異世界転生と線香花火 ~君がまた、おかしなことを言い出した~
「異世界へ転生できたとしたら、きっと楽しいと思わない?」
君がまた、おかしなことを言い出した。
それはそれで面白いとは思うけど、きっと君がいないとつまらない。
口には出せず、心の中でつぶやいてみる。
君は気付いているんだろうか。
今ここに、僕らが一緒にいることでさえ、奇跡のようなことだって。
地球の長い歴史の中では、僕らの人生なんてほんの一瞬。
そのわずかな時間に巡り会い、命の炎を燃やして生きる。
まるで、夏の夜の線香花火みたいにね。
僕らがこの時代に生まれたことに、出会ったことに意味があるのだとしたら、
異世界転生なんてまるで意味がないって、そうは思わないかい?