第8話 「2度目の結婚」
次の話からまた日常へ戻ります
~優8歳~
兄「お父さん、お母さんどこにいるの?」
暗闇の中にいるのは昔の俺?
~現在~
じ「ばあさん、優はやっぱり昔の事を…」
ば「そうだね、あの子はひかるよりも孤独に弱いから…」
病院の先生からの診断におじいちゃんとおばあちゃんは深く考えた
重病ではなかったが優のメンタルを考えると安心できる事ではない
じ「ばあさん」
ば「なんですか?」
じ「わしらは優とひかるを不幸にしているのかもしれない」
ば「なんで、そんな事を言うのですか?」
じ「わしらは優とひかるに隠している事があるだろ?」
ば「…」
おじいちゃんとおばあちゃんが悩んでいる中、優の目が覚めた。
看「須藤さん、お孫さんの目が覚めました!」
じ「ホントですか!?」
「ばあさん、真子とひかるを呼んできてくれ」
ば「はい!」
おばあちゃんが真子さんとひかるを呼びに行く中、おじいちゃんと看護師さんは病室へ向かった。
看「まだ、目が覚めたばかりなのでおじい様だけお話をして頂きたいのですが」
じ「分かりました」
病室へ着くとおじいちゃんは扉を開けた。
じ「優、大丈夫か?」
俺はおじいちゃんの声を聞くと涙が出てきた。
じ「優、すまなかった」
おじいちゃんはいきなり俺に謝ってきた。
兄「え?」
じ「優の心を何も考えていられなかった」
「わしたちが悪い」
兄「おじいちゃん、、」
俺はなんとなく察した、きっとカウンセリングを受けている事をおじいちゃん達は知ったのだと
兄「どこまで知っているの?」
そう言うとおじいちゃんは知っている事を全て話してくれた。
兄「そっか、俺ずっと一人になるのが怖くて…」
なぜか、素直に言葉と泪が出てきた。
兄「だって、父さんと母さんがいなくなった時本当は悲しかった、でも…ひかるはもっと悲しいはずだから」
『あれ?なんでこんな事を?』
「本当は泣きたいけど、ひかるが余計悲しむから」
『普段言えない事を…』
「だから、さっきひかるがいなくなるかと思って…」
『こんな事、おじいちゃんに言っても』
じ「もういい」
そう言うとおじいちゃんは俺を抱きしめた。
その瞬間、言葉は止まったが涙が溢れだした。
じ「優、全ての真実を優とひかるに話そうと思う」
おじいちゃんからその言葉を聞くとなぜか止まっていた言葉が出てきた。
兄「それは、やめて!!!」
おじいちゃんは驚いていた。
じ「なぜじゃ?」
兄「真実なんて知らなくても俺は幸せになれるから!!」
じ「そうか、ならやめよう」
兄「ありがとう」
おじいちゃんはもしかしたら優は全ての真実を知っているのかもしれないと思った。
おじいちゃんとの会話が終わると外から声が聞こえてきた。
兄「ひかる達が外にいるの?」
じ「そうだぞ」
兄「ひかる達を中に入れてあげて」
おじいちゃんは外にいる看護師さんに話をした。
そして、次に扉が開くとそこにいたのは
ひ「お兄ちゃん…」
ひかるだった。
兄「ひかる!」
ひ「お兄ちゃんーー!!!」
ひかるは泣きながら俺の所へ駆け寄った。
ひ「お兄ちゃん、、ごめんね」
兄「俺こそごめんね、心配かけて」
お互いが謝るだけだった、そして次に口を開いた、ひかるから
ひ「もう、私をおいていかないで!」
その言葉に俺は
兄「ひかる、お兄ちゃんもひかるにおいていかれたくない!」
優の言葉にひかるは驚いていた、普段はたくましい優がそんな事を言うなんて
ひ「お兄ちゃん…」
そう言うとひかるは唇をくっつけてきた。
2度目の結婚だった。
ファーストキスよりも長い時間キスをしたように思えた。
キスが終わるとひかるから
ひ「今度は私がお兄ちゃんを守るね、その為の結婚だよ」
その言葉に俺の体は自然と動いた。
そして、ひかるを抱きしめた、おじいちゃんに抱きしめられた時よりも、もっと強くひかる
を抱きしめた。
抱きしめたまま俺は
兄「お兄ちゃんはこれからもひかるを守ります、だけどひかるもお兄ちゃんを守って下さい」
ひ「守ります!」
「なんか、結婚式の誓いの言葉みたいだね」
兄「そうだね」
今日、初めてひかるに弱い自分をみせた。