No.3 Benクー 著 「月『月は見ていた』」
兄弟なのにこうも違うものかと、月は自分の容姿を見つめて溜息をついた。
『相変わらず綺麗だなぁ…地球は!』
月はそう言うと、最近出来たばかりのクレーター痕を気にしていた。最近といっても2万年ほど前のものなのだが。
対して、地球はここ数千年の間こう考えていた。
『変わらなくて良いなぁ…月は!』
そんな二人が、とある日食の日に久しぶりに言葉を交わした。まず兄である地球が口を切った。
「なあ月よ、お前は今オレのことをどう思ってる?やっぱり綺麗だとか思っているのか?」
すると、その通りだと言わんばかりに月は一つ大きく頷いた。言葉にしなかった分、逆にその思いの強さを表していた。
その瞬間、月の頭の影から太陽の光が漏れ、綺麗なダイヤモンド・リングになった。
その姿を見た地球は、大きく溜息をつくとこう言葉を続けた。
「なあ月よ、オレから見たらお前の方が羨ましいよ。お前はずっと変わることなくこの宇宙と綺麗に融合しているじゃないか。今のダイヤモンド・リングだってすごく綺麗だったよ!・・・たしかにオレの姿は惑星としては綺麗かもしれないけど、見てみろよこの周りに漂うゴミの山を。それに今のオレは体調不良なんだ。ずっと熱っぽくてさ・・・」
月は改めて地球を見直した。たしかに、数千年前よりも今の地球の顔には赤みと白みが増えていた。昔は緑だったところが荒れ地と電気の光に変わっていたからだ。
月は思った。そう言えば地球は色んな姿に変わっていたんだと・・・
最初は灼熱の星として赤々と燃える姿。次に大量の雨水に覆われた青い姿に変わった。そして、急激に凍りついて全身が真っ白になった後、今の彩り溢れる星へと変わった。
変化する間の地球はいつも苦しがっていた。すぐそばにいる月はその苦しい喘ぎ声をいつも耳にし、目にしていた。
もうすぐ日食が終わろうとする頃、別れ際に地球が一言つぶやいた。
「太陽にお願いしてリセットしてもらおうかなぁ・・・」




