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月から来た彼女。  作者: あだちゆう
6/6

勉強を始めようとするけれども

月から降ってきて交際を申し込まれた少女・つきみに、勉強を教えることになった僕。


「それで、つきみちゃん、君は、地球での勉強はどれくらいできるの?」


「しらん!」

即答。


「うーーーん、そうか。

じゃあどうしようかな。


・・・ああそうだ。

僕の昔使っていた教科書やドリルから問題をもってきて、これをやってもらおうか。


ちょっと待っててね、準備してくるから。」


「よろしくたのむぞ。」


そうやって、机にちょこんと座るつきみちゃんをのこして、僕は実家の物置まで走った。

「そういえば、あんなのもあったし、こんなのもあったなあ。

何がいいかなあ。」


ガサゴソガサゴソ。

探している間に、随分と時間がたってしまった。


「このレベルくらいのものだったら・・・あの子いけるかな。」



両手いっぱいに紙袋を抱えてつきみちゃんのところに到着。



「おまたせーーーーー」




つきみちゃんは、大爆笑しながら、ソファでなにか本を読みながら夢中になっている。


「ちょ・・・ちょっと待って。


今ホント、これいいところだから。」



「・・・つきみちゃん・・・また漫画よんでんの。

これ、終わらないんだから、キリのいいところにしてね。」


ふと、つきみちゃんの手にしている本を見る。


「ん?」


どうも、マンガじゃないっぽい。


しかも、日本語じゃないっぽい。



ぱっとタイトルを見てみる。


『Phänomenologie des Geistes』


『Kritik der reinen Vernunft』


『Sein und Zeit』


「ななな・・・・・・・・・

なんじゃこりゃーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」


ちょっと訳の分からない横文字ががーーーとならんでいる分厚い本が・・・・!!


そして、それを次から次へと、漫画を読むようにさらっと読んじゃってるこの子は、なんなんだ。


「川走、イブとアダム礼盃亭を過ぎ、く寝る岸辺から輪ん曲する湾へ、今も度失せぬ巡り路を媚行し、巡り戻るは栄地四囲委蛇たるホウス城とその周円。

怪癖放縦かいへきほうしょうにして病的神経質なる「スターン」を後世に伝ふべきものは、怪癖放縦にして病的神経質なる「トリストラム、シャンデー」にあり、「シャンデー」程人を馬鹿にしたる小説なく、「シャンデー」程道化たるはなく、「シャンデー」程人を泣かしめ人を笑はしめんとするはなし・・・」

けけけと大笑いしながら、

「なあ、見てみて、これ。」


ななな・・・何を言ってるか全く訳が分からない・・・。



こ・・・これは、この子に勉強をおしえるのは、その・・・たぶん、無理だ・・・!


そう観念してしまった。


「うっし、じゃあ、勉強始めるか!」

とつきみちゃん。


「え・・・!」


僕の中で嫌な汗が、いや、絶望的な汗が背中をしたたり落ちる。


どうすればいいんだ。


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