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第8話 乙女ゲームの舞台、遂に始まりました。

いつも読んで下さる方ありがとうございます。

へたっぴな文章ですが今後ともよろしくお願いします。

あれから何事もなく一週間が過ぎた。

キャリーとは何度か会い女子会を開いては近況報告をしあった。

私は進展が一切なかったけどキャリーの方ではもうでろでろ甘々ルートらしい。


『私、貴方の事が好きですの!魔王でもなんでもなく、貴方自身が好きなんです!』


顔を真っ赤にして言ったこの一言で、相手は堕ちたらしい。

魔王と結婚って親に反対されなかったか聞いたら、心配だから署名して欲しいと言いなんか超分厚い書類を出してきた時はビビった。

要約すると、


『魔王は悪い事はしません。キャリーの為なら何でもします。もしも約束を破った場合、署名した人、キャリー、魔王は自害します。』


という証明書だった。

怖い!私の命、今魔王に握られてる。

キャリーはなんだか黒い顔をして、


『とりあえず国の権力者全員の署名を集めてしまいますわ。』


と恐ろしいことを言っていた。

そんなこんなで遂に!フォル君に会えるのです!

嬉しいなぁ。

でも、フォル君には好きな人がいるからな、影から見守るファンになろう!

フォル君ファンクラブ結成!


・・・・・・


入学式、あっちの世界とは変わらず桜並木の道を歩く。

メイドさん、キャサリン・ウォレスっていう名前らしい。

赤茶のウィッグを渡されたのでそれを付け、丸メガネを装着する。

その上でキャサリンに顔と髪を整えてもらった私は、特待生として入学することになった。

とりあえず普通の友達を作ろうと思う。

前の世界では無理をし過ぎてしんどかったので今回は普通に話せる普通の友達が欲しいのです。

現状の私の友達はキャリー、キャサリンの二人だけだ。


友達作るために頑張る!

おおー!と心の中で気合いを入れたのだった。


「入学、おめでとうございます。新入生の皆さんはこちらへお集まりください。」


声がするのでそちらへ向かうと沢山の人がいた。

知り合いの顔を見つけ話しかける。


「キャリー、入学おめでとう。」


私の方を向いたキャリーはニコニコ顔だ。

あらかじめ私がこの格好で来ることを知っていたので見た目が変わってもすぐに私が誰だかわかるようだ。


「ええ、そちらこそ、入学おめでとうございますわ。」


新入生がザワザワと騒いでいると教師と思われる人が口を開く。


「ようこそ我がスパーク学園へ!ここは、文学と実技の両立を図り、それぞれの得意分野をとことん追求する学園です!新入生全員が集まりましたのでこれから校舎の案内をします。静かについてくるように!」


校舎案内が始まる。

いろんな教室がありすぎて一度に覚えられないので教師から校舎マップを貰った。

迷子は嫌だからね。

最後に案内されたのは、真ん中に大きな水晶のある部屋だった。

魔力測定ができる部屋らしい。

今日はここで魔力量を計り、初日は終了となる。

一人ずつ順番に名前を呼ばれていきついに私の番になった。

前の人がやっていたように、水晶に手を伸ばす。


「自分の魔力を手加減せずに注いでみて。」


教師に言われ私は魔力を注ごうとする。

けど、魔力って何だ?


「魔力ってどうやって注ぐんですか?」


私が率直に聞くと教師と生徒から一斉に視線が集まる。

え?私もしかしておかしな事言った?

キャリーに手を引かれ連れて行かれる。


「私が教えてきますので、先に最後の人まで終わらせてくださいませ。」


さすがキャリー!できる女!

教師を説得したキャリーは私を列の一番後ろへ連れていく。


「キヨミはまだ詳しくは知らないかもしれないけど、魔力っていうのは誰でも持ってて当たり前の存在なの、だから知らないと変な目で見られる。細かいことは後で話すから今は魔力の出し方を覚えて、」


そう言ったキャリーが私の手を握る。

握られている手からキャリーの体温とは別の何か温かいものが体に流れてきた。


「何これ、ポカポカしててあったかい。魔法を使うときと同じだ。」


私がそう言うとキャリーが頷く、


「魔法を使ったことがあるのに魔力が何か分からないだなんて、信じられらない。まあその温かいものが魔力、それと同じようなものが貴方の体にもあるはずだからそれを探して今度は私に流してみて。」


私は目を瞑り自分の魔力を探す。

心臓のあたりにキャリーが流してくれた魔力と同じようなものがあった。

それをゆっくり、慎重にキャリーに流す。


「成功よ。よく出来ました。次が貴方の番だから今度こそ成功させなさいよ。」


私はキャリーに頭を撫でられ上機嫌の状態で水晶の前に立つ。


「今度こそ大丈夫そうね。さあ、じぶんの魔力を手加減せずに注いでみて。」


私はキャリーに魔力を流した時よりも力を込めて全力で水晶に魔力を流した。

手加減をすればよかったんだ、身体能力があれだけ高くなっているのに魔力が弱いはずもなく、堪えきれなかった水晶が弾け飛んだ。


「やらかした。」


飛んだ水晶のカケラは誰にも当たらなかったけど、今すごくやばい。

異世界あるある、魔力測定で測定器を壊すチートを持ってる。

普通の学校生活は、終わりを告げた。


「キャー!世界記録よ!世界!とんでもない魔力量だわ!」


「え、え!?どう言うことだ!魔力って何?とか言ってた女の魔力が俺よりも高いだなんて!ふざけてる!」


「キヨミ、測定器を壊すのは流石にやり過ぎよ。」


教師は慌ただしく動き回り、周りの生徒は騒ぎ出す。

そして、キャリーの的確なツッコミに心が抉られた。

扉の勢いよく開く音で周りは一斉に静かになる。

別のクラスの教師だった、そして私達を見て一言、


「騒がしい!他の教室まで響く声で一体何をやっている!騒ぎの中心は一体誰だ!」


みんなが一斉にこちらを見た。

え、えー!?

こちらを睨む教師は私とその横に転がる水晶を見て舌打ちをした。


「毎年一人は水晶を落として割るバカがいるが、今年はそいつか?」


「いえ、違います。」


あらぬ疑いをかけられそうになったので私は咄嗟に否定する。


「それではこの現状の説明をしろ。」


なんて説明したらいいか分からず周りを見渡す。

キャリーと目があい仕方ないとばかりにため息をつかれた。


「私が説明いたしますわ。」


愛しのキャリー!好き!


「お前は確か、公爵家の……。」


「キャロライナ・ローソンですわ。以後お見知り置きを、それでは説明ですが、彼女は水晶に魔力を注いだだけです、ただ、彼女の魔力量よりも水晶の許容量が少なかっただけ、この場にいた全員が証人になりますわ。」


本当か?と言う視線を向けられたので私は強く頷く。

またもや舌打ちをされた。

ひええ!と内心驚くが顔には出さない。


「そこのお前、今日の日程終了後、教員室へ来い。」


そう言った教師はどこかへ行ってしまった。

教師の姿が見えなくなるとまた周りは騒がしくなる。

私も怖くて心臓が止まるかと思いました!いつの間にか止めていた息を吐き出す。


「うるさいぞお前ら!」


姿が見えなくなったと思ったのにまだ近くにいたようだ。

また場が静まりかえった。


「そ、それでは皆さん。今日の日程はこれで終了です。明日は最初に案内した教室に来てくださいね。」


この場にいた女の教師はそう言って話を終えたのだった。

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