、結構現実もそれっぽくない?」
「人からUSBをもらうことか?」
「それだけじゃなくて、クリアしなきゃいけないっていう焦りとかさ。配信でやるからにはクリアさせないとって思うんじゃない?」
それもそうか。
生配信ということは画面に変わり映えがなく、あまりにもストーリーが進まないと視聴者が疲れて配信から離れていく。
そのため、実況者はできるだけさくさくとゲームを進めたいだろう。
「……ねぇ、ちょっと」
砂橋は思わず俺の顔を見て、画面を指さした。画面にはでかでかとゲームオーバーの文字が書かれている。
「死んだんだけど」
「……宅配便が来て扉を開けたら死んだな」
「いやいやいや、さすがに扉の覗き穴を覗くとか思うじゃん?こんなすぐに扉を開けると思わないじゃん?」
「そうだな。でも、ゲームオーバーはゲームオーバーだ」
「はぁ……セーブもしてなかったよ」
砂橋はまたゲームを始めた。今度はすぐにセーブをして、話を進める。
マップは主人公の部屋から動かず、ゲームを進めるパートと、主人公の部屋の中で不可解な現象が起こるパートの二つが交互に繰り返される。




