導入
景気が悪い昨今、なかなか美味しい話は転がってないもので新聞を開けばやれ不景気だ賃金が低いなどと1面を飾っている。
俺はそんな不景気の中、今日もサラリーマンとして1日1日をたくましく生きているわけだ
そして今日も変わらない一日を送るはずだった。
通勤の満員電車でガタンゴトンと揺られていると不意に手を掴まれた
握った相手はと見てみると20代前後の女性
顔は結構可愛かったです。
眠気にぼんやりと「なんだ?まさか俺に気があるとでも?大胆な娘だなぁ」と思いつつ相手の反応をそのまま見てると彼女が口を開き
「この人痴漢です!」
対男性即死魔法を放った。
「え?」
頭が回ってないなりに必死に状況を理解して周りを見渡すと視線がいつの間にか集まっている。
「なんだ?痴漢?」
体格のいい学生さんとかが睨んでいる気がする
「ちっ」
舌打ちが聞こえる。
「次の駅で降りましょう」
掴んだ手の女性が何か言っていた。
自分の血の気の引く音を聞きながら何か言おうとするが思いつかず次の駅につき降りることになってしまった。
まずいまずいまずい
このまま駅員のところに行ってしまえばジ・エンド
何を言っても、いい方向には向かない袋小路
そんな痴漢冤罪がとうとう俺にも来てしまった
「い、いやいやいや!左手!鞄!持ってたし!右手!つり革!だし!」
しどろもどろに言い訳をする
「持ちながらでも出来ますし、痴漢してた手を掴んだんです」
そんなやり取りを何とかしつつ改めて周りをこっそり確認するが残念ながら周りは自分を痴漢として断定しており助け舟を出してくれる奇特な方はいないようだ
そして駅に到着し引っ張られるようにホームに出る
目の前には駅員がおり何かあったのか?と怪訝な目を向けていた。
やばいやばいやばい!
こんな時の対処法は確かネットで見た情報だとと必死に頭の中の記憶という検索サイトに「痴漢 冤罪 回避法」と調べると一件ヒットした
「対処法:逃げましょう」
検索結果が出たあとの行動は早かった。
多分人生で1番判断が早かったのではないだろうか、仕事でこの決断力と判断力があればもっと出世出来たのではないだろうか?
女性の手を振り払う
改札への階段は・・・ダメだ人で溢れてる
かくなる上は逆方向の線路!(その間0.5秒)
そして人生初体験の線路にダイブをした俺はどんな顔をしていたのだろうか?
判断と決断力はは良かったと思う、誰も反応出来なかったわけだし
電車が来なければの話ではあるが
・・・
次に目が覚めたのは暗闇の中
体は全く動かないし何も見えないが何かがあり何かが居るという感覚だけは伝わってきた
「あっはっは、まさか、飛び込むとは思わなかったわ」
明るい声が聞こえてきた。