表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作小説倶楽部 第1冊/2010年下半期(第1-6集)  作者: 自作小説倶楽部
第6集(2010年12月)/テーマ「雪・氷」&「鍋」
63/67

NO.5  ジャム著 「雪・氷 『白い理由』」



沈み込みそうなベッドの上に、

裸の僕は身体を預けている。

上には同じように裸の女が乗っていて、少し重い。

これが生きている重さか、と思う。


女を片手で抱き身体を横にする。

柔らかい。そして温かい。

そういえば今は冬。

そのせいかもしれない。


腕の中で女が微かに動いた。

小さい吐息を漏らす唇。


「眠れないの?」囁くように女が言った。

「君がね」

「そう、わかってたんだ……」

「僕のために、寝た振りをしていたんだね」

僕は女の髪を触った。


「そういえばまだ、名前を聞いていなかった」

「誰の」

「君のだよ」

「私かぁ」ふふ、っと女は笑った。「教えて欲しい?」

「うん」

「私も」

「え? どういう意味?」僕は少し顔を近づけた。

「自分の名前を忘れちゃった」女は舌をちょろっと出した。


上半身を布団から出して、

僕は煙草に火を付けた。

ニコチンのお陰で、頭がクリアになってきた。


「私にも頂戴」

「煙草、吸うの?」

「ううん、でも美味しそうに吸ってるから」

「辞めた方がいい」

「どうして?」

「わかった、咽ても知らないよ」僕は女に煙草を渡した。


部屋にはカーテンのフィルターで淘汰された月光と、

二つの煙草の火だけ。

それ以外には何もない。

人間は、蛍のようには輝けない。




風が冷たい。

眼下の夜景は見慣れているけれど、

やはり綺麗だ。

見惚れていると、後ろのドアが開いた。


「こんな所に居たの」女が横に来て言った。「あぁ、寒いよう」

「もしかして君、コートの下裸のまま?」

「うん、ちょっと眼を離した隙にどこかに行くんだから。」

「服を着る時間くらいあるよ」

「あ、雪」女が指で示した。

「見えないけど」

「ほら、こっちにも、あっちにも!」女は嬉しそうに言う。

「あぁ、本当だ」


話していると、段々雪の量が多くなってきた。

それに比例して身体も一層冷えてくる。


「なんで雪は白いか、知っている?」僕は考えていた事を質問した。

「疲れているから白いんだよ」

「へぇ」

「色っていうのは、可視光線の組み合わせで出来てるの」

「うん」

「だけど、組み合わせることを疲れて、辞めちゃったんだよ。だから白い」

「なるほど、面白いね」


風邪を引かないうちに僕たちは部屋に戻った。

着ていた服を脱いで、ベッドに入る。

女を抱き寄せると温かかった。


「どうして、雪は白いの?」女が突然聞いた。

「今度は僕が答える番ってわけだね」驚いたけど、冷静に切り返す。

「うん」

「自分の色を忘れたのかもしれないね」僕は屋上で思いついた事を口にした。

「ロマンチックだね」

「そうかな」

「……私の名前は雪」

「ユキ、か。いい名前だね」

「スノウの雪」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ