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潮騒館殺人事件【1】


「ごめんごめん、ガソリン足りると思って入れてこなかったんだよね」

「こんな人がいなさそうな場所にガソリンスタンドがあってよかったな」


 助手席の窓を開けて、セルフスタンドでガソリンをいれる砂橋すなばしに小銭を渡した。ガソリンを入れ終わった砂橋は近くの自動販売機へと歩いていった。


「ブラックでいーいー?」


 片手をあげて反応する。


 俺たちはとある館の主人に招待され、潮騒館へと向かうこととなった。潮騒館は名前から予想できる通り、波の音が聞こえる海の近くにある豪邸だ。海へと突き出した岬に建てられたその豪邸の近くの砂浜はプライベートビーチとなっており、一番近い建物はこのガソリンスタンドで、豪邸からは車で約十五分となっている。


「それにしても探偵の僕が呼ばれるならまだしも、小説家の君が呼ばれるなんてね。木更津会長、どういうつもりなんだろう」

「さぁな。お前が俺を助手のように連れまわすからついでで呼んだんじゃないのか?」


 車の近くに戻ってきた砂橋から缶コーヒーを投げられ、慌てて両手で受け取る。「そうかなぁ」と首を傾げながら砂橋は運転席へと戻ってきた。


「ガソリン代は割り勘ね」

「分かってる。帰りも合わせて計算して渡そう」


 潮騒館の主人である木更津貴志きさらづきしは、大手家具メーカーの三代目で、五十年に亘ってメーカーの規模を拡大させ続けてきた敏腕社長だと知られている。一カ月前に優秀な副社長に跡を継がせると表明して引退したのもニュースになるほどだった。


 その元敏腕社長が隠居先にと決めていたのは岬に建てられた潮騒館。どうやら、今回は木更津貴志社長の引退記念として個人的なパーティーをするらしい。実は砂橋も俺も一度木更津社長とは会ったことがあるが、話したのもその一度きりだし、その後連絡を取ることもなかった。


 砂橋が探偵をやっているため、きっと何かの調査を頼むのかもしれないと俺は睨んでいる。


 まぁ、なんにせよ、小説のネタになるような話が転がっていればいい、と思いながら、窓の外を眺めることにした。



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