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吸血鬼の日常(仮)  作者: 甘夏
第一章 吸血鬼と日常と恋と化物
6/7

清也の日常(家)

「初めて自分以外の化物を見た。貴方を初めて見たあの時、私は救われたと、心の中で思ったわ」

「…そうか」

「これで私が貴方に語るべきことは以上よ」


俺は、この女を助けなければならない。

この呪われた人生から。

先程俺を殺そうとしたのも殺さなければ俺が殺されるから という理由だそうだ。

無茶苦茶な理由だが、これ以上、雪女に周りの人を殺させたくないのだそうだ。

だから自分の手を汚そうとした、と。

有り得ない。

ここまで報われない人生など、あっていいものか。


俺が必ず救ってみせる…!


「こんな話をした後で悪いのだけれど、血痕の掃除をしてくれるかしら?私、これから会議があるの」


「あっ、はい…」

△▲△

一通り掃除を済ませたので俺は生徒会室を後にした。


△▲△

さて、俺はこの雪女をどうやって「救えば」いいのだろうか。

「あんなに威勢のいいこと言っちゃって、本当は何も考えてなんていなかったのであろう?」

突如、声が聞こえる。

いつの間にか、俺の隣に見た目推定11歳と言ったところの美しい金髪を持つ、可愛らしい女の子が俺の隣を歩いている。

「あぁ…そうだよ。なんも考えてなんかいなかった。気持ちだけが先行してあんな大層なこと言っちまったけどな…」

「まぁ、お前らしいの」

「そっかな。自分らしさとかよくわからないから」

「ふむ」

そう言って彼女は腕を組んで難しい顔をする。

さながら11歳の少女が学校で出題された難しい問題を前にした時のように。

しかし、彼女は人間ではない。

「吸血鬼」である。

それも、伝説の初代吸血鬼。俺の人生を変えることとなったきっかけの吸血鬼。

「自分らしさ…か。(わらわ)も長く生きておるからな、そんなものとうに忘れたわ」

彼女の実年齢は100歳を超えている。つまり…

「ロリババ」

アだもんな

と言いかけたらみぞおちに拳を一発喰らった。痛い。

「ご、っごめんなさい…っ!」

「うむ。わかればいいのである」

△▲△

電車に乗り、我が家の最寄り駅に到着した。俺と妹は2人でマンションを借りて暮らしている。とあるルートで住むことになったのだが、その事は後々語っていくとしよう。

家への道を歩む間にもロリババア及び吸血鬼女(11)とくだらなくて何気無い会話をしていた。

楽しい時間はあっという間にすぎると言うが、本当にいつも1人で帰るよりも早く家に着いた気がした。

俺はこいつと話すことを楽しいと感じているのだろうか。


△▲△

「ただいま〜」

とだらしない声で帰宅を告げると

「お兄ちゃんおかえりー!」

と元気な声が聞こえる。妹の美蕾(みらい)だ。彼女は仕事柄(・・・)家でも巫女服(みこふく)を着ていることが多い。

吸血鬼女は家の前に着くと同時に消えていた。家族水入らずの時間(?)を過ごさそうとしてくれたのだろう。

だからか、彼女はいつも妹と過ごしている間には出てこないし、学校にいる間も出てきたことは無い。礼儀の正しいというか、場を(わきま)えている奴なのだ。


「お兄ちゃん、お帰りのちゅ〜…」

と言って美蕾は唇を差し出してくるがそれを手で制止し、

「ハイハイ、後でな」

と軽くあしらう。

「え〜!お兄ちゃんの為にと思ってやってるのにぃ〜」

「まぁ、そうだけどさ…」

確かに、これは俺のために美蕾が始めてくれたことなのだ。

ちなみに俺はシスコンではない。

妹は好きだけど。


△▲△

自分の部屋に入り、息を一つ吐くと、一気に風船から空気が抜けたように気が抜ける。

今日は色々なことがあったなー、と思い返す。

まさか、自分以外の化物に出会うなんてことがあるなんて――


そうだ、彼女の、出利葉氷夢(いでりはつらら)のことを考えなければ―――――

そんなことを考えているうちに眠りに落ちていた。



投稿遅くなりました…(誰も待ってない)

これからもゆっくりですが一応続けていけたらなーと思っています

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