配信殺人と呪われたゲーム【10】
ふと、気になったことを聞く。
「その呪われたゲームって結局どのゲームなんだ?」
俺がテレビ台に並んだゲームソフトを指さすと質問された来島は顔を上げた。
「え、あ、ああ……売られてるゲームじゃないんです……えっと……」
来島は立ち上がって、パソコンの前へと行くとモニター横に置いてある収納棚を開いて、そこからUSBを取り出す。モニターとキーボードの上から布をとって、綺麗に折りたたむとテーブルの端に置いた。
「呪われたゲームっていうのはゲームの名前で、売られているゲームじゃなくて俺の知り合いが作ったゲームなんです。USBにゲームのデータが入ってて……よくあるじゃないですか、無料でネットで配布されているゲームとか。ああいうダウンロードしてファイルを解凍してやるゲームと一緒です」
いきなり早口で喋りだした来島を見て、砂橋は俺の顔を見た。俺に通訳をしろと言われても無理だ。
「ああ、一成はゲーム会社に勤めてるんですよ。だから、ゲームの話になると熱が入っちゃって……」
キッチンからお盆の上にお茶の入ったガラスのコップをのせた蒼梧が戻ってきた。
「趣味でゲームとかを作って、それをネットで公開したりする人がいるんです。今回俺がナユユンさんに渡したのはそういう個人の人が作ったゲームなんですよ」
砂橋が立ち上がって来島が操作しているモニターを覗き込んだ。画面を指さす。
「この呪われたゲームって書いてあるファイルの中にゲームがあるの?」
「はい。ファイルを開いてもらうといくつかファイルがあるんですけど、これをダブルクリックするとゲームが始まります」
「あ、ほんとだ……本当に呪われたゲームって名前なんだね」
俺も見てみたくなったが、この狭い部屋で動くのも気が引けて、蒼梧と一緒にお茶をいただくことにした。
「ふーん。渡したのはこのUSBじゃなくて他のもの?」
「はい。同じデータが入ったUSBを渡したんです」
「このゲームのデータ、ちょっと貸してもらってもいい?うちの事務所にいる子がパソコンは得意だからさ」
「……分かりました。あ、でも先輩が……いや、いいか。このデータ、他の人に渡したり、ネットに流したりしないと約束できるならいいですよ」
「大丈夫大丈夫。ゲームデータの横流しとか興味ないから」
砂橋はゲームに興味がないわけではない。
実際に、面白そうなゲームを見つけてきては俺を誘って、自分が勝ち越すまでやり続けるという悪癖がある。
しかし、砂橋が面白いと思うゲームは情報が開示されているゲームに限る。あまりゲームの情報を知らずにゲームソフトを買って後悔するということはない。ゲームに関しては博打をしないのだ。もちろん、確率に左右される賭け事などには手を出さない。
しかし、何故か事件のことになるとたまに博打のようなこともするのだ。
一度、砂橋は殺されるかもしれないという状況で博打をうち、死体のふりをして、それに俺を巻き込んだことがある。たまにそういうことをするため、俺の心臓は無限に寿命を縮めている。




