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第1話 異世界転移した私、無視されました。

初めての作品です。

お手柔らかにお願いします。

私の名前は藍野聖美(あいのきよみ)、陽キャを名乗っている隠キャです。

学校では化粧バシバシ、軽く巻いた髪の毛、膝上20センチのスカート、似たような子たちと常に一緒に行動するハードモードな生活。

家ではすっぴん、上に上げて輪ゴムで止めた髪、ジャージで似たような子たち(ゲーム友達)とくだらない会話をするイージーモードというギャップのありすぎる生活を送っています。


ゲームをしながらゲーム友達の『怒鬼(どき)』と会話する。


「『灰鬼(ばいき)』(私のネット上の名前)、最近出た新作読んだ?」


「読みました!最高です!やっぱり怒鬼ちゃんの予想は当たりますね。」


「せやなー、ほな次は乙女ゲームにでもいっとく?ちょうど恥ずかしすぎて最後までプレイでひんかった中古のやつ送っとかい!」


「まじ神!感謝!怒鬼ちゃん大好き!愛してる!」


「おわっ!急に大きい声出すなや、驚くやろが、それにしても灰鬼の愛は安いなー!こんなんやったら世界中の人を愛せるやん。まあ、送っとくけんプレイの感想待ってるで!」


その日はそこで会話は終わった。

二週間後、我が家へ届いた1つの乙女ゲームが私の人生を変えた。


プレイを始めてすぐ、私はとあるゲームのキャラクターに一目惚れをした。

試行錯誤した後、怒鬼ちゃんにスマホでメッセージを送る。


『怒鬼ちゃん、どうにかして堕としたい子が居るんだけどね。どう頑張っても堕とせないの。隠しルートかなって思って全ルートクリアしたのに堕とせないの〜。どう言う事ー?』


私は乙女ゲームの送り主である怒鬼ちゃんに助けを求めた。

しばらくして返信が来る。


『知ってた、知ってたけどさ、君はそういう子だよ。“初めてのキスを注ぐ相手〜私だけの王子様〜”、タイトルが恥ずかしすぎて最後までプレイできていない私でも分かるわ。君が一番好きなのは攻略対象、獣人の騎士様theワンコ系キャラ、の横にいるモブ君やろ!』


さすが長い付き合いなだけあって、私の好みを正確に当ててくる。

しかし、少し違うんだよな。


『モブ君じゃなくて、フォル君だよ。ワンコキャラのクリア進めてたら名前が出てきて驚いたんだから!しかもちょっとだけ、“僕の隣にいつも居るのは友達のフォルですよ。それよりも君の話が聞かせてください。”っていっしゅんだよ!』


『灰鬼がやばいってことはよく分かっとるわい。そんで感想は?』


『フォル君を攻略したくて唯一の会話手段であるワンコキャラに話しかけてたら、ワンコキャラルートに10回くらい入ってた。』


『wwww、笑う、やばい腹痛い!草生えすぎて大草原やん、そんでワンコキャラ言うてるけど、名前は覚えてるん?まさか、』


『そのまさかなんです。名前が、フォル君と主人公のカスミと、ライバルキャラの悪役令嬢のキャロライナちゃん、そして最後に出てくる当て馬のキヨミしか覚えてない。』


『んなもん笑うわ。てか何故その四人やねん。』


『理由は簡単、一、好き、二、隣人の名前、三、可愛い、四、同じ名前だよ。』


怒鬼ちゃんとメッセの交換をしていると足元に魔法陣のようなものが広がり急に光り出す。

そして私はあるあるな異世界召喚に巻き込まれた。


・・・・・・


足元にはあるあるな魔法陣、目の前にはあるあるなローブ姿の人たちと一緒に召喚されたであろう隣人の香澄さん、私は小声でカウントダウンを始める。


「3」


「2」


「1」


バタンッという豪快な音と私の「0」という声が綺麗に重なる。

やはりあるあるだ、召喚の知らせを受けた王子様、もしくはお姫様が遅れてお出迎えをしてくれる。

そして王子ならきっとこう言う。


「「あなたが聖女か?」」


やはり私の予想があっていたのか王子様と声が重なる。

これから出かける予定だったのか香澄さんはオシャレなワンピースを着ていて、凄くめかしこんでいる。

に対して私は部屋着、ジャージ姿のままでこの世界に飛ばされた、しかもスッピン!

はぁーー、と私は大きめの溜息をつく。


「よくあるテンプレ、見たことのある派手な赤毛の王子様、そう、これはよくあるテンプレ。」


私は自分に言い聞かせるようにブツブツと呟いていると香澄さんが叫ぶ。


「もしかして私、異世界に来ちゃったのー!?」


慌てる香澄さんのそばに王子様は駆け寄る。


「大丈夫か、聖女様、すまない。初めて出会った私のことを信用してくれるか分からないが、こちらに来てくれるだろうか?」


そう言った王子様に着いて行く香澄さん。


「ありがとうございます。」


そう言って微笑んだ香澄さんはとても可愛くて場の空気が和む。

え、私は?なんか凄く、はー終わったー!解散解散!みたいな雰囲気があるんだけど……。


「で、私はどうするの?」


私のことに気付いた人達はポカンと口を開けて驚いている、いわば放心状態だ。

慌てて復活したローブの男が言う。


「そ、その、聖女様?なのか?え、でもさっき……、聖女様、お願いがありまして、まずは応接室?まで来ていただけ、ますか?」


言葉が途切れているがまぁよし、あの乙女ゲームの攻略対象の俺様王子にそっくりだった男がやったようにエスコートをしてくれなかったがあれは流石にきついしな。

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