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第9話 魔法バカとガチャマスコットゴーレちゃんが出ました。

いつも読んでくださりありがとうございます。

校舎のマップを見ながら歩くこと十分、やっと教員室についた。

この学園広すぎじゃない?

扉をコンコンっと叩いてから中に入る。


「失礼します。水晶の件について話にきました。」


私がそう言うとあの怖そうな教師がやってくる。

さっきまではそれなりに距離があったから良かったけど、近くでみると超怖い。

見た目では分からないだろうけど、私の内心はぶるぶるだ。


「こい。」


そう一言言った怖い教師はどこかへ向かって歩き出す。

へ?早!歩くの早すぎ!

怖い教師は普通に歩いているようだが私は軽く小走りになる。

足の長さが違うんだよ!気付けよ!

なんて思っていると怖い教師は急に立ち止まった。

急に止まれない私はこわい教師の背中に顔がぶつかる。


「入れ。」


背中にぶつかられることがなんでもないかのように流した怖い教師は、ボロボロの木の板に『魔法研究会』と書かれた部屋を指差す。

恐る恐る扉を開けると予想通りの部屋が広がっていた。

簡単に言えば魔女の家のようだ。

部屋の中にはマントを着た五人の男がいて、でかい水晶を囲っている。


「新入生、魔法研究会へようこそ!」


怖い教師は急にテンションが高くなった。

今までの誰も近づくなオーラは消え、ウェルカム!と両手を広げている。

ある意味その差が怖い教師だ。


「ここに君を呼んだのは他でもない、その無尽蔵の魔力を我々に提供して欲しいのだ!我々の能力ではどうしても足りなくて、たまにでいいから頼む!」


教師の後ろにいた五人の生徒が頭を下げる。

ま、マジかー。

急に怖い教師が可笑しな教師にジョブチェンジしたよ。

しかも私がこの教室に到着してすぐなのに状況を理解している後ろの五人、凄いな。


「なぜ、私の魔力なんですか?」


「それは君の魔力の量が多いから!そして私達の魔力量では到底出来ないような実験をするから!」


テンションの高い教師はそのまま難しい話をしはじめたので無視する。

後ろの五人に聞く。


「報酬は?無給で働くのは嫌だよ。」


五人が輪になりボソボソと話し始める。

作戦タイムのようだ。

話がまとまったのか一人が前に出て来て咳払いをし、フードを脱いだ。

フードの中から出て来たのは顔の良い男で、そのまま話し始める。


「君は大輪のバラのように美しい美貌を持っている。それは、どんな野草も持ち合わせていない君だけの美しさだ。どうか私達のために魔力提供をしてくれないか?君にしか頼めないことなんだ。」


臭いセリフを言い終わった顔の良い男は私の方を見る。

しかし私は真顔だ。

内心では照れて暴れまわることもなく心の底から『無』が広がっていた。

これなら可笑しい教師の話を聞く方がマシだ。

私は溜息をつき部屋の中にあった適当な椅子に太々しく座る。


「で、報酬はいくら払うの。どのくらいのペースで魔力を提供すれば良いの。その魔力は何に使うの。」


めんどくさくなった私は棒読みだ。

そして四人はまた輪になり作戦タイムを始めた。

声がここまで丸聞こえだ。


「おい、どうするんだ?思ってた以上に頑固なやつだぞ。」


「俺の渾身の囁きが効かなかった。今までこれで数々の女を堕としてきたのに!」


「研究費に金をかけたいからこいつに払うわけにはいかないんだ!」


「次は誰が行く?あのバカ教師が動けば最強戦力なのに!くそ!」


私は四人の会話を聞きながら今日の晩御飯について考える。

今日は肉の気分だ、肉が食べたい、さらに正直に言えばジャンクなものが食べたい。

ポテチ、ハンバーガー、コーラを片手にゲームしたい。

考え事をする私に四人の会話に入らなかった残りの男が近づいてきた。

私のそばまで来て


「僕たち、研究にお金を使いたいから報酬が払えないんです。僕が今まで溜めてきた宝物です。これで我慢してくれませんか?」


沢山の綺麗な石を渡してきた。

それを見て私は目を剥く、え、えー。

私は石を受け取った。

すごく見覚えのあるその石に魔法を使う。


「『鑑定』」


教えてもらってからほとんど使わなかった魔法を久しぶりに唱える。

鑑定の結果に私は目を剥く、やはり予想通りだった。


『ゴーレムの子供

説明:転移魔法が使える石を生成する

親愛度:0/100』


乙女ゲームの終盤に出てくるゴーレムの子供の時の姿だった。

石に刻まれている模様に見覚えがあると思ってた私の予想は正しかった。

ゲーム内で限定衣装のガチャを回すために必要な石を売っているお店のマスコットキャラだ。

いわゆる課金して手に入れるアイテムを作れる存在ってこと。

転移石が何の事だか分からないけど、きっとこの世界のどこかにガチャがあるはずだ!


「よし、決めた。魔力の提供する。」


話し合いを続けていた四人がこちらを見る。


「「「「「本当か?」」」」


「ええ、もちろん本当だよ。ただし、このゴーレムの子供を大人になるまで育ててね。」


私の言葉にまた全員が固まる。

あからさまなくらい嫌そうな顔をしているので一言付け加えた。


「このゴーレムが大きくなると『転移石』って言う石を生成するらしいよ。一体何に使えるんだろうね。」


今度はみんなが嬉しそうな顔をする。

ああー、私も人のこと言えないけどさ、いわゆる彼らは魔法バカだね。

実験したいし、研究したいし、いろいろやりたい……。

転移石に夢中になった彼らを放置して私は無言でその場を後にした。

ゴーレムは可愛がられて照れている。

うん、可愛い。


私は魔法バカ達を部屋に放置して新しいお家に帰りました。

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