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カイジン  作者: 佐一
1/1

幕開け

まだ少し夏には早いからか海の水は少し冷たく感じる。けれど僕にとってその冷たさは心地よく、程よく体をつつみ、油断すると寝てしまいそう。手足の力を抜き外洋を漂う。さながらクラゲのように。いつの日か漂うクラゲとこんな陽気の日に泳いだことを思い出した。彼らは無口だがちゃんと返事をしてくれる。ときたまつぶやく一言に水を吹いてしまったこともあった。彼らはとてもユーモアだ。まあなんにせよこの開放感はほかの動物にはなかなか味わえないだろう。ひたすらに続く水平線と一面の青空。時折鳥類の鳴き声がするが朗らかな静かさが海を纏う。今日は雲一つないためか太陽の存在感が増し増しだった。全身に余すことなく太陽の光を浴びる。大自然と一体と化したこの究極的な黄昏を邪魔するものはいない。まさに僕たち種族の特権。今日はよく働いたしもう少しゆっくり。そうだ、今度また祖母もつれてこよう。最近は祖母も忙しそうでろくに話せていなかったから話したいことが買い溜めた本のようにたまりにたまっていた。

 そうやって惚けすぎていたためだろうか。この場所にいつしか当たり前として侵食してきた音。自然から生み出されたのではない無機質な音。そのあからさまな音に気が付くのに遅れてしまった。青々とした空を一瞬で灰色がかった煙が覆う。先のとがった船首が白波を立てながら海を削り取ってしまうようなあの光景はいつ見ても少しイラつかせる。高々と掲げられた旗には大漁と大きな文字で書かれている。機械音だけでもうるさいのに勘弁してほしいものだ。大方朝、漁に出て行った船が帰ってきたのだろう。そこまで大きいわけではないのだが僕らにとっては十分すぎる存在感を図々しく放っている。

僕は水面からひっそりと見続けた。気が付くと自然と眉間にしわが寄っている。あそこに一体何匹の仲間がとらえられているのか。毎日、毎月、誰かしらがいなくなっている。これは考えてもきりのないこととわかりながらも思いをめぐらせてしまう。人と同じように海の世界にも社会があって家族がある。今、僕たちを悩ませるたくさんある問題の一つ。

けれども、だけれども!

あそこまでの乗り物を一体どうやって作り上げたのか。どうやって動いているのか。純粋な好奇心一色に頭が染まっていく。本ではわからないことを実物から観察し尽くしたい。一つ残らず分解し尽くしたい。彼らの技術力を吸い尽くしたい。こっそり近づいて船体をヒレで傷つけて部品を頂いてやろうかとでも思った。が、もし自分の正体がばれたりしたら元も子もない。それに一方的にやるのは彼らと同じような感じがして純粋に気持ちが悪い。握りしめた拳をほどき決意が揺るがないうちに僕は急いで僕の世界に帰っていった。


僕らが暮らす町はこの広い海に存在する無数の町と比べるとだいぶ規模は小さい。が面積は広い。その分歴史は長く、さかのっぼたらきりがない。以前見せてもらった歴代の長の数の多さがそれをものがたっていた。

それゆえに僕の稀有な存在は年寄りたちの注目の的だった。扱いが丁寧すぎた。それは幼いころの自分でもはっきりと感じ取れるもので、あからさまな見た目の違いもあり同じ年の動物たちによくからかわれていた。誰もが僕を腫れもののように扱う。そこに悪意がないとわかっていながらも幼い僕には日々孤独感というものを感じずにはいられなかった。しかし祖母は違った。唯一僕を叱り、時に厳しく時には優しくその孤独感を吹き飛ばすかのように僕の背中を押し、支えてくれた。両親がどんなものか知らず、様々な意味で1人だったぼくにとって祖母はかけがえのない存在であった。もし祖母がいなかったらと考えることは怖い。正直今でもできなかった。


それなりの深さにある町の外観は一見するとただのよくある海底だ。油断すると肌を切ってしまいそうな岩がそこらじゅうにある。何も知らない者たちがここに注意を引かれることはまずない。しかし僕がその岩のどこでもない部分を触れたとたんよくある海底の風景は一瞬にして消え、ほのかな優しい町の明かりが寂しげだった海底から徐々に上へと伝わっていく。しばらく目を細めたまま眩しさになれるのを待った。この光景は何度見ても飽きない。

これはタコのカモフラージュを利用した技術。普段はどこにでもある海底を映し、一度来たことのあるものが触れるとその偽装が解け中に入れる。このドームが町全体を覆っていることで町のみんなはもちろん行商人も安心して通ることができる。この仕組みを考えてたのは僕の祖先たちだ。僕の種族は主に海に生きる動物たちの能力や力を自分たちの能力として取り込み、拡張させて使うことができる異能のようなものが代々備わっていた。この力を使うことで古より海の生き物たちとともに長い時を過ごしてきた。僕もその一人として町のカモフラージュを補強したり外敵に備えたりとできる限りのことをしていた。他の町へ繰り出すことも多々ある。動物たちの力を取り込むときは彼らに痛みなどは一切なく、寧ろ気持ちがいいらしい。おかげで皆協力的でとても助かっている。

年老いた者たちに力を借りると決まってある小話をする。「昔は君のようなものがたくさんいた。それが今じゃ君だけだ。寂しいものだねぇ。」この話を聞くたび胸がちくりと痛む。昔は顔を紛らわせるのに必死だったがいまじゃなれたものだ。

だがその微かないたみはガラスのコップに滴り落ちる水のように、こぼれるのを今か今かと気づかぬ僕をよそに日々蓄積されていた。


僕の家までの道にはサンゴの並木道がある。テーブルのようなものだったり、はたまた地上にある枝のようなものだったり。そんなカラフルなサンゴたちは柔く光る街灯に灯されてどこか幻想的な情景を生み出していた。

 町のいたるところにあるサンゴは魚たちに必要な酸素を循環してくれている。そんな大事なサンゴを楽しそうに手入れをしているカクレクマノミのカジさんは、この町のすべてのサンゴの手入れをする強者だ。声をかけてみるとカジさんの陰からひょっこりと小さなカクレクマノミが現れた。確か息子さん、、名前はタケだっただろうか。こんばんはと改めて声をかけると今度は父の陰に隠れてしまった。なかなかのシャイボーイだ。「悪いね。こいつなかなかの恥ずかしがり屋でなあ。」慣れた様子でサンゴを手入れしながらカジさんが話してくれた。どうやらタケくんに手入れの仕方を教えていたようだった。

「おれもいつ現役じゃなくなるかわからんからね。」苦笑まじりだったがタケくんに教えてる様はとても生き生きしててたのしそうだった。タケくんも食い入るように父の作業をみている。彼もわかりずらいけどどこかワクワクしているようだった。それもそうだろう。父とともになにかをする時間は将来きっとかけがえのないものになる。

僕がもう知ることのできない彼らの世界はあまりにも温かく心にゆるみを与えた。

自分も父親がいたらこんな感じだったのだろうか。ふとそんなことを考えた自分がいた。次に胸をつままれたような感覚がした。気が付けば体温が上がり少し目頭が熱い。

しまった。

矢継ぎ早に二匹に軽く挨拶し、逃げるようにその場を立ち去った。まだこんな感情が残っていることに驚いていた。親へのあこがれはとうの昔に無くなっていたと思っていた。考えれば考えるほど無意識に早足になっていた。こんなこと考えたところで何も変わらない。このぽっかりとあいた大きな穴は埋まらない。ただただ疲れるだけだ。僕にはもう両親はいない。僕は最後の生き残り。


案の定家に着いた僕は朝早くから色々と手伝ったり最後のダメ押しもあり自己嫌悪でベッドに突っ伏していた。ここまで沈むのはとても久しぶりだった。そんな沈んだ気分を変えるためにも本棚に目を移した。そこには人間の世界の本が棚いっぱいに並んでいる。ここにある本の多くはかつて人間の世界へ情報収集で訪れた僕らの種族のお土産だった。僕たちと人間は基本的な姿かたちは似ていた。確かにヒレや一部にある鱗なんかは隠し切れないけどタコのカモフラージュを使えるようになってからは一般人に見えるぐらいの擬態を可能にしていた。だから先人たちはちょくちょく人間界に行っていたらしい。おかげで本もたくさんだ。しかも読むのは僕ぐらい。本には一冊一冊に濡れないように膜が貼ってある。これはブダイのみんなが協力してくれた。彼らは眠るとき体を覆うように膜を張る。その力を借りて薄く、なおかつ頑丈な膜で本を覆った。おかげで今日、こうして本を読むことができる。かくいう僕も時折探しに行っていた。といっても海岸の近くのがらくたみたいなものがたくさんあるところで探しているわけで人と出会うことは一度もなかった。先人たちが行ってたかつての人間界からかなりの時が立ち今ではどんな世界が広がっているのか詳しいことはわからない。何より危険だ。だから人気が少ないところで。運がいいとそこで何冊か見つかり手あたり次第持ってきていた。おかげさまで人間の文字も読めるようになり読めば読むほどこの世界の複雑さを知っていった。というのも人間が技術共々に発展を遂げている現在、彼らを恐れるのは僕ら海に生きる者達だけではなくなっていた。風とともに生きる者達。山とともに生きる者達。みな不安がっていた。日に日に増していく自然界への介入。町の長でもあり、海で生きる者達を束ねる長でもある祖母は、山の長と風の長とも連日話し合いをしているそうだ。人間に対して、もし武力で立ち向かったとしても本に書いてある事が本当なら僕らに勝ち目はほぼない。それは祖母たちもわかっているだろう。だからこそまだ介入し始めたばかりの今対策を練らなくてはならない。

僕も種族の1人として。そして最後の1人として。できる事がないか模索していた。その一つがこの彼らの本を読むという事だった。本には蒸気機関車という機械が写っている。乗っている人は皆笑顔だった。こんなにすごい機械をつくった人間が他の者の笑顔が見たい、喜ぶ顔が見たいという純粋な思いからつくったことを僕は心から願い続けていた。


疲れたことなど忘れていつも以上に夢中になって読んでいた。そのためかドアをノックする音に少し遅れて気が付いた。霞む目を擦りベッドからおりた。返事をしながらドアを開けるとそこにはイルカのレンが心配そうな様子で僕の顔をうかがっていた。「夕飯食べてないってきいて、、」部屋の時計を確認すると時刻はもうすぐ9時。ここの常駐の食堂は8時半まで。きっと食堂のおばちゃんから食べに来ていないことを聞いて見に来てくれたのだろう。「ちょっと夢中になりすぎてたみたい。」自分に半ば呆れつつそういうとレンはベッドに積まれた本を見て「そっか」と微笑みながら納得してくれた。いまさらになって泣き出した腹の虫を合図に、笑いながら一緒に食堂に向かった。

レンは幼いころから一緒で、僕がなにかと同年代にからかわれているときも身を挺してかばってくれた。頭もよく柔軟性に富んでいる。学習能力もずば抜けていた。そんな彼女は僕にとって家族のような存在なのだろうか、、。いずれにしろ一緒にいてくれてうれしいことには変わりなかった。 

おばちゃんが難癖つけながらもおいしそうな料理を改めて提供してくれる。ありがたい。僕が夢中で食べている間レンが僕の周りをぐるぐると泳ぐ。これはレンの癖みたいなものだ。昔は気になってしょうがなかったが今は慣れてしまっていた。しかし今日のレンは何か聞きたそうな雰囲気を醸し出していた。箸を止め訪ねてみるとどうやら部屋にあった本のことが気になったら

「サクは人間のこと嫌いそうなのにそんな彼らの本読んでも平気なの?」ただただ純粋に気になったレン。彼女の目は昔から変わらない。

答えは決まっていた。でもこういった自分の意見を話すのは久しぶりな気がして頭の中でまとめるのに少し時間がかかった。でも実際は考えを伝えることに怯えていたのかもしれない。それから俯きつつ口を開いてみた。

「確かに人間は好きじゃないけどでも憎むべき相手ではないって思う。それどころか正直憎みきれない自分がいる。悔しいけれど実際彼らのものを作り出す技術はすごい。僕らじゃ到底真似できない。それに彼らも生きているんだ。生きるってことは命を食らうってこと。だからこればっかりは受け入れないといけない...。」

「悔しいけれど?」「そうだね、悔しいけれど。」

僕はいったいどんな顔をしていただろうか。笑顔か。苦笑いか。諦めた力のない顔だったか。

それでも、たしかなのは「そっか」と短く答えたレンの優しい笑顔だった。何も言い過ぎない語りすぎないレンの性格は僕にはとても心地よく、優しすぎる。

お陰で次にいう言葉に覇気がついていた。

「だからもっと知ろうとおもう。人間について。この世界のことについて。こうやってモヤモヤしてるよりは動いて知っていく方がいい気がしてね。」

「なるほど」

納得がいったような顔でレンはうなずいていた。

それからこう続けた。

「私も一緒に考えたい。サクと一緒に。」

その時肩の力がフッと抜けていくのを確かに感じた。何気ない一言だった。けれど僕にとってそれはかけがえのない一言だった。勝手に1人で背負い込んでた。最後の一人だからと。そんな僕をレンはさりげない言葉で救ってくれる。

レンには昔から僕が落ち込んでいるとその事を無意識的に感じる事ができたようだった。その度力になってくれる。本人にはその自覚はないらしい。僕もレンの力になれるようになる。そのためにも。

「ありがとうレン。じゃあ早速だけど明日ばあちゃんに相談してみようと思うんだ。一緒に来てくれる?」

「わかった」

そう答えたレンはクルクルと自分の身体を回転させながら僕の周りをまた泳ぎ始めていた。


次の日の朝自分でもびっくりするぐらいよく目が覚めた。複雑に絡み合っていた糸が少し解けた気がしたからだろうか。そんな心持ちで朝食を取った後僕とレンは祖母がいる町の中心部へ向かった。


昔から馴染み深いこの場所も今日は何かいつも以上に厳かな雰囲気が屋敷中に漂っていた。この長の屋敷は歴史ある町の中でも最も古く、ここにくると時間が巻き戻されるような錯覚さえ覚えてしまうほどだった。

祖母には急遽明日会いたいと連絡し予定で埋め尽くされている時間を何とか割いてもらった。祖母と座ってじっくり話すというのは久しぶりで少し肩に力が入っていることが邪魔くさかった。

大広間へと続く廊下をわたり我ながら力んだ声色だと感じながら襖をあけた。

相変わらずここの広間とんでもない広さだった。ここならどんな大きな生き物でも暮らせる。広間の入り口から奥までは約100メートルほどあり天井までも100メートルはあるだろうか。改めて感じているといつのまにか緊張感などなくなっていた。横でソワソワしていたレンは今にも部屋を泳ぎ回りそうな勢いで尾ビレをバタつかせている。

そこへ聞き慣れたそれでいてどこか懐かしげな声が出迎えてくれた。「相変わらず元気がいいねぇ、レンちゃん。」声を聞いたレンは一直線に彼女の方へ行ったかと思えば、すぐさますり寄っていた。「カイおばあちゃんも相変わらず大きいね。」レンの答えに朗らかに笑う祖母カイばあちゃん。いつでも威厳と優しさに満ちている彼女は御歳 210歳を超えようとするクジラの一匹だ。性格にはホッキョククジラの仲間でここまで長く生きるクジラは僕はまだ出会ったことはない。どんなに威張り狂った海獣たちも祖母を前にすると小魚のように竦ませてしまうという沢山の逸話の持ち主でもある。海そのもののような存在感にあふれていた。

暫くレンとカイばあちゃんの会話を聞いていると不意にばあちゃんが声をかけてきた。

「よく来たね。サク。まってたよ。」

胸がじんわりと温かくなるのを感じた。裏表のない素直なばあちゃんの声。幼い頃の記憶が一気に蘇ってくる。「久しぶり、ばあちゃん。元気そうで安心したよ。」僕もばあちゃんの前では誰よりも素直になれた。本当は最近のこととか色々話したいことは沢山あったけれどまずは一番話さなきゃならない事を伝えてからだ。「ばあちゃん、早速なんだけどいいかな?」

「はいよ、お前さんの考えとやらを聞かせておくれ。」

そう言ってばあちゃんは僕の目を一瞬も揺るがずに見つめ始めた。僕もそらさず、そして昨日レンに話したことを改めてばあちゃんに話した。自然界の危機、それにはまず人間界の人々のことを知る、そして彼らがどんな生き方をしているのか何を考え大切に思うのか。彼らを少しでも理解する機会が欲しい。レンと一緒に。僕に僕たちにできることをやりたい。いや。やらせて欲しい。語りながら身体中に熱がこもっていくのを感じる。想いと比例して体温が上がり続けているかのようだ。

熱くなりすぎないように冷静さを保ちながら僕の思いを祖母に一通り伝えきった。

重たく強い信念を感じさせる祖母の目はまだ僕を射抜き続ける。

「サク、お前さんのおもいは重々伝わった。しかしどうやって理解する気だ?具体的な方法がなければたとえ崇高な思いがあったとしても成就はしないぞ?」

もっともだった。だけど考えはあった。無かったらもとより知恵比べでいつまでも勝てないばあちゃんに話になんかくるはずない。

僕は顔を上げ改めて祖母の顔を真っ直ぐに見つめた。

力強く。そしてこれまでの不安を吹き飛ばすように声を上げた。

「私に人間界へ行く許可をください!」


体温はまだ高いどころか今、更に上がっている気がした。

見つめ続けてそれなりに立つが祖母はなかなか口を開かない。どういうことだろうか。僕は何かまずい、禁忌に触れてしまったのだろうか?余りにも長く感じさせる沈黙だった故に様々な思いが逡巡する。

が、芯の部分はかわらない。

そしてそれを見切ったかのように祖母は突然大きな声でされども上品な笑い声を広間いっぱいに響かせた。

突然のことすぎて体がつったように動かなくなっていた。祖母のこんな大きな笑い声を聞くのも久しかったし、なにより不意打ちすぎた。レンですら驚いている。

多分町中の時間が止まっただろう。

そして笑い声がおさまったのち打って変わって静かな声で嬉しそうにニヤニヤと話し始めた。「サクや、お前からそういってくれたこと、お前の祖母として心から嬉しく思う。大声をあげて笑ってしまったのには訳があってな、連日の長の会議の結果まさに昨日人間界へお前を行かせることがきまっていたんだ。」なんともタイミングがよかった。こんなことあるのかとレンと意図せず顔を見合わせて驚いていた。

「決まったはいいが少し不安もあってな、サクも大きくなったもののされどまだ成人はしていない。色々悩みだって多いはず、任せ切れるだろうかと、うだうだと考えて今日来てみればなんと力強く言い切って見せたことか!」

「私は、嬉しくてたまらなかった」祖母の声は心なしか少し震えていた。思えば小さい頃から安心させられるような子供ではなかった。何かとすぐに泣くしトラブルに巻き込まれるし。そんな自分が少しは成長した姿を見せられたのだろうか。もしそうなら僕自身も少しは自分に自信を持てそうだった。

「レン、お前にも礼を言う。いつもサクと一緒にいてくれてありがとう。」

「私が一緒にいたいからいるだけだよ。」

レンはいつもどおり柔らかな笑顔だった。

彼女のぶれなさは色んな動物たちからお墨付きだ。

それは祖母も当然知っていたからこそ変わらないレンに思わず微笑んでいた。

「さて、お前たちの意思を確認させてもらった以上、改めて私からも長としてお前たちに任命する。」

「サク、レン!お前たちには人間界へ行き彼らの調査を命ずる。下手をすれば命の危機にもなりかねん危険も伴う任務だ。」

力強い声が全身を駆け抜けていく。

これほどまでに生命力に満ち溢れたことはこれまで一度もない。

「だが信じている。サク!最後のカイジンとして天命を全うせよ!」

「はっ!」


そうだ。僕は最後のカイジン。海と共に生きた種族の最後の生き残り。海に生きる全てのもののため。自然に生きる全てのもののため。必ず道を見つける。

今か今かと破壊に満ちようとする世界を一刻も早く救うため。できることを力の限り。

佐一というものです。

ここまでよんでいただいたことに感謝感激です。ありがたい。。

まだやりたいことかきたいことが山積みでまとまりないかもしれませんがまたよみにきてくれるとうれしいです。ではでは。

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