プロローグ(後編)
今日2話目です。
黒い箱に手を入れる。これがデメリットということは百も承知。それでも、代わりに力を手に得られるというのはそれ以上に魅力的だった。
「こ、れ、だァァ!!」
黒い箱から手を抜く。
手の中には、真っ黒い玉がしっかり握られており、
一瞬光ったと思ったら、すぐ黒い粒子に変わり、また俺の中に入っていった。
「さてさて、君が引いたデメリットは……。へー……なるほど、うん。他のデメリットと比べると大分ましなものだね!これも転生したらわかるようにしとくね!」
そう言い黒い方の箱をしまい、白い箱を突き出した。
「さぁ、これを引けば君は転生される!そしたらもうここには来れないだろうし、僕とはもう会えなくなるかもしれない。」
「あぁ、わかった。あ〜……、生まれ直させてくれて、ありがとな。最初は色々戸惑ってお礼なんか言えなかったけど、すっげぇ感謝してます。だから、ありがとう。」
俺は恥ずかしさを隠すために頰をかきながら言った。
神様は目をパチクリさせ、驚いたような顔をした後笑った。
「どういたしまして。それが神様の仕事だからね、当然のことをしたまでさ。あと感謝してるんだったらもう少し敬ってもいいんだよ?僕これでも"神様"なんだから!」
ムトは自分のことを神と呼ぶのが恥ずかしいのか、少し頰を赤くさせていた。
「わかったよ。今度会った時には必ずそうさせてもらうよ。」
もう会うことは無いかもしれないと神様は言っていたが、不思議とまた出会える、俺はそんな気がしていた。
そして俺は白い箱を引いた。
「………最後は固有スキルだね。全く、運が悪すぎて死んだとは思えないほどの強運だね……」
神様はそう言い俺の前に手をかざした。
「本当だったらこんなことはしないんだけど、君には少しサービスをしとくよ。安心して、さっきみたいにデメリットは与えないから。神様としてじゃなく、1人の"友達"としてだからね。」
手から出た白い光は、俺の中に入っていった。
「友達か……。じゃあ有り難く受け取っておく!」
白い光が俺の体に入ると、体から薄い光がではじめた
「そろそろ時間だね。レンくん、2度目の人生は、思いっきり楽しんでね!!」
「あぁ、神様! 本当にありがとう!」
そして、俺の意識は消えていった。
最後に見たムトは、少年のように真っ直ぐと、曇りのない笑顔だった・・・・・
◇◇◇
次に目が覚めると、俺は草木が豊富な湖の近くに立っていた。
「ッ!……」
雲ひとつない空。そしてたくさんの木々達。こんなの、死ぬ前にだって見たことあるものだった。
しかし、明らかに違った。何が違うのかは上手く分からなかったが、それでも今までとは違うものだということだけは理解出来ていた。
それだけで俺は、新しい世界に来たのだと実感できた。
「ッ〜〜〜よっしゃあァァァ!…………あ?」
ここから俺の新しい人生、輝かしい冒険が始まる……………はずだった?
「あれ?なんか声が?」
死ぬ前と比べ、声が変わってることに気づく、まるで子供が喋ってるような………
「ッ!」
俺はそこまで気づくと、近くの湖まで走り水面を覗き込んだ。
「……なん…で、なんで…ッ!」
そこには年齢12歳くらいだろう子供の姿が映っていた。
「なんで俺……、子供になってんだァァァ!!?」
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彼がここから何を成すかは彼次第………。だけどこれは彼1人だけの物語ではなく、彼とその周りにいる人々たちの物語だ。
君の人生、応援させてもらうよ。1人の"友達"としてね。
少しどうでもいいところが多く、急ぎ過ぎたところもあると思いますが、それは追々(笑)直していきます。